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銀座エリア画廊巡り(東京都中央区・銀座駅周辺)

あまり今までに画廊に入るという経験をしてこなかったため、画廊などは無縁のものだと思っていたけれど、ここ近年のミュージアム巡りをして行くなかで、それほどの抵抗がなくなってきた。フラッと寄って「空いてる?」みたいな常連の居酒屋みたいな感覚で。それは嘘。

銀座は多数の画廊が存在するエリアであり、その多くは自由に無料で入場することができる。画廊やメーカーのギャラリーを交えていくつか巡ろうと計画を立てた次第。専属アーティストを抱えるコマーシャルギャラリーが多いため、ある程度クオリティが求められているのも見る側にとっては面白い。とりあえず訪問計画は行き当たりばったり。

・東京画廊+BTAP
銀座より新橋・汐留エリアの方が近いだろうか。エレベータを上がって右手にあるギャラリー。今回は朴栖甫の作品を展示している。水を含んだ韓紙の上で単色の縦線を描いて行くという描法で、現代の韓国美術史における重要人物の一人として知られているという。かなり抽象的な作品で、凹凸している表面の単色がインパクトを持つ。結構な人数が来訪しており、中には韓国語で会話している人も見受けられた。トイレはなし。

・資生堂ギャラリー
創業150周年を迎える資生堂がこれまでに事業活動を展開する上で取り組んできた「万物資生」の思想を紹介している。調剤薬局としてスタートした創業者の思想を受け継ぐ形で化粧品などへ事業展開したその歴史と主な商品を紹介しながら、美術家の中村裕太によるイメージさせる作品展示を行ないつつ紐解いている。ソーダ水製造機、花椿、アイスクリームパーラー、ギャラリー展開といった多岐にわたる活動も知ることができる。トイレはなし。

・ギャラリー広田美術
山内隆の作品を展示している。国内外の祈りや奉拝の場を訪れるところから制作を始めるという本人の、地元である相模原や、埼玉、奄美大島、イギリスといった場所へ巡礼を行ったことから生まれた作品。阿形・吽形のカラフルな造形物が可愛らしい。今回の展示に際して彩色が間に合わなかった箇所も少しだけあるという。他にはマリア観音を描いたものや、廃業してしまった店で食べた鮎など絵画が中心となっている。トイレはなし。

・日動画廊
日本国内の洋画商として最も歴史のある画廊ということで、東京海上日動保険(旧・日本動産火災保険)のビルを間借りして開いたとされる息の長い画廊。国内5箇所に海外2箇所の画廊、茨城に笠間日動美術館を展開しており、藤島武二、岸田劉生、シャガールやキスリングらの作品まで取り扱っている。若手作家の登竜門・昭和会展を実施しており、受賞作品を中心とした若手作家の展示を行なっている。地下には常設展示室があり、梅原龍三郎、鳥海青児、萬鉄五郎らの作品が展示されている。名だたる画家の作品が間近で見られるのはかなり貴重。トイレはなし。

・和光ホール
銀座の顔として知られる和光ビル。渡辺仁による設計で時計台が印象的なこの建物の中にはセイコーの時計を中心として時計や宝飾品が販売されており、その6階にあるのがギャラリーとして使われる和光ホール。工芸の表現四人展として、国内外で評価されている若手作家の展覧会を行なっている。電脳世界をイメージさせる螺鈿の漆芸・池田晃将、光をテーマにした特徴的な模様の陶芸・新里明士、透かし彫りなど繊細な技法を施した陶芸・見附正康、斬新なデザインのオブジェを手掛ける金工・長谷川清吉。この中では長谷川清吉が好み。トイレはウォシュレット式。

・ポーラミュージアムアネックス
ポーラ銀座ビルの3階にあるミュージアム。今回は若手芸術家を発掘する目的で作られたアネックス展で前期3人と後期3人に分かれている。今回おとずれたのは後期にあたり、デジタルを活かしたコンテンツとしてライブハウスの演出でも活動する菅野創、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの周囲で騒がれたネガ・ポジニュースを皮肉たっぷりに切り取るなど音楽へのアプローチをイメージさせる北條知子、家族の髪の毛を装飾品のように美しく仕上げた作品が印象的な寺嶋孝佳の展示を行なっている。トイレはなし。

・ギャラリー小柳
銀座ガス灯通りにある小柳ビルの9階にあるのがギャラリー小柳。オラファー・エリアソンやマーク・マンダース、杉本博司などの作品を収蔵している。今回の展示は東京都現代美術館でも先日まで企画展が行われていたクリスチャン・マークレーの作品を展示している。マンガのセリフやキャラクタをコラージュして全く別の人物像を描き出すという一度みたら忘れられないインパクトのある作品で知られるマークレーの作品を至近距離で見られる。トイレはなし。

・不忍画廊
もともとは上野の不忍池のそばにあったということから不忍画廊という名称が残されている。靉光や池田満寿夫、駒井哲郎などの作品をかねてより取り扱ってきた60年以上の歴史を誇る画廊。今回は小さな人人展として東京都美術館で開催された展覧会の出展作家による展覧会となっている。同時に中村正義、大島哲以の作品も展示している。トイレはなし。

・西村画廊
日本橋高島屋新館のすぐそば、日光ビルの9階にあるのが西村画廊。50年近くにわたって国内作家の展覧会を継続的に開催している画廊で、舟越桂や横尾忠則ら現在も活躍しているアーティストを中心とした作品を取り扱っている。個人的に彼らの作風が好みというのもあって一度おとずれたいと思っていた画廊。今回は同じく取り扱いのある作家の一人である指田菜穂子の作品を展示している。日本文学大全集と題して、明治から大正期に発表された文学小説を主題に、その年に起こった事件や人物などを絵画にまとめる、というインパクトある作品となっている。トイレはなし。

一般的に2ヶ月から3ヶ月くらいの展示期間である美術館に対してギャラリーや画廊での展示は短い期間であることが多い。早いものであれば1〜2週間で入れ替わるというものもある。他にも気になるギャラリーはあったけれど展示期間外だったりして断念。訪れる際には期間を逃さないようにチェックが必要。

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