私の好きな奈良の一本桜
桜の季節がやってまいりました。
奈良にも沢山桜の名所があり、特に吉野は一生に一度行きたいと願うほどの素晴らしい桜です。
でも今回は、そんなに派手でないけれど、なんとも心に残る「奈良の一本桜」をご紹介します。
一本桜とは、文字通り、一本だけ立っている桜の木のことです。
【東大寺 大仏殿】
東大寺大仏殿 この参道のわきに一本桜があります。
一年のなかで今だけ、華やかに咲いてくれるのでいつも楽しみにしています。
桜の時期はすぐ終わるので、ほんとに一瞬しか会えませんが、それ以外の時は葉桜となって、日陰を作ってくれる貴重な桜です。
【春日大社 しだれ桜】
春日大社の南門の脇に、大きなしだれ桜があります。
この桜はけっこう有名で、春になるとよく写真があがっています。
しだれ桜なので、色んな桜の先頭をきって咲いてくれます。
春日大社にお参りすると、まずこの桜が出迎えてくれて、毎年とても優雅な姿を見せてくれます。
【薬師寺 西塔の桜】
薬師寺は古代の伽藍が失われ、高田好胤さんという名物僧侶が、お写経によって浄財を集め、伽藍を復興するということをされました。
薬師寺には奈良時代の塔がのこっていることで有名で、でもそれ以外の伽藍はほとんど昭和の再建です。
西の塔もそのひとつ。
この西の塔のそばに大きな桜の木があるのです。
まだ朱塗りや連子窓の緑が美しく、その華やかさと桜の木がとてもあいます。
【東大寺 おかっぱ桜】
最後はまた東大寺です。
東大寺の大仏殿の後ろに、講堂跡というところがあります。
講堂とは僧侶が勉強をするところ。
今はもう建物はありません
この講堂のすぐそばに「おかっぱ桜」と呼ばれる桜があります。
文字通り、髪を切りそろえておかっぱ状態になった桜なのです。
奈良には鹿が沢山いまして、彼らは草木や花を食べて生きています。
高い場所にある枝葉も食べてしまうのですが、首をのばして届くところまでかじるので、ちょうど彼らの首の長さのところで切りそろえられます。
これがおかっぱ状態に見えるのです。
おかっぱ桜は咲くのが遅いので、今日2024年4月3日現在はまだまだでした。
桜並木は人出も多いので、この一本桜だけを愛でるのはいかがでしょうか。
奈良でガイドをしています。これからもっとあちこち回っておもしろいガイドを提供します。ご支援どうぞお願いいたします。