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老人会バス旅行、寿司屋のホラー

※この話は前回から続いています。

ツネさんにほたての貝紐が!

老人会のバスは無事に東京の目的地に到着した。
昼になり、一行はある寿司屋で寿司を堪能。

メンバーのひとり、ツネさんも寿司をむさぼっていたのだが、
ふと、前歯になにかが引っ掛かった。
「ああ、邪魔くさいねえ。なんだね、これは?」
指で引っ張って確認してみると、ほたての貝紐である。

「あ~年とると、すきっ歯になってよくはさまるよ。やんなっちゃうねえ、ほんとうに!」

彼女は貝紐を指でつまむと、前歯からギュッと強引にひっぱり出す。
そして、何事もなくまた食べはじめた。

しばらくしたときである。

目の前で食べていた、前話で入れ歯を忘れたトヨさんが、真っ青になってツネさんの顔を指さして言った。

「あ、あ、あんた!どうしたの!」
「えっ?!」

周囲の友人たちが騒ぎに驚いてツネさんを見た。すると、婆さんの口の中が血まみれだ。ネタの色さえ、わからない大出血。ドラキュラ老婆。

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ツネさんの止血法

「ん!?」

自分の舌で確認してみると、ようやく事情が飲み込めた。

貝紐を引っ張ったとき、前歯が根本から抜けてしまったのだ。しかも、その前歯を寿司といっしょにのみこんでしまった。

前歯はおそらく戻らない・・・。後ろから出たものを、もう一度歯に戻す勇気があれば別だが。

ともかく、今は出血を止めるのが先である。どうしたらいい?!口にティッシュをツッコむのは気持ちが悪い。

慌てふためきながらも、止血の方法は見つからない。しかたない。ツネさんは前歯の傷口を自分の舌で抑えて止血することにした。

その結果、ツネさんの顔は志村けん「だっふんだ」の決め顔のようになった。しかも、そのまま変顔で止血するしかない・・・。

やさしいほかの客は笑いをこらえるのに精一杯だった。

ちなみに、毎年、一行が旅の最後にかわす挨拶は「来年も、死なずに会いましょう」だそうである。

さらに追記。女性メンバーのひとりがひさしぶりにラジオ体操をしたところ、知らず知らずのうちに腰の骨が折れていたことがあとから判明した。

お大事に。


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