國學院大學博物館(東京都渋谷区・渋谷駅)
都内にある大学の博物館でもトップ3に入ると言われている膨大な資料と展示数を誇る國學院。渋谷駅から明治通りを恵比寿方面へしばらく進み、途中の交差点を曲がった坂の上にある。今回の企画展は日本書紀をテーマにした展示。重要文化財などが展示されている上に、100年前から展示会が行われていたことなどがサラッと説明されていて、どれだけ歴史があるんだこの学校は、と思ったら早慶の次、日本で3番目に古い私学大学だった。
さて『日本書紀』。いわゆる『古事記』とともに日本の歴史を著した物語で、イザナギ・イザナミやらスサノオやらの神様が登場する話である。この辺りはとてもデリケートな問題なので深く触れることはしないけれど、今回の展示で興味深かかったのは『日本書紀』には失われている巻があり、そこには登場する神々・天皇の系図が記されていたらしい。これがもし現存して発見されたなら、日本の歴史に大変革を起こすようなことになるのかもしれない。
そもそも当時は「日本」のことは「やまと」と読んでいたらしい。とすると、『日本書紀』を「にほんしょき」って普通に読んでいたのが実は正しい発音ではないのかもしれない、なんて思ってしまった。
常設展は大学の歴史と、大学に関わりのある宮家の所蔵品、それに学校の発展に大いに関わった折口信夫(しのぶ)について。もともとは国学(皇室の歴史を学ぶ)を目的として造られた皇典講究所を前身とし、有栖川宮幟仁親王が総裁だったことから、宮家が所有している印籠や煙草入れなど見る目あざやかな工芸品が目をひく。折口信夫コーナーでは生前の和室のジオラマ(男色の傾向があり男の書生を住まわせていたらしい)や事績を紹介している。トイレはウォシュレット式が4基もある。今までで最高峰の数である。
なんといっても圧巻なのは考古学コーナーの樋口清之らの教授によるコレクションである。あらゆる土偶、土器、祭祀具などこれでもか、と言わんばかりの数で、博物館の半分近くを占める面積を誇っている。明治大学では模造品が多くを占めていたがこちらは本物で、これが大学博物館トップ3と言われる所以でもある。
早稲田大学の会津八一コレクションでも思ったことだが、そのコレクション癖はとにかく変態的ですらある。ちなみに会津八一と樋口清之の関係性を調べてみたが特に関わりはなさそうなので(世代は会津八一の方が上)、これは突発的に各所で発生しているコレクション事変と呼べるのかもしれない。瓦のコレクションもある。
最後は祭祀に関わる箇所。伊勢神宮で行われる神嘗祭や吉田神社、神田神社などで行われる祭祀を中心としたジオラマ展示などがあり、神道をはじめとした日本の歴史を知る上でとても貴重な情報であふれている。この祭祀に関係する箇所と企画展は撮影できない。来客は割と多めだった印象だったが、基本的に会話を制限されているのもあって静かで、暇そうにしているスタッフの方はスヤスヤと夢の中である。
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