酒、エクスクラメーションマーク


飲もうか迷っている。
まずうずくまっている。
ストレスの指標となる背中が、ぢりぢり痛んでいる。
お酒を飲むからと思って、確か何かを我慢しながら家に帰ってきた気がする。リーチだ。

怖い。現実がそこにある。ここに来ないでほしい。来たとして染まったら案外楽なのかもしれない。

部屋に入れない。風呂場の電気だけつけて、廊下に、それもかごに入りきらなくなるほど溜まった洗濯物の上に座っている。
普段ならこんなことしないけど、今日はズボンも綺麗なままだしいいや。でかけないから汚れてないからって、冬はいろんなことをさぼる。寒くて憂鬱が物凄いスピードで重くなるからそれでやっとトントンだ。
足元にはカレーで汚れた深皿と日本酒の紙パックが置いてある。カレーは昨日の汚れである。その汚れの上にカットキャベツをどさどさと空け、ドレッシングをどくどくとかけ、むしゃむしゃと(本当にそういう音で)むやみやたらに食べ、
そろそろスマホを打つ腕が疲れてきた。今日も変わらず抜けている自分は、充電が2%で、洗面所の電源に充電器を挿したら短くて、本体を浮かすしかなくなった。こうも自分の状況を書き連ねてみると、まあ限界なこと。人に見せられやしない。
背中の痛みは収まらない。視界には酒。朱色。

飲みたい。判断力の低下という無に身を任せてしまいたい。飲まないでいる私の文は、詩的な綺麗さの欠片もなく、抜け出せず日常的で、稚拙が過ぎて痛ましい。

綺麗さってなんだよ、そんな取って継ぎ接ぎ付けた造語みたいな稚拙さ。接尾辞がしっくり来てたらなんだっていいわけじゃない。もっとあるだろ。探せよ、力尽くまで、ネットに転がっているだろ、調べていいから語彙を増やせ、美しさ、流麗さ、麗しさ、審美、垢抜け、気持ち良さ、快さ、でもどれも違くて綺麗さじゃないといけなかったの!怒んないでよ!


ひと区切りついたならまた飲みたい。なんで飲んじゃだめなんだっけ。薬が効かなくなんだ。
あと肝臓が壊れて、筋肉が落ちて、太りやすくなって。
いいことなんもないじゃん。飲まない方がいい。でも買うものがないのにお店に入ってしまう。お酒のパッケージに引っ張られていく。理解しがたい。わかっているから辞めるだけなのに。知識はこの腐ったような頭でかじるだけ読んだからある。どうせ誰にも敵わないカスみたいな知識量だけど、自分ひとり助けるだけなら十分なはずの知識が。わかっているのになんでできない?わかんないよ!苦しいの!

この背中の痛み、書いてるだけの君にわかんないでしょ!私は今ここで苦しいの!なんにもわかんなくなりたいの、紙面の上で重みのない断片を、宙に組み替えて遊んでるだけの、影のない君に私もなりたいの!

なのにぜんぜん繋がってない!お酒飲まなきゃ私は、白紙の上で踊れない!君は、苦しいなんて言葉見下してる、君の態度と内心をなんて言ったらいいかわかんないけど、見下してるの!私だってほんとはもっと言葉にしたい、分解したいよ、理解できたなら、でも、この現実の私の中身を、なんて言ったらいいかわかんない、ねえ!君に聞くからさ、どうか答えてよ、これ、なんて言ったらよかったの……。


美味しいお酒でも飲みます。