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さよなら、フリッツ・ラング

第22回テレビ朝日新人シナリオ大賞 1次通過作品


【登場人物】                【キャスト・イメージ】
天野道也(43)フィルム修復師        オダギリジョー
天野徹也(39)元受刑者 道也の弟      松山ケンイチ
天野正吉(80)編集技師 道也の祖父     石橋蓮司
小坂武三(73)映写技師 名画座館主     柄本明
宮下香奈枝(31)事務員 道也の助手     瀧本美織
宮下陸斗(7)小学生   香奈枝の息子 
男(36)        徹也の友人  
ソルジャーV(?)    特撮ヒーロー
怪人(?)        敵役  

その他

【あらすじ】
浜辺でスイカを割る老人。彼こそ、編集技師として名を馳せた天野正吉。孫の道也は古いフィルムを修復している。名画座「第二キネマ館」の館主、小坂とは顔見知りで、その日は映画『メトロポリス』のポスターを貰う。それは正吉が昔、贈り物として壁に貼ったものだった。春休みにヒーローショーへ行った朝も含め、道也は正吉の姿を映像に残していた。
 
部屋に戻った道也は、助手の宮下香奈枝から手紙を受け取る。特撮ヒーロー『ソルジャーV』に渡したファンレターの返事だ。記憶を基に百貨店の屋上に向かう道也。小坂に見せると、自分宛てに別の手紙が届いていると知る。出所したばかりの弟、徹也からだった。
徹也は傷害事件を起こして服役、塀の中で同じ映画『メトロポリス』を見ていた。病院に向かった道也は、昏睡状態の男に徹也が来たことを告げる。その夜、道也は部屋を訪れた香奈枝の息子、陸斗に焼きそばを作る。
「第二キネマ館」営業最終日、一人の男が訪れる。男は包帯で顔を隠し、徹也は自分のために犠牲になった、そしてファンレターの返事を自分が届けたと話す。病床の徹也を信じなかった道也。改めて徹也が眠る病院へ向かう。いつか映画館へ連れて行くと告げ、十円ゲームの景品を置く。
病院から出た道也の背に、ソルジャーVと敵役の怪人が。しかし、道也が振り返ると二人の姿は夕闇に消える。

道也は疎遠だった父親に電話をする。八ミリフィルムの中で豪快にスイカを割る正吉。『メトロポリス』の監督のように上手く編集できるといい、と最後の言葉を残す。 
正吉の遺言を胸に、仕事に戻る道也。車の助手席には新たなフィルムがある。「第二キネマ館」跡地は更地となった。部屋には、あの日のヒーローと写る自分と徹也の写真が残っていた。

(本作品にご興味ありましたら、edwardabataille-n[at]yahoo.co.jpまで。追って原稿をお送りします)