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増上寺宝物展示室(東京都港区・御成門駅)

大門や御成門といった門の名前がついた駅が周辺にある増上寺。駅名の由来はもちろんこの寺に由来している。徳川家の菩提寺として徳川家康の江戸入府から手厚く保護されてきた寺である。都心にありながら広大な敷地面積を持つこの寺は、かつては隣接する東京プリンスホテルやザ・プリンスパークタワー東京のある場所も含めて芝公園の全体が敷地だった。こちらの増上寺には本殿の地下に増上寺宝物展示室があり、増上寺に所縁のある宝物が展示されている。

本殿に向かって右手の階段を降りた先にある展示室、篠田桃紅の書画が飾られているフロントをくぐったロビーには仏舎利が安置されていたり、高僧の書が飾られていたりと落ち着いた雰囲気の中にちらほらと芸術性が光る。敷地内にある徳川家の墓所との共通見学券も販売しており、徳川家に興味があればついでに回ってみるのも良いかもしれない。尚、徳川将軍家の墓所というと大きく分けて四箇所ある。日光(および久能山)の東照宮、上野の寛永寺、谷中霊園とこの芝増上寺である。この増上寺にはかつて二代将軍の徳川秀忠を祀る霊廟があったのだけれど、空襲によって焼失してしまい今は遺構があるのみである。

展示室内は撮影不可

展示室では増上寺の由来と共に秀忠の霊廟である台徳院殿霊廟についての紹介がある。台徳院殿霊廟模型が展示室の中央に構えているのが特徴的で、こちらは英国ロイヤル・コレクション所蔵の品である。彫刻の高村光雲と建築の古宇田実教の監修によって明治末期の最高の技術をもって再現したこの模型は1910年の日英博覧会で出品され、展示後に英国王室へ贈呈され保管されてきたという歴史を持つ。このたび英国側が日本で一般公開する意向をもち長期間の貸出という形で増上寺へ戻ってきたわけである。その最高の技術の粋をじっくりと眺めていると、この建物が焼失してしまったことが残念でならない。

100年ぶりの里帰り

展示室で他に注目されているのが狩野一信による『五百羅漢図』である。五百人におよぶ羅漢を百幅に渡って描き切ったという五百羅漢図。その百幅を軌間にわけて十幅ずつ公開展示している。かなり大きな絹本着彩画で、一対になった二幅の絵の中に十人の羅漢がいるため、一回の展示期間では五十人の羅漢が所狭しと存在している。4月には長期休館に入る増上寺宝物展示室、行けるうちに行っておきたいものである。トイレはウォシュレット式。

広々とした前室 リニューアル後はここも展示室になるのだろうか

近い場所には徳川家の墓所があるのでついでに見学。正面の門は普段から閉門されており、門に装飾されている上り龍と下り龍が左右で構えている。この龍のうち上り龍だけが変色しており、どうも縁起を担いで上り調子になるようにと撫でる人が多いことからそうなったという。門の内側にも同じく上り龍と下り龍がある。ちなみにこの龍は宝玉を求めて上っているため、下り龍の方だけが宝玉を持っているので、下り龍の方が本当は縁起が良いのかもしれない。

門の内側 左が昇り龍


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