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遺跡とねこバス -日本一周自転車旅 九州編2日目-

まだ若干薄暗い中、寒さで目を覚ました。
九州の気温を舐めていた。ライハのご主人が、3号線も凍ると話していていたことは伊達ではなかったのだと実感した。寒かったが、かといって、電気毛布やストーブを早朝から付けるのはなんだか申し訳なかった。それに加えて北国育ちの意地が、「この寒さなら我慢できる」と邪魔をしていた。

2日目は90kmほど漕ぐ予定だ。1日2日であれば、多少眠らなくとも体力的に問題はない。しかし、これから数日かけて目的地まで向かうのだ。休める間に休んでおきたかった。日が昇るまで、布団に包まって目をつぶっていた。

朝ご飯は、何を食べたか覚えていない。たしか、前日にコンビニで購入したパンかおにぎりを食べた気がする。
気温も暖かくなってきたので、少しずつ荷物を自転車に積んでいった。お世話になったのはたった半日だが、とても寂しい。この感じ、旅っぽい~と勝手に盛り上がっていたものの、この感覚が何度もあるかもしれない、と考えると少し切なさを感じた。

準備が出来た。
とは言ったものの、私の「日本一周看板」は後ろのネットに挟んでいるままだった。ビビりなので後ろに取り付けるのはまだ恥ずかしくて出来なかったのだ。
ちょっと待って、というとライハのご主人はどこかへ行ってしまった。少し待っていると、結束バンドを持ってきた。せっかく看板あるのにもったいないよ、とその看板をネットに取り付け始めた。

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ライハのご主人にお礼を伝え、出発した。

しばらく走ると、「吉野ヶ里遺跡」という看板が出てきた。
今まで知っていただけの場所が、教科書や本で読んだことのあるだけだった場所が、「行ったことのある場所」に変わる瞬間が好きだ。とはいえ、時間と距離の関係上、目の前まで行くだけで入場まではしなかった。

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そのまま進むと、佐賀市に到着した。初の県庁到達である。道路を工事している人がいたので、前で写真を撮るのは少し恥ずかしかったが、そんなこと気にしていたらいつまでも進めない。
佐賀県庁と書かれた石の前に自転車を停めて写真を撮った。

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佐賀県庁を過ぎてお昼近くになったので、飲み物を買うためにローソンに寄った。ローソンから出ると、一人の女性が声を掛けてきた。「えーっ、女の子なの!?」上品そうな女性が、写真を撮っても良いかと話しかけてきた。もちろんです!と返事をした。
旅に出て初めて話しかけられた。純粋に応援してくれる人がいるということが嬉しかった。

その女性と分かれてからしばらく走ったところで、またローソンの前で女性二人に話しかけられた。
今日はよく人に話しかけられるな~なんてのんきなことを考えていた。
最初はなんでこんなことをしているのか、という話からだった。しかし、しばらく話をしていくうちに、不穏な空気が流れ始めた。
「旅をしてて、辛いことない?」とか、そういうことだ。
手渡されたのは旅人の間では有名な某宗教のパンフレットだった。電話番号がかかれており、「もしこのあと時間あったら一緒にお祈りにいかない?」みたいなことを言われたが、宿泊先には時間を伝えていると伝え丁重にお断りした。

さて、そのあとはしばらく平坦な道が続いた。いい感じの畑と、少し大きな工場か商業施設のようなものが遠くに見えるような場所。私はこういう道が非常に好きだ。

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武雄市のあたりで車から頑張れー!という声をかけてもらった。しかも2回も。武雄市って何があるんだろう、と思っていたのだが、後日調べると、あの有名なTUTAYA図書館があるのが武雄市だった。折角訪れたのだから行っておけばよかったな…と後悔している。

他にも有田など聞いたことのある地名を目にしながら通り過ぎた。

佐世保市に到着した。佐世保バーガーやハウステンボスが頭をよぎったが、中心街には行かずに、ライダーハウスに向かって一生懸命自転車を走らせていた。

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長崎県に一軒しかないライダーハウス「佐世保ライダーハウス」

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素泊まり1500円。近くにコンビニ等あることはあるのだが、2キロくらい先で結構な坂を登り降りした記憶があるので、自転車の方は手前のセブンイレブンで何か購入してからのほうが良いかもしれない。
さほど遠い距離ではないのだが、私はコンビニを検索してさっきの坂道をまた往復しなきゃならないのか…と諦めた。

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このため、道中で頂いたパンを食べて過ごした。

ちなみに、ライダーハウス自体はキャンピングカーが使用されている。2台あるうちの1台の外装はとなりのトトロに出てくる「ねこバス」で、こちらが女性用のライダーハウスとなっている。

今回宿泊客は私しかいなかったため、ねこバスを自由に使えた。エアコンやコンセントが自由に使えるだけでもありがたかった。このライダーハウスを経営している方は隣の民宿のご主人のようで、民宿のお風呂も使わせていただいた。

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民宿の入り口はこんな感じ。(写真ボケててすみません)
歯を磨いたり顔を洗ったりするのは民宿の水道を使わせてもらえる。

...ちなみに、おそらくこのブログに行きついた方で、ライダーハウスとはどんなものかご存じない方というのは少ないとは思いますが、別カテゴリのことも書いていたりするので、補足として説明しておきます。ライダーハウスとは、その名の通りライダーらが長旅の途中休息する用の簡易宿泊施設のようなところです。気になった方はご自身で調べてみてください。
ライダーハウスが受け入れているのは、おおよそバイク・自転車・徒歩などで来ている人です。観光目的で車でまわっている人とかは場合によっては泊まれない可能性があるのでご注意ください。

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