花言葉
いつか君が好きだと話していた
チョコレートコスモス。
駅前の花屋で買って君の元へ向かった。
「彼女に渡すんです」
と言うと、店員は
「花言葉は移り変わらぬ気持ち、なんですよ」
と教えてくれた。
花束なんてガラじゃないけれど、
喜んでもらえるだろうか。
待ち合わせ場所には
水色のワンピースを身に纏った君がいた。
「君に渡したいものがあるんだ。」
後ろ手に持った花束を差し出した。
まるでテレビドラマのワンシーンみたいだ、
と自分でも思う。
彼女は目を丸くした。
そしてすぐに微笑んだ。
「私も、今日さよならしに来たんだ。」
「え?」
「チョコレートコスモス、好きだよ。
だけど、花言葉は恋の終わりって知ってた?」
そう言い残し、人混みに消えてゆく君の後ろ姿をただただ呆然と見ていた。
どうやら、
僕達はドラマにはなれなかったようだ。
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