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8課メモ 問題7「ではありません」『みんなの日本語』

8課の課末問題で、指摘しておきたいところは7番のワット先生の話です。『みんなの日本語』では「〇〇は△△です」という名詞文の否定形は「△△じゃありません」を使うのが通例で「△△ではありません」は1課で(では)というカッコ書きが付されているにすぎません。
『新日本語の基礎』で「△△ではありません」だったのが、『みんなの日本語』になったときに変わったので、「△△じゃありません」のほうが有用だと判断されたのだと思います。

じゃあ、「△△ではありません」はいつ練習するんだ?と思っていたのですが、ありました!

8課の問題7番のワット先生の説明の中で

「さくら大学は大きい大学ではありませんが、いい大学です」

とでてきます。
話し言葉では「△△じゃありません」、書き言葉では「△△ではありません」を使うことを自然に提示されているのだと思います。無意識のインプット?いや、でも、ここはやはり「こうなっているよね」と指摘できたほうがいいかなと思います。

またこの7番は、非漢字圏の学生にとって漢字の学習にも有用です。読んで問題の〇×を考えて内容をとった後、私は音声を準備してリピート、朗唱練習、シャドーイング、までして意味と音が自分のものとなったところで、ノートに視写します。この文には5・6課までで学習した漢字がたくさんでてきます。知っている漢字は漢字で書くことが条件です。こうすると、「漢字かな交じり文を書く」感覚がつかめるようです。漢字の時間にいくら漢字の練習をしても、普段の文章には、なかなか漢字が現れないということがよくあります。漢字かな交じり文を書く習慣がない人にとって、ひらがなでも書けるものをわざわざ漢字を使って書くというのがピンとこないようですが、自分がよくわかっている文章を(視写であっても)すらすらと漢字かな交じり文で書くと「書く」というのがどういうことなのかが体感できるようです。まして、日本に来て1か月で漢字かな交じりの文章を書いているという達成感といったら!そして、このノートに書いたふりがなのない文章を読むことで漢字の読み方と文を読む練習ができます。

この後、リライトの要領で自分のことについて作文したり、友達にインタビューしてから、友達のことについて作文したりすれば、本当に自分や友達のことについて漢字かな交じりの文を書くことができます。

「問題」を計算ドリルの練習問題のようにとらえていてはもったいないと思います。『みんなの日本語』は現代の語学の教科書です。意図を読んで使いたいと思います。

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