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山の上ホテル(東京都千代田区・御茶ノ水駅)

建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計し、数多くの文豪たちが寝泊まりしたことで知られている山の上ホテルことヒルトップ・ホテルが建物の老朽化のために2024年2月をもってしばらく休館することに。長期の休館を踏まえてロビーなどを開放するイベントを開催するということで訪問することに。注目度は高く、多くの見学者で賑わっている。

佐藤慶太郎(東京都美術館などの創設に尽力した実業家)によって母校の明治大学のそばに生活の改善研究と実験設備として建てられた佐藤新興生活館を元とする。階段のような外観をはじめとしてアール・デコ調の建築が印象的で、建物のあちこちに八芒星をイメージした意匠が残されている。

床の八芒星デザインが素敵
天井にも八芒星

戦後になってGHQに接収されたが、のちに返還されるとそれを機に、佐藤慶太郎と親交のあった国文学者の吉田弥平の息子である吉田俊男によって山の上ホテルとして1954年に開業し70年の歴史を持っている。それまでにホテル運営の経験ゼロだったが顧客目線でサービスを考えたことで「西洋旅籠」としての地位を確立させた。

黒革のソファまで高級感
スタッフの方が使っていた机
文豪が使った机も
らいおん・・・?

本の町である神保町が近かったことから、川端康成、石坂洋次郎、尾崎士郎、山本健吉、舟橋聖一、吉行淳之介、トーベ・ヤンソン、田辺聖子、伊集院静といった文豪が寄り、ホテルに宿泊して執筆する俗に言う「カンヅメ」の文化も形成されたことで知られる。中でも池波正太郎は縁が深く、ロビーにも彼が描いた絵が飾られたりしている。檀一雄、常盤新平、三島由紀夫、山口瞳、安岡章太郎、田村隆一、高見順といった面々による直筆の手紙が残されている。

創業時のパンフレットとかいろいろ

トイレは地下階にありウォシュレット式。洗面台も八角形というのが愛らしい。また建物の裏手には山の上教会がありこちらもまた荘厳かつ開放的な場所。休館前の最後のタイミングに行っておきたい場所である。

ガラス天井が陽あたりも良好 寒いけどストーブがあります
また会おうぜ

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