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【元スタバ店員が分析】スターバックスのマーケティング戦略

もう数年前ですが、トータルで4年ほどスターバックスの店員をやっていました。現場のオペレーション、OJTなど人材マネジメントの方針は現場レベルでは理解しています。

スターバックスは、テレビCMなどの広告やチラシ、DMなどのオフラインマーケティングの施策を行わないことは有名です。
なぜなら店舗数が1500もあるので、そもそもの顕在的なファンが見えているのと、圧倒的なブランド力がすでにあるので、テレビCMのような費用対効果が合わないマーケティングは行わない方針だと思われます。

今回は、主にマーケティングと少しだけブランディングに触れながらスターバックスの戦略を見ていきます。

ブランディング

まずはロゴに注目してみます。
実は、スターバックスは創業まもなく50年の企業ですが、これまでに4回もロゴを変更し、現在に至ってます。

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シンプルを追求した上で、今に至った遍歴が並べてみると分かります。
STARBUCKS COFFEEの文字がロゴになくなった2011年には創業から40年経過。もう世界的にスターバックス=緑のロゴで認知されていると思います。

ここからは僕の完全なる予想ですが、ロゴに文字をなくしたのはTシャツなどの偽物の出回りでブランディングに影響があると考えたからではないかと思ってます。途上国のマーケットにいくと、このような偽物のロゴをよく見ます。

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このロゴを見ると、一瞬スターバックスを想起するのですが、よく見ると全く違うもの。これを例えばタンブラーやマグカップなどの物販で販売していたときに、売られてしまってはブランディングに大きく影響することを考慮したのではないかなと。(くどいですが、完全に予想です‥‥‥)

顧客ロイヤリティは飲食ビジネスだけでなく全てのビジネスにおいて重要な要素です。
スターバックスではパートナー(店員)との会話を楽しみに来店する顧客、純粋にドリンクを飲みたくて来店する顧客、インターネットを使いたくて来店する顧客と様々な来店動機がありますが、その根底にあるのが顧客ロイヤルティです。

・誰かと気軽に話せてコーヒーが飲めるのはスターバックス
・電源があってWifiも早い居心地が良いカフェはスターバックス
・コーヒーの香りが嗅げて、待ち合わせにお洒落なカフェはスターバックス

カフェに行きたいと思ったお客さんが最初にイメージできるのがスターバックスならもう勝負ありですよね。

スターバックスエクスペリエンス

スターバックスでは「顧客体験」をとても大切にしています。例えば、「テイスティング」。スターバックスでは、新商品がリリースされる前後にフードテイスティングやドリンクのテイスティングを行います。
これは単に新商品を知ってもらうだけでなく、顧客へ商品の体験を共有しているのです。
その他にも、コーヒーセミナーの開催。これは有料である場合が多いですが、ブラックエプロンを着けたバリスタが美味しいコーヒーの淹れ方を解説する機会を顧客と共有する機会を設けたり。
他にも、スターバックスエクスペリエンスを挙げると下記。

・上質のドリンク
・バリスタの接客
・心地よい音楽
・座り心地の良い椅子
・オシャレな空間
・高速Wifi

上記の6つのエクスペリエンスを提供しているカフェは他にもあるかもしれませんが、ティスティングやセミナーを行っているカフェは他にはないかと思います。
つまり、良質な顧客体験を提供するために、顧客接点を持つという最強のオフラインマーケティングをさりげなく実行しているのです。

マーケティング

スターバックスのマーケティング施策としては、SNSのイメージが強いかと思います。TwitterとInstagramはかなりテコ入れしていると思われます。
まずはTwitter。

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企業アカウントでここまでフォロワーがいる、アカウントは珍しいと思います。一方で、フォローしている数も多く、これはあまりない。一般的な企業アカウントはフォローバックはあまりしない。対照的なのはタリーズ。

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スターバックスは、フォロワーと積極的にコミュニケーションを深める、Twitterの本来的な使い方を、タリーズコーヒーはプロフィールにも書いてある通り、フォロー返しは行ってませんと書いてあります。

SNSのマーケティング戦略を見ても、スタンスが両極端です。
自分ならどっちをフォローしたいかは言わずもがなですが、ある意味でSNSにリソースを使わないというスタンスは潔いですね。

スターバックスは、インスタグラムの方に特に注力している感じはしています。

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フォローは少なめ。Twitterと比べると相互コミュニケーションより発信をメインに行うInstagramなので予想通り。更新頻度もTwitterよりは多くないですが、定期的に更新しています。
スターバックスはストーリーもうまく活用してますね。

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ちなみにタリーズはこちら。

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Twitterと同様に、フォロー数は0。投稿数はさほど変わらないのにフォロワー数が10倍違うのはいろいろな要素がありそうだけど、いいね数などのエンゲージメントを見てもスタバとのSNS戦略はだいぶ異なるように思えます。
ちなみに、これだけフォロワー数がいるのにストーリー機能を全く利用してないのが気になります。

コーポレートサイトにPinterestのアイコンもあったので見てみたら、ほとんど放置状態ですね。。。ユーザーのほとんどはアメリカ人ですから分からなくもないですが。

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LINEの活用

スターバックスのLINEでの集客は素晴らしいものです。

・シンプルなUI
・レコメンドから商品紹介への流れ
・カスタマイズのナレッジが豊富

特にカスタマイズから商品紹介への動線がすごい。スタバが好きな純粋なユーザーのおすすめカスタマイズを気分や好みに合わせてカスタマイズしてしまうところもよく考えられてる。

Starbucks Rewards

飲食店でよくあるスタンプカード。これをアプリで使えるようにしたのがスターバックスリワード。還元率としては10%程度ですが、自分へのご褒美と題して、顧客ロイヤリティを獲得する施策はさすがです。僕もこれを使ってるからスタバに通ってしまう。


サードプレイスという考え方

スターバックスでは店舗マーケティングについても徹底されています。その中でもサードプレイスという考え方。
ファーストプレイスは、自宅。一番くつろげる憩いの場所。セカンドプレイスは職場。今でこそ在宅ワークが主流になってきてますが、オフィスで仕事をする人はまだまだ多いですよね。
そして、サードプレイス。例えば

・朝の優雅な時間を過ごす場所
・煩わしい人間関係から離れる憩いの場所
・職場のお昼休みに同僚とコーヒーを飲む落ち着く場所

このようなコンセプトをカフェとして大きく打ち出しているのはスターバックスが業界に先駆けたと言われています。

最近のマーケティング戦略

新型コロナウィルスの影響で、スターバックスも緊急事態宣言以降、店舗の閉店を余儀なくされました。

そこで、ウィズコロナ(あんまり好きじゃない言葉)時代に登場したのがモバイルオーダー&ペイ。事前にスターバックスのアプリから注文して、数分後に店舗に行くと、カウンターで渡してくれるので、待ち時間がなくなり他人との接触も抑えることができます。
デザイナーじゃないけど、ユーザーとして迷わないし、分かりやすいUI&UXを突き止めるなと。

コロナ対策の施策以外では入って寛ぎたいお客さんを全て取り込みたい思惑が感じられます。
おそらくスターバックスを定期的に利用する方はご存知かと思いますが、稀にレシートにアンケートがついていることがあります。
アンケートに答えると、次回のドリンクが無料になる施策。

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ここで、カスタマーボイスを吸い上げて、マーケティングに生かしてます。つまりメルマガなどによるアンケートではなく、店舗マーケティングの一貫でユーザーの声を自然に洗い出している。

スターバックスに対するお客さんの要望として「席がない」「並んでいるから入るのを諦めた」のような声をそのままプロダクトに反映した素晴らしい施策ですね。僕も使いましたが、何よりストレスがなく使いやすいですが一方で、店員さんとの会話がなくなるのは少し残念。

【余談】現場目線のオペレーション

店舗スタッフの多くはアルバイトやフリーターですが、スターバックスへのコミットメントは総じて高いように思えます。例えばダブルワークをしている人はほとんどいなかったし、就業1時間前に来て、勉強したりドリップコーヒーを飲んでどんなコーヒーかを説明できるようにイメージします。

店舗オペレーションも、全て決まっています。フードの並べ方、ドリンクの作る順番を当然、複数ドリンクのオーダーが入った際のオペレーション。

ただ、唯一と言っていいほど全くマニュアルがないのが接客。どんな対応をするかは店員さん(パートナー)次第。ここで、問われるのが人間力。
常連のヤバイお客さんや、大量注文を毎日決まった時間にするロイヤルカスタマーなどを素早く丁寧に捌く時には判断力や対応力が求められます。
ここでの対応がスターバックスエクスペリエンスに繋がるのです。

他のカフェでは数十分かかったり、めんどくさい接客をされたら嫌がるけどスターバックスは一人ひとりのパートナーがやるべきことややった方が良いことを理解しているのでスムーズかつ気持ち良い対応ができるのです。

スターバックスで働くと、様々な福利厚生の恩恵を受けられますが、その中でも嬉しかったのは、コーヒー豆の支給。定期的にコーヒーの勉強という目的で好きなコーヒー豆をもらうことができます。

ここで知ったのが、フェアトレードという言葉。
簡潔にまとめると、生産者は発展途上国の人で、価格を決めるのは先進国の人たちなので価格差が生まれると正当な利益を生産者が得ることができないのをなくそう。となってできたのがフェアトレードの考え方です。

まとめ

僕は、普段から週に3-4日はスターバックスに行くのですがなんで行くのかというと、選択する意思決定が少ないことが挙げられます。
コーヒー好きで風味とかコクの違いは分かりますが、コーヒー通ではないので目を隠してコーヒーを飲んでもどこの産地かを正確には当てられません。
ですが、スタバに行けば間違いないコーヒーが飲めるし、コーヒーの香りを感じられる居心地の良い空間はスターバックスなのです。


これからの飲食店は、一番最初に想起されなかったら生き残れないと思ってます。
カフェならスタバ。コーヒーならスタバ。のように何かしらのキーワードで一番に想起されるブランディングやマーケティング。

店舗マーケティングは施策がたくさんあるけど「やらないことを決める」のが一番重要なことだと思います。

最後におすすめのスターバックス関連の書籍の紹介です。
この2冊を読んでおけば間違いないです。逆に言うと、スターバックスについて知りたいなら他の本は読まなくても良いでしょう。

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スタートアップのSaaS企業でカスタマーサクセス&カスタマーマーケティング。 過去に世界一周やEC事業の責任者を経験。 継続と習慣化が強みです。 サウナとサーフィンが好きで毎日瞑想してます。 インスタ→http://instagram.com/naotokumitsu/