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結局、思い出の味って最強!

デラックスラーメン くるまやラーメン@三郷

 僕が青春ブタ野郎な高校生だった頃、友達と立ち寄るお店が基本4つあった(マックなどのど定番は除いて)。
 一つは埼玉県民食「山田うどん」、もちろんパンチ定食。
 町中華「珍来」。これは前に記事にしたけどスタミナ定食。
 「ステーキ&ハンバーグの店 いわたき」。カットステーキ&ハンバーグコンビ。高校がある駅近にあったお店で、サラダバー・スープバーがついていてお得だけど、値段がちょっと高め。
 そして、「くるまやラーメン」の味噌ラーメンだ。その中でも特に僕の場合はデラックスラーメン。

 僕が高校生の頃というは、日本がバブル絶頂期を迎え、昭和天皇が崩御して平成に変わった真っ只中だった。景気MAXだからみんなそこそこ羽振り良かった時代に、味噌ラーメン1杯500円(現在は780円)のワンコインで食べられる(しかも半ライス無料サービス)という腹ペコ高校生に嬉しいお店。

 とにかくここの味噌は味が濃く、ニンニクも結構入っている。だからサービスご飯も旨い。それまではラーメンライスなんて食べ方に疑問を抱いていたけど、ここの味噌と白飯を味わってから、その概念が変わった。むしろくるまやの味噌ラーメンはおかずでもあるという認識だ。
 麺は中太ストレート。こいつが味噌との相性がいい。もっちりしてていいんですよ。またチャーシューも旨いんだ。クセや臭みもない柔らか煮豚な感じのヤツ。当時、出前とか頼むような町中華ラーメン屋にはあんまりなかった感じのチャーシュー。だからチャーシュー旨い! って記憶が残ってるんだよね。

 コスパが一番いいのはもちろん味噌なんだけど、チャーシューだったり、辛ネギだったり、トッピングが色々できるのも「くるまや」の良さで、お金がないときは味噌、お金があるときはネギ味噌ラーメンとか味噌チャーシューメンとかを頼んだ。
 なんといっても僕を魅了したのはデラックスラーメンだった。
 当時でも850円か900円くらいしたと思うメニューで、今で言うと「特製」にあたると思われるが、「デラックス」と言うネーミングに昭和を感じる。いや、逆に 特製ではなくデラックスのネーミングの方が、今はむしろ新しい感じになるんじゃないだろうか? 特製醤油ではなくデラックス醤油みたいな。

 実家を離れて20年、「くるまやラーメン」は全国どこにでもあるチェーンではないため行くことはなかったのだけど、実家に戻ってきて、無性に食べたくなった。

 久しぶりの「くるまやラーメン」に到着。
 昼時のためか待ちの人だかりができている。列を作って並ぶのではなく、ファミレスのように名前と人数を入口に置いてある紙に記帳する方式だった。昔もこんな感じで順番を待ったのだろうか? 覚えてない。外環に繋がる国道沿いだからか、トラックとかハイエースとか車で立ち寄ってる作業着の人たちが多い。確かに力仕事の昼食にはたまらないラーメンだよねと微笑んでしまう。

 カウンターだけじゃなく、四人がけが5~6テーブルあるからだろうか、回転が早く、待っていた人数の割には10分も経たずに席に通された。

 メニューを開き、ラーメンの写真たちを見て早速懐かしくなった。これだよね。ただ、値段が圧倒的に値上がりしているのには驚く。あと、カレーラーメンなんてあったっけ? とかチャーハンってなかったんだっけ? とか思い出せないものもある。餃子はなんとなく思い出した。確かめちゃくちゃニンニクが効いたパンチある餃子だったよね。これも結構うまかったよな。カレーラーメン気になるなぁ…。いやいや、注文について少し迷いそうになったけど、今日はやっぱりデラックスにしよう。

デラックスラーメン 半ライス

 デラックスラーメンのトッピングはチャーシュー3枚、もやし、わかめ、バター、生卵。
 卵が煮卵ではなく生卵(または温泉卵)っていうのが蕎麦屋みたいでいいよね。わかめも蕎麦屋っぽいけど。

 くるまやの味噌にはバター入れるのが好き。お金ない時でも味噌ラーメンにバタートッピングだけはやっていた。この味噌バターな感じがすげー旨いのよ。味噌ラーメンにバターはどこでも定番だと思うけど、くるまやの味噌は味が濃いからこそマイルドにさせる効果がテキメンなのと、元々オイリーめではあるんだけどラーメンに脂分を加える油多め的な効果のダブルパンチで口福にしてくれるのだ。

 マイルドにしてくれるのは生卵も一緒で、黄身を麺に絡めて啜るのも美味しい。なんだけど、僕はこの卵は白飯用にしている。白飯に窪みを作って、レンゲ卵をスープから掬い取ってそこに乗せる。そこにスープをかければ味噌TKGの完成だ。ラーメン啜ってからのTKG、そしてチャーシューを齧りながらのTKG。この反復が中毒になる。

味噌TKG


 もやしはもちろん、わかめも味噌にあっていて旨いが、やっぱりラーメンの麺がいいんだよな。中太ストレート麺。もっちりしていて、なんか味噌ラーメンって感じなんだなぁ。もしかしたら思い出のバイアスがかかっているかもしれないけど、ずっと啜ってられる気がする懐かしの旨さ。

 あと、久々に来て思ったのは、店員さんのホスピタリティがすごく良い。とても丁寧な接客だし、チェーンとはいえ店内がとてもきれい。もちろん古い店やテーブルなので、そもそもが美しいということではなく、掃除が行き届いている感じのきれいさ。これも店員さんへの教育がいいのだろう。高校生の頃は気が付くこともなかったけど、こういうのって味と同じくらい大事なんだよなと思う。

 ああ、やっぱり「くるまやラーメン」の味噌は旨いなぁ。
 僕は、ラーメンの種類の中で、実は味噌ラーメンが一・二を争うほど好きなのだけど、その好みの原点はここにあるんだろうなと思っている。
 「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションでしかない」というアインシュタインの言葉通り、僕の食べ物への常識の多くは、高校や大学の頃の味が起点になっているんだろう。

 大人になっていいお店の素晴らしい料理を食べても、結局は僕の偏見グルメに惹かれてしまう。高校の頃から偏愛していた味噌ラーメン。やっぱり思い出の味って最強なんだよなぁ。


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