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短歌

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簡易的歌集としてまとめておきました。
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2022年6月の記事一覧

まだ君が口にするには早いけどでもまあそれで良しとしましょう

夜道を歩いていてすれ違う集団というのは、 どうしてかこちらが一人、ないし二人と、小人数と…

捻じ曲がるガードレールに導かれヘッドライトはただただ進む

極端な夜道のガードレールって意味ありげに見えますね 短歌初出:「かばん」2021.9月号

大雨を蹴立てて歩く246地球最後の夜を抱えて

実話です 246は国道246号線。 「地球最後の夜」は、正確には「last night on earth」=地球最…

今日の死を決するの安心は留魂録の八章参照

コンニチのシをケッするのアンジンはリュウコンロクのハッショウサンショウ 今日は夏至でした…

作られたタンパク質を飲む僕の生存証明保証書を読む

プロテインは飲みづらく 日常の些事は疎ましく それでも命は続いていく、という話

もう二度と会わない人を追い抜いた生命線は案外長い

「29歳問題」とよく言っているのだけれど、僕が好きな(大切なことなので強調しておくが尊敬は…

寄る辺なく綱の外れた舟として解体工事現場を仰ぐ

2020年6月、以前四四田が働いていた喫茶店が閉店した。 かつての直属の上司からの連絡でそれを知った。 この歌はその時に詠んだ歌だ。 働いている間の店の体制、従業員たちと経営サイドとの折り合いは、決して何もかもがうまく行っているわけではなかったけれど、ただ、それでも従業員たちはみんな、その店をとても愛していたと思う。 素敵な、唯一無二の店だった。 社会的状況下によって、休業は余儀なくされてはいた。それでも、再開に向けて動いているのだと信じていた。それが、突然の閉店。 四

光あれ降りなくなった駅名と発車メロディ聴く眼裏に

引越しや転職、人間関係や生活スタイルの変化で、 かつてあれほど足繁く通ったのに、まるでそ…

追悼歌としての「或いはフライドチキンのおじさん」

この八首の連作は、孤独死をした叔父に対する追悼歌として作った。 もう十数年会っていない叔…

或いはフライドチキンのおじさん

命日の定かではないまま送るかつては末っ子だった形骸 生きてきたように死んだと言うのならお…

運命は運命じゃない顔をしてやってくるんだ「馬鹿を言うなよ」

運命ってどこでどう結びついて存在しているのか あまり有り難くない体験が、確実に今の自分の…

今日という日をごまかして息をするわずかばかりの花などを買う

これを詠んだ時の心境をあまり覚えていない。これは実は、四四田にとってはとても珍しかったり…

暗がりに潜んだ蜘蛛の二本目の脚に絡まる古い糸くず

これは実話です この歌は、歌人集団「かばん」に所属していた際に、会誌に投稿した歌ですが、…

加害者にならないためのファミレスで24時間許されるパフェ

深夜、何処にも行き場がないようなときに それでも行き場所を見つけてほしい そうして何か甘いモノを食べてほしい パフェとか たとえば何の解決にならなくても ただ闇雲に問題を先延ばしにしてるだけでも なんでもいいからとにかく今だけは 決定的な何かを断じてしまう前に パフェとか食べたらいいと思う 短歌初出:「かばん」2021.9月号