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東京国立博物館(東京都台東区・上野駅 国宝 東京国立博物館のすべて)2/5

・東京国立博物館 表慶館(未来の国宝展)
東京国立博物館にある建築物の中で最も古い建物が表慶館である。迎賓館や奈良国立博物館、京都国立博物館を設計した片山東熊による特徴的な外観の建物で、1908年に建てられた表慶館は関東大震災もくぐり抜け、二代目となる本館は1938年、さらに東洋館は1968年と、30年ごとに建てられている。ちなみに法隆寺宝物館や平成館もその30年後に建て替えられており、もしかしたら2028年には次の建物ができるかもしれない。特別展やイベントがある時のみ開館している表慶館が今回タイミング良く開館しており、今回は「150年後の国宝展」と銘打って、現在の日本が生んだ文化の中で、150年後に国宝になるかもしれない候補を紹介している。

次世代の国宝へ

入口からゴジラがお出迎え。まさか表慶館の中にゴジラがいるとは。放射能を吐き出す怪獣ゴジラはまさに被爆国の日本を象徴するモンスターといえる。ほかにもたまごっちガンダムなど面白いものが並ぶ中、興味深かったのは競輪。競馬・競艇・オートレースと並ぶスポーツである競輪、実はこのうち競馬を除いた3つは日本が発祥だという。

やっぱゴジラはこの背鰭が光るところに注目したい

そんな歴史に驚きながら世界に波及したこれらの文化を味わうというスタイルで、2階に上がればハロー・キティ、漫才、日本酒などバラエティに富んだ文化を紹介。食文化からエンタテインメントまであらゆるものが国宝の候補として今回の展示で紹介されているのが面白いところ。アート関連がないというのも興味深い。唯一ここでアート関連で織り上げられていたのがベネッセのアートサイト直島。瀬戸内海にあるアートで埋め尽くされた島である直島。今や瀬戸内の島々を舞台にした国際芸術祭が開かれるほどに発展したという巨大なプロジェクトである。会場では特に代表作としてクリスチャン・ボルタンスキーに焦点を当てているのも興味深い。

キッコーマン なに光らせとんねん

こちらの表慶館、外観からしてインパクトの強い建物なのはもちろんのこと内部がとにかく圧巻で、吹き抜けになっているエントランスホールから見上げる天井が美しいことこの上ない。まさに美術館らしい装飾に飾られた円形のエントランスから、ドーム型をした天井を見上げればそこから差し込む光が独特の色彩を放っており、肉眼で見るのと写真で写すのとで色が異なるというのが衝撃。

ドームの美しさに驚く 肉眼と写真で色合いが違う

両翼にのびた展示室の奥にそれぞれある階段も印象的で、明治に造られた建物の美をここに体感することもできる。トイレは個室ウォシュレット式。

この階段の美しさったらないね

表慶館のすぐそばには、これまた重要文化財である黒門がある。こちらは因幡の鳥取藩を治めていた池田家の江戸上屋敷にあった正門で、もともと丸の内にあったものを明治時代になって東宮御所正門として移されたのち、高松宮邸を経て東博へ引き継がれたという歴史を持っており、大名屋敷の表門としては東京大学の赤門(加賀の前田家ゆかりの門)と並び称されるもの。徳川家と血縁だったことから屋根には徳川家の家紋である葵が施された他、随所に宮家の菊も配されているという珍しいかたちである。長屋門の両脇に番所があるという五万石以上の大名家に許されたという風格で、番所があるのは少なくとも一万石以上(出格子番所と呼ばれる)だったという。週末のみ開門されているという黒門を潜ってみるのもまた味わい深い。

黒門を潜った外側から撮ったもの

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