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国立劇場(東京都千代田区・半蔵門駅 国立劇場オープンシアター)

日本の演劇を担う劇場として長きに渡り牽引してきている国立劇場。もちろん国立である。歌舞伎をはじめとした伝統芸能から演劇まで幅広い演目を公開している日本屈指の劇場である国立劇場は開館から50年以上たった今、建物の建て替えを計画しており、普段は演目を観ることでしか見学できない内部を期間限定で見学できるイベントを開催。たった2日間というその情報を聞きつけ、他の予定を取っ払って訪問を敢行。

以前に歌舞伎入門の演目で訪れて以来の国立劇場。その頃は歌舞伎の演目を観るだけだったので内装には全くと言っていいほど注視していなかったので、再訪といいつつもほとんど初めての訪問といっても過言ではない。実は内部ロビーにはいくつもアート作品が並んでいて、しかもそれが日本を代表するような巨匠の作品だったりするというのが意外な盲点。国内最高峰の舞台に最高峰の美術作品を、というコンセプトで並べられた作品は東山魁夷、加山又造、川端龍子といったあまたの巨匠が手がけていて、ここだけで既に美術館の様相を呈している。

どぢゃん、と巨匠の作品群

1階ロビーで出迎えるのは平櫛田中の鏡獅子。もはや国立劇場の顔ともいえる存在である。確かに小平の平櫛田中美術館でもこの鏡獅子についての詳細な紹介がなされており、平櫛田中にとっても代表作といえるかもしれない。面白いのはロッカーで、なんと10円式という今までに見たことのない金額のロッカーである。

たなか、ではなくでんちゅうの平櫛田中

奥の階段から2階へ上がるとまずは4体の銅像が待っている。こちらの銅像は朝倉文夫が3体、富田匠美が1体を手がけている。さすがは朝倉文夫、手がけた銅像の数が桁違いに多い人物である。休憩室もありそちらにも絵画が飾られている他、モニターで劇場が映し出されている。2階のギャラリーがいわゆるメインとなる美術品の展示エリア。先に触れた画家の他にも山口蓬春や小倉遊亀、伊東深水といった画家が大勢そろっている。

振り向けば文夫

3階には長谷川昴という画家による歌舞伎役者の似顔絵ギャラリーがある。かなり天井が低いのも特徴的だろうか。ギャラリーの突き当たりには休憩室もあり、そこで国立劇場の裏方(大道具や小道具など)の伝統をいかに引き継ぐか、といった特集の映像も放映されている。トイレは各階にある。当然ながらウォシュレット式で、個室トイレのドアーがスライド式になっているという非常に有効的な造りをしている。

吹き抜けのこのロビー好きだな(舞台は1回しかみてない)

ちなみに各階ロビーから舞台の方へ入ることもできる。客席から見る舞台という側面のほかに舞台側から客席を眺めたり、普段あまり近づくことのない花道の仕掛けまで見えたり、さらに言えば舞台の幕となる緞帳のきめ細かな刺繍が間近に見られるということを考えると大変に貴重なイベントといえる。

こんなアングルの写真もとれちゃう自分はプロ級だしかっこいい


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