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森美術館&東京シティビュー(東京都港区・六本木駅/ワールドクラスルーム)

六本木ヒルズ森タワーには3つのミュージアム施設が入っている。そのうちのメインでもある森美術館では「ワールド・クラスルーム」と題した企画展を開催している。国語、算数、理科、社会といった科目に分けて美術を鑑賞するという変わった試みで、正解を鑑賞者が導き出すことの多い現代アートとの親和性を狙ったものだろうか。

冒頭は国語。壁にシャベルが立てかけられている作品がある。そう、国語である。国語とはあらかじめ存在する物事に関して捉えて自身の考えを導き出し、それを形にして表現する作業である。シャベルという存在する事象に対して何を感じ取るのか。それを考える作業なのである。間違いない。そう考えると現代アートは国語との親和性が高いようにも感じる。これが理科ではダメなのである。間違いなく。

国語の授業のお時間ですよ 英語ではありませんよ

社会では古壺を落として割る人物の写真と、それに似たツボにコカ・コーラのロゴマークが彩色されている作品がある。そう、社会である。社会とはあらかじめ存在する物事に関して捉えて自身の考えを導き出し、それを教訓として向き合う作業である。古壺という存在する事象に対して何を感じ取るのか。それを考える作業なのである。間違いない。そう考えると現代アートは社会との親和性が高いようにも感じる。これが国語ではダメなのである。間違いなく。

はいみなさん社会の教科書を出してください

算数では壁に立てかけてあるバイクから排気ガスのように引かれた線にスピードのようにフィボナッチ数列が刻まれている作品がある。そう、算数である。算数とはあらかじめ存在する物事に関して捉えて自身の考えを導き出し、それを数式にして証明する作業である。数列という存在する事象に対して何を感じ取るのか。それを考える作業なのである。間違いない。そう考えると現代アートは算数との親和性が高いようにも感じる。これが社会ではダメなのである。間違いなく。

算数ですよ 九九は覚えましたか

理科では固形のナフタリンを密閉した箱の中に入れ、周囲の温度で変化する様を見せる作品がある。そう、理科である。理科とはあらかじめ存在する物事に関して捉えて自身の考えを導き出し、それを現象にして理解する作業である。温度という存在する事象に対して何を感じ取るのか。それを考える作業なのである。間違いない。そう考えると現代アートは理科との親和性が高いようにも感じる。これが算数ではダメなのである。間違いなく。

理科の実験がはじまりますよ

ほかにもそれぞれが異なるタイミングでカウントされ明滅するデジタルの数字を並べている作品が哲学の科目だったり、映像の上映が音楽や体育の科目だったり、自在に音を奏でる鈴の回転体の作品が総合の科目だったりと、その科目でなくてはならない作品が多く並んでいる。その選択は間違いないのである。もちろんアートである以上は捉え方は自由なので固執する必要はないのだけれど、まあ、そういうことである。

総合ってどういう授業でしょう

正直なところ現代アートと科目の授業との関連性は、なんとなく「そうなんだー」と都合よく解釈するしかなかったのが自身の鑑賞眼の弱いところ。もっとじっくりと向き合っても良いのかもしれない。普通に鑑賞していると作品それ自体が面白いので、理解が深まるとまた違った楽しみ方もできるはず。トイレはウォシュレット式。

デケー

・東京シティビュー(東京都港区・六本木駅)
六本木ヒルズ森タワーにある3つのミュージアム施設のうち、東京シティビューはどちらかというと展望施設としての趣が強いミュージアムでもある。森アーツセンターギャラリーは窓なし、森美術館は一部が窓のある部屋というのに比べて、東京シティビューはそのほとんどが窓になっている。今回は展示会ではなく展望台としての開放期間となっており、ほぼ360度の景観が見渡せる。

人が少なきゃ気楽に見られる


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