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かんじいさん

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かんじいさんの音楽と本
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#読書記録

ZAZ こんな曇り空の午後には...

この映像で彼女を知った。 アルバムを何枚も聴いた。 こころ、躍った。

かんじい
2年前
35

「“砂漠の隅っこで帽子をかぶっている靴下が見つかった…”」

韓国のSF短篇集『この世界からは出ていくけれど』の掌編「ブレスシャドー」に出てくるある物質…

かんじい
5か月前
68

もう汚してしまった。

ポカ、ポカ、冬のある日、ぼくの部屋のどこかに消えてしまった『アルジャーノンに花束を』を買…

かんじい
6か月前
73

“精神の腐食”のはじまりなのだ。

~人間はいかなることにも馴れる動物である~ ドストエフスキー自身の収容所での過酷な生活を…

かんじい
1年前
55

『大きな字で書くこと』 三五年近く書き続け、四冊の著作もある。それでも村上春樹を…

加藤典洋さんは、鋭い文芸評論家であった。 村上春樹さんの作品について、三五年、四冊、され…

かんじい
1年前
57

椎名誠さんの『遺言未満、』で“死に際”のお勉強。

「カロウト式」とは、墓石の中の骨壺を収める空間のこと。本書を読むまでそんなことも知らなか…

かんじい
1年前
65

本の“大量虐殺”工場で働くギレンは、『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』

★『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』 ジャン=ポール・ディディエローラン:著  夏目 大:訳 2019年4月17日/ハーパーコリンズ・ジャパン発刊 パリ郊外に住む主人公が、通勤電車で毎朝読書している、話ではなかった。 主人公、ギレン・ヴィニョールは、通勤客を乗せた電車の中で朗読しているのでした。 ドア右の小さな収納式座席に座り、大体10ページ分を下車駅までの20分を使って朗読する。 ギレンが朗読用の紙片を準備しているときに、誰かが咳でもしようものなら、他の乗客

本当に『ねこに未来はない』のか。

『ペンギンの憂鬱』、『カモメに飛ぶことを教えた猫』と、なんだか動物モノがつづくなぁ、と思…

かんじい
2年前
66

『カモメに飛ぶことを教えた猫』の著者は、三人の息子になにを伝えたかったのだろう。

書評には“愛と感動と勇気の世界的ベストセラー”、劇団四季の新作ファミリーミュージカルと記…

かんじい
2年前
64

『ペンギンの憂鬱』ウクライナの憂鬱。

カント先生曰く”人間はもともと邪悪で、放っておくとすぐに戦争をはじめる存在である”。 能…

かんじい
2年前
61

「読み返すなら今だぞ」本はときどきそう呼びかけてくれる。

北杜夫さんを半世紀ぶりに読み返していたら、また戦争が始まった。 この頃、若い時に読んだ本…

かんじい
2年前
61

アリステア・マクラウドと『冬の犬』に出会えた。

産まれて、生きて、手渡して、死んでいく物語。ぼくはそんな本を探していた。 10数年前、業界…

かんじい
2年前
46

表参道ヒルズのツリー。サイズダウンだがシック。

伝え方も、美しさの基準も、そして生き方も急速に変わっていく。 本屋を巡回して表参道へ。 …

かんじい
2年前
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謹呈「弥勒シリーズ」最新刊『花下に舞う』(あさのあつこ著/2021年3月31日・光文社刊)

ぞくり、とさせるのは信次郎なのか?著者なのか?それとも、われらひとなのか? いっきに読み終えた。 もう一度、浚うように読み返した。 ぞくり、と来る。  あれっ、下手人はこいつか、と謎解きのとば口を捕まえたと思ったら、  そいつはするっと見事に消えてなくなる。 今度こそ、と思ってもいつの間にか四周を高壁に囲まれて身動きひとつ出来ない。 そんな繰り返しが続く。 木暮信次郎は、飛び切りの同心だが、自分をお上などと思ってはいない。 ただの“人殺し”、“ひと死”には目もくれず