PFAS水汚染について考えよう(10/4イベント開催)
8月26日。沖縄中が不安と恐怖で包まれた。沖縄に駐留する在沖米海兵隊が、普天間飛行場に貯蔵している有機フッ素化合物(PFAS)が含まれている汚染水を、多くの沖縄県民と県や地元の宜野湾市が反対する中、公然と公共下水に排出し始めたのである。人体への影響も懸念されている汚染水を県・市の許可なく無断で放流したことにより、沖縄県民の生活は脅かされている。しかも県・市のみならず、日本政府も承認していない中での放出。岸防衛相は「本当に遺憾の意を強くしている」として異例の米側への批判を行なった。(※1)
しかし、国民の命が危険にさらせれているにも関わらず、政府は抗議や遺憾を表明するだけだ。具体的な行動を一切取っていない。内閣府や外務省などはバイデン政権との外交的なパイプを活用して抗議するべきではないだろうか。
そんな中、多くの県民、そして県・市・政府が抗議する中で、米側からは「抗議は受け付けない」という衝撃的な回答が発せられた。(※2)
沖縄を軽蔑し、主権を踏みにじるような米側の発言、それを黙認する日本政府の態度は米軍統治時代から全く変わっていないように思えてならない。
PFASとは何か?
〜アメリカでは規制しながら沖縄では隠蔽する米軍〜
PFAS(ピーファス)という言葉を聞いたことがあるだろうか?多くの人にとってはあまり馴染みの無い言葉ではなかろうか。恥ずかしながら、筆者はこの事件で初めてPFAS(ピーファス)という単語を知った。
プルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)は、耐熱性、耐油性、耐水性に優れた、おおよそ5000種類の合成化学物質群である。20世紀半ば以来、世界中で数えきれない製品に用いられ、わたしたちの生活は安全で便利になった。【永遠の化学物質 水のPFAS汚染 -p2 岩波ブックレット No.1030】
PFASは、生活の至る所で使われている化学物質だ。しかし、その性質から、自然界や体内で分解されにくいとされていて、別名「永遠の化学物質」とも呼ばれている。世界中の至る所で使用され、軍事基地や空港などでは泡消火剤として使われている。自然を汚染し、人間の健康に深刻な影響を与えている。
アメリカやヨーロッパでは、PFASの有害性が指摘されており、一部規制が進んでいる。アメリカ環境保護庁は、今年3月、PFASを規制することを決定した。(※3)
もちろん日本でも日常的に使われているが、PFASはあまり問題として取り上げられていない。日本の中でも沖縄は特に深刻な被害を受けている。その原因の多くは米軍基地内で使用されている泡消火剤である。沖縄タイムスの報道(※4)によると2019年と2020年にPFASを含む汚染水が基地外に流出したにも関わらず、米軍が公表していなかったことが明らかになった。
アメリカは、PFASが、いかに危険であり、問題であるかを認識しながら、自国民には規制し、一方で沖縄ではこの問題を隠蔽し続け、とうとう生活排水と一緒に流出したのである。日本政府も形だけの「抗議」をしただけで沈黙を続けている。
声を上げる沖縄県民 沈黙する県外
〜「イマ」沖縄で何が起きているのか学び、声をあげる〜
そうした中で、米軍と日本政府に対して、沖縄県民は抗議の声をあげた。琉球新報は27日『米軍PFAS放出 下水への接続を切断せよ』(※5)との社説を掲載し、放出を強く非難した。
『米軍が排出を止めて日本側との協議に応じないのならば、県民の命と健康を守るため下水への接続を切断することも念頭に置いて対処すべきだ。』
『米軍は自らの責任でもって処分方法を検討すべきだ。県民の健康に害が及ぶような手法は決して認められない。』8月27日琉球新報デジタル版
そして、子どもを持つ母親を中心に、PFAS問題に取り組み活動をしている「水の安全を求めるママたちの会」は、沖縄防衛局に抗議し不安を訴えた。胎児や小さな子どもは、大人に比べて特に健康への被害を受けるリスクが高いのだ。参考:(9月20日 FNN プライムオンライン)
一方、本土では、PFAS問題について大きく報じられることは少ない。しかしPFAS問題は、沖縄だけの問題だけではなく、全国の問題でもある。例えば神奈川県の厚木基地でも目標値の5倍のPFASが検出されている。(※6)
こうした中、私たち市民ができることは何か。県内・県外の垣根を超えて、沖縄で「イマ」起きていることについて学び、考え、発信していくことだと思う。
10月4日 「水の安全を求めるママたちの会」代表の山本藍さんをお呼びしてイベントを行います!🌺😀
そこで、県内・県外に双方のメンバーがいる私たち習知琉球は、以前からPFAS問題に取り組まれている「水の安全を求めるママたちの会」の代表の山本藍さんをお呼びして、10月4日の午後8時からオンラインイベントを開催することとなりました。
私も含め、今回の問題、PFAS汚染水問題については、知らないことだらけです😂
市民として、生活者として子どもの未来を守るために活動をされている山本さんのお話を聴きながら、皆さんと一緒に沖縄の「イマ」を考え、学んでいきましょう〜!!!
⬇️お申し込みはこちらより⬇️
※1) 21年8月27日琉球新報『PFAS汚染水放出「一方的に行われた」 岸防衛相が米側対応を批判』
※2) 21年8月27日琉球新報『在沖海兵隊「抗議は受け付けない」 PFAS汚染水放出で沖縄県、宜野湾市に』
※3-1) 一般社団法人日本バブル工業会『「永遠の化学物質PFAS」の規制が世界的に強化』
2)Federal Register 『Announcement of Final Regulatory Determinations for Contaminants on the Fourth Drinking Water Contaminant Candidate List』
※4)21年 8月29日沖縄タイムス『隠された事故 海兵隊の報告書を入手 米軍基地内でPFAS入り泡消火剤が大量漏出』
※5)21年8月27日琉球新報『<社説>米軍PFAS放出 下水への接続を切断せよ』
※6) 20年6月12日 神奈川新聞カナロコ『有機フッ素化合物、暫定目標値の5倍検出 厚木基地近く』
この記事を書いた人
蓑田道(みのだたお)東京都港区出身・在住。習知(ならしゅん)琉球共同設立者・運営。2015年安全保障法制の制定時に安保法制に反対する10代のグループ『T-nsSOWL』でデモや国会前抗議行動を行ったことをきっかけに社会活動に関わるようになる。
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