ニセ雅子さま、現わる!
ニコタマ、フタゴと呼ばれたきた街
今回のお話の舞台は東京世田谷区二子玉川。通称ニコタマ。
N氏は以前、ここに住んでいたことがある。ここの住人は「どこに住んでるの?」と聞かれると、世田谷区とは言わず「ニコタマ」、あるいは「フタゴ」と答える場合が多い。
世田谷区が広すぎるために「世田谷区のどこ?」という追加質問を受けることも多く、めんどくさいので返答を一度で済ませたい。
しかし、どこかで二子玉川のブランド名をちょっと言いたいという心理もある。
これは横浜に住んでいる人が、同じように神奈川と答えずに「横浜」と胸を張って答える心理に似ている。
そういえば、川崎市宮前区に住んでいる人達も川崎市とは言わず、「宮前区」だったり、「鷺沼」と答えたりするものだ。
話は脱線してしまうが、東急田園都市線の「たまプラザ」は正確には「たまプラーザ」であり、電車のアナウンスも「たまプラ~~ザ、たまプラ~~ザでございます」とこだわっているので、いつも聴いていてニヤニヤしたものだ。
話を戻そう。二子玉川は駅前の再開発によって大きく変わり、最近は再開発された駅側が、まるで二子玉川であるかのようなイメージになっている。
しかし、本来の二子玉川とは高島屋が位置する通りを隔てた反対側なのだ。大きなビルは高島屋だけ。そのまわりに小さなビルに入った飲食店が並んでいるだけの街。
再開発される前の場所には、賛否両論あったナムコワンダーエッグ、ペットショップのねこたま、犬たま、チープな釣り堀、パットゴルフ。
二子玉川の住人にとってみたらそれだけで十分住みやすい、のどかな街だったのだ。
ニセ雅子さま、現わる!
これはそんな時代、雅子さまが皇后になられる前、皇太子妃となられた頃のお話。
季節はうららかな春。午後3時頃、N氏は二子玉川のある中学校前を通りかかった。
ちょうど下校時間だったらしく、何人かの女子生徒たちが校門の前で左右に分かれてバイバイ!を言うところだった。
その中の一つのグループの行動が目を引いた。
彼女たちは帰りぎわの挨拶で、おたがいに「雅子さま」を演じていたのだ。
職場でやると、向かいの人にへんな目で見られることまちがいなしのこの芸、あなたもぜひ真似していただきたい。
ニセ雅子さまになる方法
1・まず背筋を伸ばすのが基本。
2・まっすぐ立ち、微笑みを浮かべる。
3・首を右に10度傾ける。
4・右の掌を相手にしっかり見せながら垂直に立てる。
5・それを90度の範囲内で右側に傾けて、元の位置に戻す。
このとき、重要なのは相手に「手を振る」のではなく、「手を傾けてご挨拶する」のが望ましい。
さらに、手を1回傾けるのに、往復でゆっくりと1秒かけなければならない。
彼女たちは友達同士でやっては、「キャハハ、雅子さまじゃん!」と喜んでいたが、きちんと「さま」だけはつけて礼儀を守っているところは、さすがニコタマの中学生であった。
完
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