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役に立つパワポ資料を作るためのコツ

みなさんも、いまどきのビジネスマンであれば仕事でパワポ資料を作ることは多いんじゃないかと思う。

もしあなたが「資料作りが苦手だな」と感じているのであれば、「資料が果たすべき役割」を意識するとずっと仕事が楽になるんじゃないかと思う。

パワポ資料作りが苦手な人は「図の作り方がわからない」「ごちゃごちゃしてしまう」というように、作り方やテクニックで悩んでしまっていることが多い。

資料というものは、きれいにわかりやすく作るのも大事だが、その役割を果たせれば、極論、汚くてもごちゃごちゃでもかまわない。「図の書き方」や「レイアウト整理の仕方」といったHOW (方法論) の部分にこだわるあまり、WHY (目的) を見失っているのだ。努力する方向が間違っていると、どんなに労力を費やしても成果にはつながらない。それでますます苦手意識が強くなってしまうのではないかと思う。

プレゼン資料の目的レベル

まず、資料が果たすべき目的には3段階のレベルがあることを理解しよう。

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レベル1は「情報伝達」。つまり、相手に必要な情報を伝えることが目的だ。社内の回覧資料や、報告資料などがこれにあたる。

レベル2は「意識変容」。つまり、資料に書かれた情報に触れる前と触れたあとで気持ちが変わっていることを目指す。

「あの市場、魅力ないと思ってたんだけど案外可能性ありそうだね」「あの商品、好きじゃなかったんだけど興味が湧いてきたよ」という具合だ。

対消費者向けの広告制作を行っている人たちなどはクリエイティブを通じてこのような意識変容を仕掛けていく。社内資料でも、このような結果が求められるシーンは多い。

レベル3は「行動変容」。つまり、プレゼンの結果として相手に意図した行動を起こさせることを目的とする。

「わかった、この商品を買おうじゃないか」「このプロジェクトに予算をつけるから進めてくれ」、例えばこんな具合だ。

結局、プレゼンというのはこの目的を果たせれば、30秒のエレベーターピッチでも、10行のテキストでも、サプライズイベントでもなんでもよい、ということだ。

まずは「資料を作る」という「手段」ではなく、「どうやったら求める結果を生み出せるか」にフォーカスすることが大切だ。

レベル1、資料で情報が正しく伝えられない人

このレベルを達成できない人は、言いたいことや書きたいことがありすぎて、思いが溢れて情報を詰め込みすぎてしまう。そのため、結果として「伝える」という大目的を果たせなくなってしまっているように感じる。

文字サイズが小さく、びっちり書かれている資料が会議で大量に出てくる組織は要注意だ。個人ではなく、組織のカルチャーとして非効率な情報伝達が染み付いている可能性がある。

1ページにどんなに膨大な情報を詰め込んだとしても、読み手である人間の情報処理能力はそこまで高くない。そのような資料が、短時間で隅から隅までしっかり読まれることはない。読み手はななめ読みしながら、目についたところを突っ込んだり、褒めたりするのだが、そこには「確証バイアス」というものがあり、齟齬が生じてしまう。「確証バイアス」というのは、要するに「自分にとって都合のよい情報だけ集めてしまう人間の癖」みたいなものだ。そのため、読み飛ばされた部分に重要事項が書かれていた場合はあとあとトラブルになる。

「ここでちゃんと書いてあります」「事前に送っておきました」というような「読んでないあなたが悪い」という反論はビジネスではたいてい通用しない。「機能する情報伝達ができていないあなたが悪い」と上司に怒られてしまうだろう。

情報量が増えれば増えるほど伝わりづらくなるので、本当に伝えたい情報にとことんフォーカスし、シンプルに、齟齬のないように表現しきることが大切だ。

レベル2、意識変容が起こせない人

レベル2が達成できない人、つまり「相手に情報を伝えることはできるが、気持ちを変えてもらうことができない人」は、相手の立場や気持ちに対する配慮が足りていないのかもしれない。

ものの見方というのは人それぞれ、十人十色なので、「自分はこう思います」という主観的なものいいだと相手の立場では共感されないことが多い。

ビジネスでよくある「友達や同僚はわかってくれるが、上司や役員が納得しない」というケースでは、相手の立場になって考えてみることがスタートだ。

例えば自分の「やりたい!好きだ!」という気持ちを抑え、組織としてやるべき理由を整理してみたり、「この状況はがまんできない、変えたい!」という不満を会社のリスクや機会損失に置き換えてみたり、という具合だ。

人間というのは程度はあれどそこそこ合理的な生き物なので、まっとうな理由や感性があれば意識を変えてくれる可能性は高い。

レベル3、行動変容が起こせない人

レベル3、相手の行動を変える、影響を及ぼすというのは非常に難しい。それがビジネスにおける重要な意思決定であればなおさらだ。

このレベルの情報伝達でコンスタントに高打率を叩き出せる人は、おそらくどんなビジネスに携わっていてもかなりの確率で成功するんじゃないかと思う。

それくらいビジネスマンにとっては重要で、難しいスキルだ。

そのコツをひとことで表すなら、まずはレベル1・レベル2を高い精度で達成する。すなわち、まず必要な情報を、相手に正しくインプットする。次に、共感を得る。こちらの評価や認識と相手のそれをシンクロさせる。

そして、最後には「期待値を上げ、投資ハードルを超てもらう」ことが必要になる。

どんな些細なものであれ、行動というのは「投資」である。

注意を向ける、読む、といった時間や認知を消費するもの。

または、資金を投下する、人的リソースを投下する、といった組織のリソースを投資するものまで幅はあるが、多くはリターンを求めた行動だ。

読んでも仕方ない情報は読まないし、見ても役に立たないものはできるだけ見たくない。お金や成長につながらないことには近づきたくないし、無駄なことに人材を使いたくない。

「行動変容」は、あなたが求める「行動」のコストを、その結果得られる「リターンの期待値」が上回ったときに達成される。

合理性だけでなく、パッションやコミットメントのような、確からしさを高める要素を総動員して臨むことになる。とはいえ、やはり資料は重要な位置を占める。

まとめ

「資料を作れる人」は多いが、「機能する資料を作れる人」は前者に比べてずっと少ない。

そして、組織によってその割合は大きく異なるように思う。先輩や経営者が情報伝達にうるさいのか、方法論やルーティンとして染み付いているのか、原因は色々考えられる。

とはいえ、あなた個人に目を向ければ、資料にうまく仕事をさせ、人の共感を得たり、意思決定を得たりすることがうまくなれば、ずいぶんと仕事が、そして人生が生きやすくなるだろう。

作りたいから作る、書きたいから書く、というのを否定するわけではないが、「目的から考える」「機能する資料を作る」という方法論も、道具箱のひとつに加えていただければ幸いだ。

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