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『1ヶ月書くチャレンジ』DAY14 | 美術に夢中になったきっかけと、その理由を改めて考えてみる。

 私は美術が好きだ。小さいころから美術館に母親に美術館に連れて行ってもらっていた影響も大きいけれど、「夢中」になったのは大学に入ってアルバイトをして自分のお金で美術展に足を運ぶようになってからだと思う。

 『ベルリンの至宝展ーよみがえる美の聖域』@東京国立博物館 2005年

 この展覧会に魅了されたことで美術展に足を運び始め、海外に行っても美術館、博物館にばっかり行くようになってしまった。

 大学でドイツ語を勉強していたこと、ゼミの選考会に志望動機を提出するにあたって美術展に行かなくてはいけなかったことがこの美術展を選んだ理由だったと思う。もう15年以上前か~…

 当時美術の知識など無いに等しく、なんで歴史的価値があるのか、なんでこれがすごい展示品なのか、みたいな疑問を抱く余地もないままただただ展示品に圧倒されていたことを覚えている。

 この時の展覧会のテーマが『聖なるもの』で古代エジプトからギリシャローマ時代、ルネサンスから19世紀の絵画まで幅広く時代にまとめて展示されていた。美術初心者の私には広く時代ごとにみられることはわかりやすかったのかもしれない。

 5つの美術館、博物館から形成されるベルリン博物館島の収蔵品であり、この時は博物館島の全面改修があったため日本に収蔵品がやってきたのだとカタログには記載されている。今2021年の博物館島はどんなに素敵な場所になっているのかな。

 たくさんの展示品の中でその時からの私の美術に夢中になったきっかけの作品が二つある。過去のnoteに書いていた。

ボッティチェリの『ヴィーナス』
ラファエロの『コロンナの聖母』
超超超有名な芸術家の作品が来日していた。さすがに名前は知っていたけれど、ラファエロの作品を直に見るのは初めてだったと思う。ラファエロの中でも決して有名な作品ではないけれど、作品のきれいな色使い、ずっと見ていられる聖母子の表情とグラデーションの風景の空。「これが聖なるものだ。」と食い入るように見つめた。

 お金もないのに展覧会のカタログも買って何度も何度も図版を繰り返し見た。そのおかげで情熱(?)が伝わったのか希望のゼミにも入ることも出来た。

そしてどんどん美術に夢中になっていった。

 大学の授業とアルバイトがない日は美術館を巡り、若さに任せて1日で3つ回ったりもした。作品リストに自分にとって新しい発見をメモ書きにして、「好きだな」と思う作品には丸印をつけた。カタログを入手しなかった日は自作した美術ノートに行った展覧会とメモを改めて書いて、気に入った作品の画像をPC検索してプリントし貼り付けていた。

 その美術展に行く→美術ノートに書くのサイクルは社会人になっても変わらず続けていた。途中から画像のノリ貼り付けからExcelで編集、一気に印刷、ファイルに差し込み!にすることで手間が減った。(早く気づけ)
 2009年くらいに東京に興福寺の阿修羅がやってくる!という時に美術展に行ってインプットしてくることが日常だった私は当時付き合っていた彼氏を誘った。ただタイミングが悪くてその時彼氏との仲が微妙で喧嘩ばかりしていたので「なんでこんな気分で仏像観に行かなきゃ行けないんだ」と怒られた記憶がある。仲直りするために阿修羅を観に行きたかったわけじゃない、ただ「私」が観たかっただけなのだと理解した時にはあぁ、相手のことも考えず観に行きたいことを最優先してしまう、それほど夢中になってしまっている。。と痛感した。結局一人で行ったような。。。

 とにかくインプットに夢中になっていた。ひとりで美術館に行くことが好きだったので特に語り合う相手や友達もいなかった。こうして文章で美術展についてアウトプットすることもなく、インプットがどんどん増えていった美術館で自分の知識が鑑賞に役立つことがただ嬉しかったのだ。

 初めてアウトプットしようと思ったのは「美術検定」という美術の知識や教養を問う日本の検定試験で、株式会社美術出版社により実施されていることを知った時だった。自分のインプットを確かなものにしたいと思って3級、次の年に2級を受験した。

 2級は本当に曲者で、美術史、作品、作者のことだけでなく、美術館そのものの仕組みを勉強しなくてはならずそこに素人の私は苦戦した。美術館の歴史、経営の仕組み、これからの在り方について。私は学芸員の資格など持っていないので美術館の中枢で働くなんて夢のまた夢のようだけれど少なくとも美術館について学ぶいい機会になった。ついでに言うとこんなに勉強したのも久しぶりでとても面白かった。合格できて数年たつけれどそろそろ1級にチャレンジしてみようかなと考えている。

 なんでこんな夢中になったんだろうと改めて思ってみる。
私は作品を観て圧倒されることが嬉しいのかもしれない。これが人が描いた作品なの?こんな形に人はモノから創り出せるの?ヒトが作品を生み出すまでの葛藤や苦しみがもちろんあるにせよ、目の前の作品は簡単に創り出せないことを物語っている。まじまじとみつめればみつめるほどどうやってこんなものが描き出せるの?と頭の中は???でいっぱいになる。同時に歴史の中で残っている作品への尊敬の念が渦巻いてそれが1周してただ「きれいだな」「この作品好きだな」と自分軸でみつめている。

 美術展に行くことはその繰り返し。圧倒される出会いと自分に落とし込む作品への敬意。やめられない、とまらない。これからも会いたい作品のために外に出て、海外に行くこともためらわないそんな自分でありたいと思う。

書籍『書く習慣』の「1ヶ月書くチャレンジ」を実践中。


最後まで読んで頂きありがとうございます。夫さんが思う存分農業が楽しめるように私も好きなことでサポートしていきたいと思っています。頂いたサポートは今後の活動に充てていきます!