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Bunkamuraミュージアム(東京都渋谷区・渋谷駅/マリー・クワント展)

2023年の春をもって長期休館へと突入することになる東急本店Bunkamuraミュージアム。休館中は渋谷駅前にある渋谷ヒカリエにミュージアム機能を移転して展覧会を開催するということになっており、やがて改修工事のあとには再開するかもしれない。けれどもいつまでもあると思うなミュージアムということで、本当に再開されるのかは未来のことなので未確定。ならば今あるこの東急文化村のミュージアムもある内にしっかり観ておかなくては、と久しぶりの訪問。1年ぶりくらいになる。

開催されていたのはマリー・クワント展。百貨店デパートの化粧品売り場でデイジーのロゴで女性客を中心にして化粧の手解きをしながら販売しているイメージの強いマリー・クワント。主要顧客が女性というのもあるのだろうか、会場は女性客がほとんどで男性の見学者は数えるほど。なかなか男性の単身では目立つ感じではある。とはいえ今回の展示では化粧品よりもむしろデザイナーとしてのマリー・クワントを紹介するというものでファッション関連に興味があればぜひ行っておきたい展覧会ともいえる。

イギリス出身のマリー・クワントはイラストを学んだ後にチェルシー地区でのちに夫となるプランケットらと共に『バザー』という店を開いた。販売は夫とその友人が中心でマリーは服飾デザインを中心に行なっていたという。ミニスカートを商品として売り出したところそれが大ヒット、カラフルなデザインのミニスカートは若者を中心に多くの顧客を得た。1960年代のイギリスのファッションを担った中心人物の一人で、いわゆる「スウィンギング・ロンドン」という文化の担い手として知られている。

会場はさながらファッション・ショーのような趣きで構成されており、マネキンが立ち並ぶ中で彼女のデザインした洋服を中心に展開されている。特徴的なのは彼女のデザインした洋服の一部に付けられている名称。「近衛兵」「淑女気どり」「石炭運び」といったユニークな名称が割り振られている。男性優位の風潮が今よりも強かった1960年代(銀行口座は女性単体で作ることができなかった)に女性の社会進出を自ら体現する形で訴えたマリー・クワントの姿勢は現代においても指標の一つとなっている。

ツィッギーかわええ

個人的に好きだったのはレインケープ。日本ほど雨が多くない地域というのもあるのだろう、ポンチョのレインコートは防水性がどこまであるのかはわからないものの、とにかくお洒落でこれなら憂鬱な雨の日もむしろ出かけたくなるような楽しいファッション性を持っている。この中にも「クリストファー・ロビン」という名称のスモックがあったりする。他にも部屋着からのスポーツ・ウェアや下着などのアンダー・ウェア、それに型紙を販売して家でも安価で服が作れるようにしたりと、ファッション文化が浸透するように苦慮してきた様子が窺える。

展示室は最初と最後を除いて撮影できないのはBunkamuraの展示では珍しくない。トイレは安定のウォシュレット式。改修中はザ・ミュージアムだけでなくシアターコクーンやル・シネマ、ギャラリーも移転すると聞く。改修後はBunkamuraのラウンジも見られなくなるのだろうか。光が差し込む中央のスパイン広場とか結構好きだったんだけれど、残してほしいものである。

この入口も無くなるのだろうか


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