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ワタリウム美術館(東京都渋谷区・外苑前駅 視覚トリップ展)

3年くらい前に神田の行きつけだったカフェで飲んでいたときに、同席したご婦人から教えていただいたワタリウム美術館。ベロンベロンに酔っ払っていたので詳細までは覚えていないけれど夫が美術館かショップ関連をやっていると言っていた気がする。さすがにご本人ではないと思うけれど。その頃は美術館はあまり積極的に足を運んでいなかったので、その時にはじめて存在を知った美術館でもある。

当時の自分を怒鳴りつけてやりたいほど外苑前エリアにおける中心的な美術館で、コンテンポラリーアートを多く収蔵しており、創設者の名字である和多利から名付けられている。5階建ての特徴的な形はスイスの建築家マリオ・ボッタによるもの。入口のベンチも特徴的である。

一筋縄では行かないベンチ

今回の企画展は「視覚トリップ展」と称し、コレクション作品から視覚体験を楽しんで守ることを目的とした作品を展示している。個人的に名前を知っているだけでもアンディ・ウォーホルキース・ヘリングオラファー・エリアソンクリスト河原温などの作品がずらっと並んでいる。

剥がれているように見える装飾が効果的な外観

エレベータで3階からが順路となっている。最初に目に飛び込んでくるのは青木綾子による『血液 川 流れるもの』で、赤と青の線で描き切断された紙が印象的。そこからジグマー・ポルケ伊藤存らの作品が続いて行く。

『血液 川 流れるもの』切断紙の奥の赤い色がリアル

3階で最も多く作品が目立っているのがナムジュン・パイク。ドローイングや映像、インスタレーションなどいろいろな作品を各所に展示している。中でも暗幕の中で展示している『ニュー・キャンドル』が好み。蝋燭の火がプロジェクターに映される時に映像の火である錯覚を起こすという狙いが面白い。他にも3階ではキース・ヘリング独特のデザインを描きまくったトルソや、天井から吊り下げられたオラファー・エリアソンの謎の形状で作られたランプ、ジョナサン・ボロフスキーヨーゼフ・ボイスの作品が会場に彩りを添える。

現代アーティスト勢揃いである

エレベータでも上下できるが、せっかくだから外階段を使って4階へ。最初に目にするのはクリスト『ドリーの包み』。近年ではパリの凱旋門を布で包み込んだことでも知られるクリストの代名詞とも言える「梱包」に関連した作品である。

ドリーが1匹、ドリーが2匹

この階ではさわひらきによる飛行機を部屋の中に飛ばしている幻想的な映像作品と、ジュリアン・シュナーベルの作品が展示されている。

手前にさわひらき、奥にジュリアン・シュナーベル

5階ではアンディ・ウォーホル。デザインに特化した作品ではなく、猫を中心としたドローイングの展示が中心となっている。またマルセル・プロータスの椰子の木の展示『ABC』に合わせるように会場に椰子の木が配置されているのが良い。有馬かおるの新聞紙を効果的に使ったやばい感じの絵柄も良いし、個人的には河原温の『日付絵画』シリーズが安心できる。

奥の『ABC』とリンクする手前の椰子の木

トイレは個室で洋式。最新鋭ではないもののドアロックが特徴的で面白い。エレベータで地下へ降りると、ショップ「ON SUNDAYS」に併設しているライトシード・ギャラリー次世代のセブン・アーティスト展を行なっている。とにかく特徴的な建物で、決して広くない敷地を効果的に組み立て、作品数の多さもあってじっくり見られる美術館になっている。またあのお店いかなくちゃ。

ショップがとにかく充実している


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