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大病体験記 第1章「心地よい生」06(第1章最終話)

ども、ならなすおです。
今日は大病体験記の続きです。
今日初めて大病体験記を開かれた皆さんは、マガジン(無料)の「大病体験記」っての作ってますんで、時間のある時に、1から見ていただけると嬉しいです。

ときに、さっきまで、家のPCのデータ、バックアップしてました。
世界的に大変なことになってるみたいなんで。
Windowsの裏で勝手に動いてるやつとか、バグられたらどうしようもないっすよね。
マッチさんに「これだよ、、、」やってもらわないと収拾つかないやつですよね。
(近藤真彦「ケジメなさい」参照)

さて、大病体験記ですが、いよいよ第1章は今回で終わりです。
次章で、発病します。
乞うご期待です。

では早速、本編をご覧ください。

ここから本編


 Y先輩は、彼の直接の上司になったことはなかったが、課をまたいだ仕事を何度か共にした一回り上の先輩で、現在は役所の主要出先機関の長という「出世ポスト」に就いたキャリアウーマンだ。
 先輩によれば、そのまた一回り上のKさんという大先輩が、現在、某社会福祉法人で役員をしており、人材を探しているのだという。人の業務を率先して肩代わりしていた頃の彼の姿から、先輩は、紹介する人材として最適だと判断したらしい。
 そして、彼の話をKさんにしたところ、興味を持ってくれたのだそうだ。
 Y先輩の配慮は、彼にとっても、実際とてもありがたかったので、一度Kさんを含めた3人で酒席を設け、話をすることになった。

 その日は、まだ梅雨入り前だったが、午後から雨がぱらつき、夕方はかなり蒸し暑かった。
 Y先輩とコーヒーショップで待ち合わせ、酒席の会場へ向かう。
 出入り口前で待っていたKさんは、さすが元役所のエリートだけあって貫禄がありながらも、気さくな印象の紳士だった。

 生ビールを飲み、焼き鳥を頬張りながら聞いたKさんの話は、彼にとってとても魅力的だった。

 勤務先は、認可保育園で、ポストは副園長。
 保育士の資格等はおいおい取得すればよく、当面は経理、採用、補助金関連の市役所との調整などがメイン業務となるため、公務員OBを中心に人材を探していたようだ。
 保育園運営に当たっては、IoTなどの先端技術の活用も順次進めているらしく、彼の知識も役に立ちそうだった。

 もともと彼自身、初等教育から下の「幼児、児童を育てる」という段の教育に興味があった。
 それは、貧富の二極化が顕著になってきた現代で、子どもに安心と学びの機会を与える、数少ない「平等の場」だと思われたから。
 社会に出た大人たちの能力差は、正直言って如何ともしがたい面がある。たとえ「リスキリング」を経たとしても、良い教育を受けてキャリアを積んだ人材との差は、容易に埋められるものではない。
 では、子どもたちならどうだろうか?
 その現場では、どんな教育が行われ、化学変化が起きているのか?
 自分には縁遠かった現場を体験できる、貴重な機会のように思われた。


 Kさん、Y先輩と握手して別れ、居酒屋から自宅までの20分ほどの道のり、彼は傘を片手にゆっくりと歩を進めながら、伝えられた勤務条件を反芻していた。
 給料は、十分だ。
 自分の強みも、生かせそうだ。

 だが、ただ一つ、問題があった。

 提示された勤務地は、隣県のF県F市だった。

 初めての単身赴任。

 Kさんも、「家族で相談して」と言っていた。
 さて、どうしたものか。
 妻に、いつ、どうやって伝えよう。

第1章完

第2章へ続く

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