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俳句文学館(東京都新宿区・大久保駅)

近年はテレビ番組の影響などもあって俳句の人口が増えているという。江東区にある芭蕉記念館を訪問した際もなかなかの人数が訪れていたし、日本の誇るべき文化である俳句は今後も継がれていってほしいもの。そんな俳句について世界で唯一、専門的に扱っているミュージアムが大久保駅から徒歩5分ほどの場所にある俳句文学館である。

俳人協会の運営する俳句文学館では会議室などを利用した俳句教室が開かれている他、俳句に関する資料を膨大に扱っている図書閲覧室があり、希望者は利用することができる。基本的に俳句を詠む俳人がメインとなっている施設ではあるものの、この施設の中に展示室があることを知って訪問することに。俳人でなくても一般でも自由に見学することができる。

重厚な建物に圧倒

建物の3階にある展示室はシンプルながら充実した資料が豊富で、近代俳句における創始者ともいえる正岡子規の句をはじめとして、その弟子筋にあたる高濱虚子など教科書で名前を見たことのある俳人の作品が紹介されている他、中村草田男、水原秋櫻子、大野林火など歴代の俳人協会に携わってきた人物の作品も生前の写真と共に紹介されている。

正岡子規からの系統は大きく分けると二つあり、高濱虚子へと受け継がれている定型律俳句と、もう一人の弟子である河東碧梧桐から始まっている自由律俳句とがある。今回おとずれた際には高濱虚子に続く定型律俳句が主で、河東の系統である荻原井泉水や尾崎放哉、種田山頭火などが無かったのは個人的には寂しい。

印象的だったのが久保田万太郎や久米正雄といった文学者だったり、代表的な女性俳人の中村汀女などをはじめとしたユニークな作品が採り上げられていること、江東区に記念室のある石田波郷の作品や、角川書店のかつての社長である角川源義の作品が展示されていたりとバラエティに富んでいる。

トイレは洋式。ミュージアムには珍しく地下階には喫煙所も設けられているという。考えてみれば展示室内にある俳人のパネルには生前の彼らがポーズを決めたりしているのだけれど、どの俳人もタバコを持っていたりしたので、意外とタバコ文化も連綿と受け継がれているのかもしれない。

常設展示室 シンプルだけど奥深い


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