わたしの部屋 『やさしい作文』10課まで
『みんなの日本語』の10課までが終わると、『やさしい作文』の「わたしの部屋」が書けます。ここで学習目標は「語彙の連鎖」。
「机の上に写真があります。家族の写真です。私はいつもこの写真を見ます。写真の中の家族は私を見ます。これはとてもいいです。」というふうに文の中の言葉を使って次の文を作ることによって文の流れを作るというのがこの課の学習目標です。私の部屋の作文を書けというと、思いついた順に「机の上に写真があります・ドアの右にまどがあります・写真の左に本があります」とバラバラに書いたり、「ドアの右にまどがあります。机の左に棚があります。ベッドのとなりに机があります。」などと、ただただ箇条書きのようにあるものを並べるような作文ができあがったりします。
作文の時間は将来の読解の力をつける時間だとも思っているので、文脈のない作文を書くのはご法度です。どうしたらいいでしょうか。
そもそも、作文は誰かに何かのメッセージを伝えたくて、書くもの。ここでは、おそらく自分の部屋が気に入っている、というのを伝えるものになるでしょう。(もちろん、不満があるというメッセージでも可)それなら、この部屋のどんなところが気に入っているのかに向かった文脈を作っていかなければなりません。
今回は部屋の中に「あるもの」を書いたあとに、そのものについてのエピソードを添えるように指示してみました。「・・・ドアの前にテーブルがあります。私はこのテーブルで友達と毎日ご飯を食べます。友達は料理が上手です。友達の料理はおいしいです。私たちは一緒にご飯を食べます。それから、ベッドで休みます。私のベッドは窓の前にあります。私の部屋は小さいですが、しずかです。私はこの部屋がとても好きです。」といった具合です。部屋での生活を楽しんでいる様子が伝わります。
以前は、「部屋には何もないから書くことがない!」と言われたこともありました。でも、こうすれば10課までの日本語力で書けることがたくさんあります。
「あります」を勉強したから、「あります」を使わなくちゃ!というのではなく、書く意義のある作文を書くようにしなければ、と考えています。