一心不乱

助けて助けて助けて、いやたすけてだろうか。実は助けてほしいなんてそんなに思ってないけど、うわ言のようにずっと繰り返している。だからほんとに意味は無い。心配かけてごめんと思っている。
ベッドの上で横になりながら今唯一できるストレスの発散方法は文章(酒は飲むのにも体力がいる)だが、具体的な物事に触発されてない文章はともども中身のない言葉(ともども中身のない言葉?)、かつても繰り返した言葉の退屈な羅列になりがちで、この前も同んなじこと言ってたじゃん、という苛立ちとつまらなさ、折角読んだのにこれじゃあな、という失望。それによって俺という存在が見捨てられることに戦々恐々している。褒められれば褒められるほど怖くなる。縛られて押し付けられて、逃げたくなる。
そんなどこにも根付けない危うさ、不安定さ、怯え、やるせなさ、軽い諦め、重い体、ひとりふかふかのベッドに右向きとうつ伏せの間くらいで沈み、うわ言のように脳内で呟くたすけて。声に出す気力もない。心臓の拍動が目立つ。繰り返しすぎてもはやただの4文字なので気にする必要はない。
ちょっぴり思い出したから端書きしておくと、以前は彼女の名前を呼んでいた。その名を呼ぶと、内側で暴れている気持ちが少し収まる、おまじないのような2文字。それぞれ水色と茶色の音。組み合わさると黄色と緑か。

たすけては何色だろう。考えるのがだるい。別にたすけてには色が見えない。無理矢理見出してみるか。水色と、肌色…いや茶色か?、青色と氷の質感と、青みがかった黄緑。

たすけてほしい。ほしいは、紫と、主張の弱い白っぽい黄色と、うすい紫…水色…白?





昨日から文字と言葉の世界に深く潜ってしまっているから、ずっと抜け出せないでいる。
うちにうちに閉じこもり深い水のような世界に身体ごと沈んで心を任せるのは相変わらず安寧で、抜け出せなくなるから推奨してない。誰に?自分自身に。
やめろって言ったのにって、酒を飲むと、欲しい服ができると、世界観のあるゲームをすると、お気に入りの本を読むと、大好きな音楽を聴くと、文章をすると、絵を描くと、頭でそのことしか考えられなくなってしまって戻れなくなる。全部心のどこかで呆れてる。
娯楽をうまく摂取できない体質、「余韻で現実に戻るのがつらい」なんてレベルじゃないのだ。もし一度浸かってしまうと、もう頭から離れない。現実に完全に戻るまで、よくて数時間、2日3日、あるいはそれ以上の大きな機能不全を起こす。
軽率に睡眠が崩れ、家事をおろそかに、自炊のレンチンも待てず、課題が手につかない。あんなに待ってたLINEすら返さない、とにかく何も頭に入らない。だから息抜きのときは中途半端に好きなものだけ見る。大好きを見るにしてもブレーキをかける。欲しいものができたら最速で買いきる。そういえば娯楽を楽しみに日々を過ごすことがなくなったのはいつからだろう。中学?高校は確実だ。日々が日々が乾いていって、こんなん誰のせいなんだよって、この怒りにやり場のないことくらいわかってる。
どこにも沈みきれない。深い安寧から安寧へと移り住むことは何故かできない。その世界に染まりきった心を移せない。浮かぶと現実酔いを起こしてふらふらする。くるしい。
(作り話)
いま嘘ついた。作り話してた。から消した。信用失った。もうだめだ。今までだって嘘や脚色してないこともないのに今それについて自分で言及して八方塞がり作っちゃった。どうすんの?終わってきてる。沈みすぎなんじゃない?知らない。
現実酔いにはやっぱり機能不全という言葉が似合う。魂が抜けたような、置いてきてしまったような虚ろな様子。
今俺は文章に、noteに、ここに沈んでいるから、もちろんやるべきことは全くできていない。でも以前と比べて異常なペースで文章を書き上げる。結局沈まねば何も出来ないのかもしれない。本当にそうなのかどうか考えるのは今はもうよしたい。こうして喋っている間って安寧だ。抜け出すのは至難だ。文がまとまった。ここで切って終わりにしよう。タイトルを考える。沈む。潜る。溺れる。沈潜という単語があるらしいが馴染みがないので不採用。潜伏、潜熱、違う。撃沈。撃沈しちゃだめだ。耽溺……ぴったりだが「耽る」という記事が既にある。被りはいけない。というか、なにも行為をタイトルにする必要は無い。水底、潜水、いや……文中に出てくる単語をタイトルにしない方がいい類の記事な気がする。少し皮肉を効かせられたらなお良い。しっくりくる言葉が見つかるまで放っておこうと、予定に出かけようとするもやっぱり離れられなくて、気がつけばまた30分経っている。遅刻の連絡を入れている。
何か、こんな俺の廃人な今を表すような……。


美味しいお酒でも飲みます。