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岡本太郎美術館(神奈川県川崎市・向ヶ丘遊園駅) 

GJTHBKHTDー芸術は爆発だ、という真理あるいはアナーキーな名言を残した岡本太郎。岡本太郎を冠したミュージアムは2つあり、生前のアトリエを残した青山の岡本太郎記念館と、その規模では追随を許さない川崎の岡本太郎美術館とがある。川崎市の生田緑地には日本民家園などの他いくつかのミュージアム施設が点在しており、最も奥に構えるのがこちらの岡本太郎美術館である。

巨大な母の塔が聳え立つその手前にある美術館は段差を駆使した特徴的なアプローチを構えており、見学順路も特に指定されていないという自由な見学方法をとっている。混雑していれば順序を関係なく空いている作品から観ることができるが、今回は比較的すいていたのと、企画展のための一応の順序があるためそれに従って進むことに。

母の塔 デカすぎません?

今回の企画展は「凱旋!岡本太郎」と題して、改修のためしばらく休館していたこちらのミュージアムから貸し出されていた収蔵品が、改修を終えたことで戻ってきたことを記念して「凱旋」と銘打って紹介している。パリでの修行時代、ダダイズムやシュールレアリスムの風潮を身近で感じ取り自身の作品に投影した岡本太郎の、まさに爆発的な作品を目の当たりにする。企画展ではあるけれど基本的に岡本太郎の作品が中心なので、常設展示の時とそれほど違和感はない。いろいろな場所に隠れた展示があったりするのでワクワクしながら回れるのも特徴。

マジいろんなところに展示品があって飽きない

常設展示室から隣の企画展示室へと渡る廊下にも岡本太郎の生涯についてパネルなどで紹介しており、見どころはたっぷり。メディアにも出演した映像がいくつか残されており、独特なキャラクタでインパクトを与えたことが想像できるが、その衝動的なパフォーマンスとは裏腹にかなり理知的に物事を考えているのがわかる。

廊下なのにパネル展示だけなく映像や現品の展示もある

企画展示室は巨大なスクウェア状になっており、その中で章立てされているので順路ごとに回る形になる。こちらでは特に大型の絵画や彫刻作品の比重が大きくなっている。頬杖を着いた『若い夢』を皮切りに、画壇にアヴァンギャルドを見出し、日本の土着的な文化に魅力を感じて作風に反映したりする延長から、建築やプロダクト・デザインへの反映へとつながって行く。

企画展示室も太郎がいっぱい

圧巻はやはり代表作である『太陽の塔』と『明日の神話』だろうか。大阪万国博覧会で披露された巨大なオブジェクトである『太陽の塔』はさすがに模型だけれど、『明日の神話』はメキシコに飾るはずだった壁画の原画が残されており、そちらが公開されている。アメリカの水素爆弾実験により被災した『第五福竜丸』なども登場する現代の「ゲルニカ」である。さらに続く「眼の宇宙」章では作品に描かれる「眼」をテーマにした作品が一堂に会していて圧巻。また自由に見学者がスケッチできるコーナーもあり、休憩がてら描いてみたりできる。

ここにずっといたい

訪れたタイミングではさらに特別展示としてNHKで放映されていた『タローマン』についての展示。岡本太郎の作品そっくりの怪獣が登場する特撮活劇である『タローマン』は、1970年代に放送された巨大変身ヒーロー物の特撮作品、という設定でつくられた番組で、企画書や着ぐるみ、タローマンマニア(という設定)のサカナクション山口一郎が集めたコレクションまで紹介されているという徹底振りで面白い。これはまたやってほしい。トイレはウォシュレット式。

タローマン 全国のちびっこたちが観てましたもんね(設定)


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