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板橋区郷土資料館(東京都板橋区・西高島平駅)

東京23区の郷土博物館は20館目に差し掛かる。今年中には全ての区内博物館を制覇したいもの。板橋区は生活圏からかけ離れていることもあってなかなか訪れる機会のないエリアではある。以前に板橋区美術館へ訪れたことがあったものの、その頃はこれほどミュージアム巡りをすることになるとは思っていなかったので、未訪問だったこの博物館を攻略すべく数年越しにやってきた。

郷土博物館やら資料室やら資料館やら色々な名前がある郷土博物館、板橋区のそれは板橋区郷土資料館という名前である。西高島平駅から歩いて10分くらいの位置にある赤塚溜池公園の中にある。すぐ近くには溜池の釣堀もあって釣り人たちが早朝から釣りに勤しんでいる様も見られる。
2階建てとなる館内、1階では板橋の歴史について。かつてこの地にはナウマン象がいたらしく顎の化石などが展示されている。また遺跡も点在しており、もちろん郷土博物館おなじみの土器や板碑もある。石棒はない残念。

板碑の群れ

板橋という地名の由来は定かではないらしいが、平家物語ではすでにその名が登場しており中世から地名として認識されていたという。展示室内では平家物語、義経記などの書物に登場する板橋の名を紹介しながら、くずし字のクイズなども行なっており、夏休みの小学生に向けたような意欲的な展示内容である。江戸時代には宿場町として栄え、縁切榎なんていう木も名所の一つとされたという(幕末に徳川将軍家へ嫁いだ皇室の和宮から避けられたエピソードもある)。また鉄砲の稽古場として現在の高島平地域、徳丸原では幕府の砲術家である高島秋帆による大規模な西洋式砲術訓練が行われたという。広大な土地が農地や鷹狩りの場所として使われた板橋、近代に入ると火薬製造の土地となり産業が栄えた。遊郭なども発展したという。

みなさんご存じ高島秋帆(知らない)

2階では板橋区の職人を紹介する企画展が開催されている。染色した経糸と緯糸を密度高く折り上げた織物である真田紐を作る市村藤斎、型紙や糊防染(染料が浸透しないように糊で防ぐ)を使って細かい模様を型染する江戸小紋の小林福司、糊防染と色挿しを併用して模様を華やかに表現する江戸手描友禅の寺澤森秋の作品を紹介している。いずれも中世から続く伝統工芸。その技巧の細かさは到底まねできるものではなく圧倒されてしまう。

2階では現代に続く伝統工芸

トイレは2階が和式、1階は和式と洋式はウォシュレット式。屋外には母屋・納屋・井戸小屋からなる古民家も展示されており、実際に母屋には上がることもできる。夏場ということもあって蚊帳が張られている。ちなみに蚊帳にはいくつか言い伝えがあり、七夕に洗うこと、三方で吊るすのは葬式の時のみ、五月に吊り始めると幽霊が出るなどなかなかゾクゾクするエピソードがあって最高である。

古民家の蚊帳である

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