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【側弯トレーニング日記】術後の説明で「治ったので何してもいいですよ」はやめた方がいいと思います

側弯症の手術は固定術といって、背骨がこれ以上側弯しないように金具を用いて矯正し固定する方法です。
医師は、これを「側弯を治す」といい、術後は「治った」と表現します。

本当でしょうか?

一般的に「病気が治った」という場合には、病気のない状態に戻ったことを「治った」と言います。
でも、側弯症は固定術ですから、コルセットのように外側で固定する方法を、内側から固定しているに過ぎず、治ったのではなく、「固定した」が正しい表現でしょう。
脊柱の可動性を犠牲にするかわりに、進行を止めているのです。
背骨の動きは無くなってしまうのです。
これは治ったのでしょうか?

つまり術後は、側弯の状態を軽減はすれど、治ったというよりは脊柱を固定したので、「これ以上の進展の心配はない」ということです。
ですから、側弯症がない状態の方と同じように側弯症がない脊柱になったわけではありません。

冷静に考えればいちいち医師の言葉の裏を読む必要はないのですが、、、患者さんとしては、「助けて欲しい!」という思いに、社会的権威のある医師に「治します!」と言われれば、安心と同時に信頼し「あとはお任せします!」になり、術後「治った」と言われれば深く考えずに、「これでみんなと同じ背骨になった」とその言葉を鵜呑みにしてしまいます。

そうすると、固定しているので動くことのできない背骨なのに、「何をやってもいい」という説明を信用して、積極的に運動をしてしまう方がいます。

水泳、野球、ヨガ、、、。
正直どれも背骨をかなり動かすものです。
でもやってしまうのです。

なぜなら医師が「治ったので何をしてもいい」と言ったからです。

先日も、術後数年経ち、固定していたスクリューが抜けてしまい、金具が飛び出て来た方がパーソナルレッスンにいらっしゃいました。
秋頃に2度目の手術をされる予定です。

痛くて動けないので、寝ていることが多く、筋力もどんどん落ちてきてこれはまずいと思って来店されたわけです。
手術をしてこうなるなんて思ってもみなかったはずです。

やはり医師からは治ったという感じで説明を受けたそうです。
僕が固定したところと固定していないところでストレスがかかり、二次的な後遺症が起こることの可能性について説明ありましたか?と聞くとないとの答えでした。
「治った」と思ったのでと、、、。

側弯症の術後は、固定してないところとの境界線に負担がかかることを説明する必要があります。
その部分にストレスが集まると、今回のように器具と骨の接続の破綻、圧迫骨折、滑り症など、多くの二次的な障害のリスクがあります。
ですから、体の動かし方に注意が必要ですし、また体を安全に動かす動作練習も必要です。

術後の後療法は側弯症にもとても大切です。
なぜ多くの病院では、生活指導、股関節や肩関節の分離運動の指導、そしてリスクについての正確な情報伝達をしないのでしょうか?
それとも本気で医師は治ったと思っているのでしょうか?
これだけ学会でも報告があるのに二次的な障害については知らないのでしょうか?

この「手術したから側弯症は治った」という表現はなんとか正せないものなのでしょうか?

僕はあくまでも相談を受ける立場であって当事者ではありません。
また、医療業界には医師を頂点とした強いヒエラルキーが存在し、コメディカルは言われたままに動くコマと思われている部分が大きいので、まず自分たちにとって耳の痛い話なんて聞いてくれません。
ですから、社会や医師の常識を変えていくには、当事者の方々の声が一番だと思います。
術後の後遺症で苦しむ方々の声がもっと大きくなり、もっと世論を動かすようになるといいですね。

本当に僕は微力ですが、、、適切なフォローや説明がなかったことによって、術後の後遺症に苦しみ、再手術になる方が少なくなることを心から祈っています。

よろしければサポートをお願いします。私自身ではまだまだ微力です。当たり前の選択や情報を得ることができていない方々に、予防医学の視点で、知らなかったことで損した方を少しでも減らすよう、有益な情報を発信していきます。皆様の応援を励みに、より精進して行きます。応援ありがとうございます。