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DXコンサルが絶対に言わない後ろめたい真実
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DXコンサルが絶対に言わない後ろめたい真実

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2019年くらいから、デジタルトランスフォーメーション (DX) の相談を受けるようになって、今はアドバイザーみたいなのを含めて10社くらいお手伝いしています。

また、講演なんかも依頼されてたりして、そこではストルターマン教授がどうだ、とか、トレンドはー、みたいなことをしたり顔で言っていたりするわけなんですが・・・。内心では、定義とか事例の話から入るのはあんまり本質的じゃないのかな、と感じています。

足元の現場を見ると、DXDXディーエックスディーエックスいってる会社もほとんど何も進んでいなかったりする。そういう現場では、コンサル側から「DXという言葉使うと論点がブレるんで今後は使用禁止!」なんて言ってます。

DXコンサル的な仕事をしてみて現実として見えてきた、客先ではなかなか言えないことをストレス発散の場として密やかに記しておきます。

「DXとは何か」みたいな議論はほんとどうでもいい

売上アップか、コスト削減か、顧客満足か、そのどれかにつながらない議論は業務として誰からも求められず、結果としてどこかで止まります。

コスト削減も大事だけど、それはあくまで組織・企業として新しい付加価値を生み出すための原資を捻出するためのものなので、手段ではあるが目的ではない。

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企業は大きくなるほど組織が細分化されて部分最適が進むので、全体としてのミッションである顧客への価値提供みたいな議論は捨て置かれがちな印象です。

目線が内向きなんですよね。

DXの本質なう

DXが何かとか、自分も複数の現場を見て、実際にやってみて初めて気がついたというか、最近ようやくわかってきた気がします。

むかし自分が言ってたことは調査や分析の結果でしかなかった。間違いじゃないんだけど、体験・経験が伴っていなかったな、情報を消化しきれてなかったな、と思っています。

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DXってのは、デジタルがコモディティ化する「前」に完成した「ビジネスの型」を、デジタルを前提としてリデザインすること、だと今は考えています。

だから2000年以降にできた企業はDXの対象外。それ以前のパラダイムを前提として完成された「ビジネスの型」これを「リデザイン」するのがDX。「改善」や「改造」ではなく、「リデザイン」なので革新であり、トランスフォーメーションという語感がしっくりきて受け入れられてるんだと思う。

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パラダイムって何かというと、例えば産業革命とかはイメージしやすいんじゃないでしょうか。蒸気機関を前提としたビジネスと、電力を前提としたビジネスの間には大きな飛躍がある。パラダイムの変化に伴ってサプライチェーンやバリューチェーンが根本から覆りますよね。例えば、エネルギー源の調達、機械や工場といった設備全般、技術者に求められるスキルセット、働き方そのもの、売り方や売り場。

それでまあ、現在はフィジカルからデジタルへのパラダイムシフトが起こっている、と。フィジカルというのは1970年代から始まる第三次産業革命的なものをイメージしていて、要するに産業用ロボットやラインの自動化など。

フィジカルからデジタルへ、っていうのは、機械 vs ソフトウェア、あるいは 紙 vs データ、電話 vs インターネット、みたいな話。二者択一というわけではないし、どちらが優れているという議論も意味なくて、使えなかったものが使えるようになって、できなかったことができるようになった。なのでその前提でビジネス (顧客への最適な価値提供) を組み立てましょう、と。

旧パラダイムのビジネスに新しいパラダイムを「足し算」するのではなく、ゼロベースで再構築した方が無駄なくスッキリできる。洗練されたプロセスができる。「足し算」でできないこともないが、最適化されていないものが生き残れるほどビジネスの世界というのは甘くないんだと思う。

ITの問題だったら簡単だった

DXが、ITつまりデジタルなツールやソフトウェアの問題だったらもっと簡単だった。便利な道具を導入して終わり。何も問題ない。

でもそこが大きな勘違いだと思う。どこの会社もDXにつまずくのは、デジタルをツールやソフトウェアの問題だと思っているからだ。問題の根本は「人」と「制度や仕組み (プロセス)」にある。

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実は、みんなうすうすそのことには気づいてる。でも、見ないふりをしている。雇用の問題があるからだ。あまり書くと生々しいので控えますから想像してください。

どうにもならないことについて考えるのは時間の無駄でしかない。

そこで人々は根本の問題に手を付けず、RPAのような「足し算」的発想で強引に解決しようとする。より根本的な人やプロセスの問題はおいていて、時代に最適化されていない「型」を強引に自動化しようとする。

きっと、ある程度は時間が稼げるだろう。

変化対応力の時代に

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人や制度の問題がこんなに深刻になってきた背景をひとことでいうなら、外部環境が変化するスピードが、組織の新陳代謝のスピードを越えてしまったということだと思う。組織の新陳代謝とは、つまり自然な人の入れ替わり (20代が参画し、60代で退出) や、それに伴うゆったりとした変質のこと。

上図は、5000万ユーザーを獲得するまでにかかった期間を比較したものです。航空機の普及、自動車の普及、電力、テレビ、昔は世の中が変わっていくのに何十年かかかった。ゆっくり浸透し、ゆっくり変わっていった。それに合わせて企業もゆっくり変わっていけばよかった。

IT屋はだれでもなんとなくわかっていることだと思うけど、今は4〜5年で競争優位の前提が変わる。だからデジタル時代に生まれた、またはそれを生き抜いたIT屋の組織や制度は、変化を前提として最適化されている。

ISDNからADSLの時代になったとき、市場環境がどんなにドラスティックに変わったか。ガラケーでインターネットができるようになった時、それに乗っかってどれだけの企業が上場したか。ガラケーからスマホになった時、ガラケー向けサービス事業者がどれだけ苦しみ、スマホ新規参入勢がどれだけ儲かったか。「ネット系」という浮わついたチャラい属性の人々が、汗を流し、血を流し、涙を流し、成功を目指して切磋琢磨した日々を、悲喜こもごもを、DXやるぞと言っている会社は知らない。

WEBアプリ開発者がネイティブアプリ技術者への転換を余儀なくされ、できない人間は評価が下がる。トレンドによって3Dモデリングができる人間が急に呼ばれたり、突き放されたりする。やばい状況だが、適応できた人間は成功する。割と弱肉強食な世界観でIT屋は生きている。

激しい競争環境を生き抜いてきた人材の、環境に対する適合性は高い。では、偉大な先人が作り上げた「型」の中で、それをひたすらに磨き続けてきた人材はどうか。

DXを突き詰めると、どこの現場でも人の問題に行き着く

基幹システムの入れ替えだろうが、ビジネスモデル転換だろうが、アクイジションコストからリテンションコストへのアロケーションだろうが、カスタマーサクセス文化の醸成だろうが、なんであれトラディショナルな企業でDXっぽいテーマを扱うと最終的には人の問題に行き着く。

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システムは買える。ソフトウェアは作れる。だが、使い手である人はそう簡単には変われない。新しい知識を得ることも、習慣化していないと難しいし、習慣や文化を変えるのはもっと難しい。

だが、人の問題だけだったら教育や採用、有期雇用人材の活用など打ち手はある。

奥深くに潜むのは、人と、それらをメタに縛る暗黙知の存在だ。

さらに突き詰めると「人の問題」ですらない

例えばルーティン。

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マニアックな表現を使うと、「いちど内面化された規範は取り出して再評価することが非常に難しい」という特性があり、ルーティンを受益者側が認知し、改善することはとてもむずかしい。

また、インセンティブの問題もある。若い頃は高い生産性の割に低い給与を与えるが、代わりに高齢になると低い生産性と比較して高い給与を与えるインセンティブ設計、すなわち「年功序列」であったり、降格の少ない減点方式の評価制度であったり。インセンティブではないが、持ち合いによる安定的な株主構成も改善による漸進的成長や現状維持の傾向を強める。

どの仕組みも100年スパンのゆっくりとした市場環境の変化を前提に設計されたものであり、世代交代による新陳代謝 (自然な人の入れ替わり) のスピードを上回る変化を想定していない。

ITでも、その使い手でも人でもなく、現実にいま会社組織を回しているその「仕組み」自体が問題なのだとしたら、それはだれが変えうるのだろうか。

結論、オーナーしかいない

究極的には、状況を変えられるのはオーナーしかいないと思っている。

だれが言ったか忘れたが、こんな言葉がある。

現場はすでに最善を尽くしている。問題があるとすれば、仕組みだ。そしてそれを変えうるのはリーダーだけである。

「DX責任者」「Chief Digital Officer」みたいな役職を作ってDXを推進しようとする企業がある。それがうまくいかない理由は、ここまで読んでくれたモノ好きなあなたならわかってくれるだろう。

両利きの経営、エスケープベロシティ、リーンポートフォリオ・マネジメント、ティール組織。近年注目されている多くの戦略論は、突き詰めれば「トップの視座を上げよ」と迫っている。トップの視座の高さが組織の限界を決める。本論に沿って言えば、異なるパラダイムを経営に内包せよ、ということだ。

でも、忘れないでほしい。組織は別に変わらなくてもいい。

多様化していく世の中で、今のままの御社を好きでいてくれる顧客もきっといるはずだ。そういう顧客のために、矜持を持って最後まで貢献するのも、生き方として尊いと思う。

もしかしたらさらなる成長を望まれるかもしれない。その時は狡猾に立ち回り生まれ変わって経済社会の中で生き延びよう。

変化は人間の本質だ。

あなたは、「飽きる」という感覚を持ってはいないだろうか。

もしくは、「恐れ」という感覚を持っていないだろうか。

人が持つ優れた感覚を最大限活用すれば、どんな状況にだって最適解を導き出すことができる。DXの最大の障壁は、突き詰めればその感覚の喪失だと思う。

最後に、DX屋が "DXビジネス" を売っている時の思考回路を貼っておきます。どなたかのお役に立てば幸いです。

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これなw



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エンジニア出身の事業責任者。大企業やスタートアップの支援をしてます。お仕事ください! 現在→カーマンライン(株)代表取締役 2018 ガリバー/事業責任者 2015 GREE/マネージャ 2012 ループス/コンサル・PM 2007 クレスコ/エンジニア