見出し画像

『1ヶ月書くチャレンジ』DAY15 | 美味しいパンとスープとかわいい猫が出てくるこんなお話いかがですか?

 おいしい料理の話が出てきて、かわいい猫がそばにいて、「急がなくていいよ」とか「自分の出来ることをしていこう」という気持ちが欲しくて、ほっとできる気持ちになりたい誰かがいたら私はこの作品をおススメしたい。

 群ようこさんの『パンとスープとネコ日和』は私が一番最初に読んだ群さんの作品だ。私がわざわざ紹介しなくても有名だし、暮らしを大切にしたい女性からの支持も厚い。それでも今回はこの作品をおススメとして紹介したい。

 そもそも私がこの作品を知ったのは映像化されたこのお話をアマゾンプライムで観たことからだった。
 初めて観た時、たぶん私はぼろぼろだったのだと思う。もしくは変化が乏しくなった一人暮らしに違う何かを求め始めていたのかもしれない。普段は映画を観るためのアマプラだったし、重いテーマの作品やドーン!バーン!なハリウッド作品も抵抗なく観ていたのに、そういう心がドキドキする作品を観ることに疲れてしまっていた。日常系がテーマの作品より非日常の世界観を求めて観ていた映画にその時は疲れてしまっていた。
 そういうことってある?
 そうした時にこの作品を見つけて何気なく観たことで、食いしん坊が増したのか、おいしそうな食べ物をつくる本や映画などの作品に惹かれるようになった。

 唯一の身内である母を突然亡くしたアキコは、永年勤めていた出版社を辞め、母親がやっていた食堂を改装し再オープンさせた。しまちゃんという、体育会系で気配りのできる女性が手伝っている。メニューは日替わりの〈サンドイッチとスープ、サラダ、フルーツ〉のみ。安心できる食材で手間ひまをかける。それが、アキコのこだわりだ。そんな彼女の元に、ネコのたろがやって来た―――。泣いたり笑ったり・・・・・・アキコの愛おしい日々を描く傑作長篇。

 主人公のアキコさんは私よりずっと年上で、年を重ねてきた余裕と思考を持つ素敵な女性だ。母親の死をと職場の異動を打診されたことをきっかけに退職し食堂をオープンさせた。
 まず、アキコさんの行動力が私は好きだ。きっかけはあったけれどそのきっかけを「えいやっ」と自分の行動に反映させて、今まで歩んできた人生を振り返るけれど否定もせず自分のやりたいことに進んでいく。
 しかもアキコさんは楽観主義者なわけではない。「なんとかなるでしょ」だけで進まず、緊張感と責任をもってお店を開いている。でもお店を存続させるために一生懸命というよりは毎日お客様に提供するスープとパンに集中することでお店と毎日を過ごすことに重きを置いているようだ。
 「日々を大切に過ごす」ということは言うまでもなく自分次第だ。周りがそういう風な環境を作ってくれるわけではない。でも周りにいる人が助けてくれることも多い。そう気づかせてくれるのがアキコさんのお店を手伝っている『シマちゃん』の存在だ。

 シマちゃんはアキコさんとの面接で採用されたスタッフだけど、鼻息荒く「ここで働かせてください!!」と乗り込んできたわけではなく、前に働いていた場所が突然閉店して次の職場はどうしようと考えていたらスタッフ募集のアキコさんのお店の張り紙を見つけた偶然で面接に来た人だ。
 「働かなくちゃいけないから」というシンプルな理由のシマちゃんをアキコさんは他の熱い志望動機を持った人たちを退けて採用した。
 私はこの時、熱い志望動機を持っているからって、採用する側の心を揺さぶるわけではないのだなぁとへええと思った。複数のライバルがいたらやっぱり一番やる気のある人と評価された人が次につながるものだと思っていた。だけど「相性」というものが存在する。相性が良くないと続かない。第一印象で相性の良さを見抜くことは難しいけれど、アキコさんには出来た。さすがだなぁ。

 パンとスープを作るアキコさんだけのお話ではなく、シマちゃん、商店街のアキコを見守るおじいちゃんおばあちゃん、色とりどりの人たちに支えられてこのお話は進んでいく。すごくドラマチックではないけれど、出てくる誰かの言葉が誰かの日常をそっと変え、変化が続く。

誰かの言葉。

 それはアキコさんの言葉からでもあるし、アキコさんが誰かに言われた言葉でもある。誰かが発した言葉で日常はそーっと変わっていく。
 変化と気づき。そして自身の思考に落とし込む。その繰り返しをしながらアキコさんも考えて、悩んで行動する。そしてパンとスープも変わっていく。

 文章で改めてこの作品について考えてたら「言葉」からの変化ってすごいな、と思った。この作品すべての言葉が心地よく目に入ってくる。この作品と私は相性がよかったんだ。本当に出会えてよかった。
 群さんの作品はその後8冊くらい読んだけど、ダントツこの作品の読み直しが一番多い。もっと言うならシリーズ化されて5冊既刊なので5冊続けておいしいパンとスープを堪能できる。

 長々と書いてしまったけれど、結局おススメな点は、
・疲れてるな。。。と感じている人
・おいしいサンドイッチとスープが食べたい人
・「言葉」の心地よさを知りたい人、もしくは好きな人

どうぞどうぞ、こちらの作品読んでみてください~!

書籍『書く習慣』の「1ヶ月書くチャレンジ」を実践中。


最後まで読んで頂きありがとうございます。夫さんが思う存分農業が楽しめるように私も好きなことでサポートしていきたいと思っています。頂いたサポートは今後の活動に充てていきます!