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【by them更新のあとがき】君はなにになりたかった?

悩みの果てに「自分以外のなにかになりたい」と考えたことはありませんか。考えたことがある苦しみを知っている人に、同じくそう願ったことで頭だけ怪獣になってしまった少年の物語、『怪獣になったゲイ』をお勧めさせてほしい。

こんにちは、椎名です。
今回の更新はコミック『怪獣になったゲイ』のレビューを書かせていただきました。
タイトル通り、LGBTQ+当事者をテーマにしていますが込められたメッセージは、様々な悩みから「自分以外の何かになりたい」と願う人であれば当事者以外にも当てはまるものだと感じました。
ミナモト カズキ著のこの作品は2021年文化庁主催メディア芸術祭のマンガ部門で審査委員会推薦作品にも選出されています。


いま話題の『怪獣になったゲイ』。読めば、「気づかなかったこと」に気づくだろう

いわゆるBL作品!という感じの作風ではないので、BLを普段読まなかったり読んだことがないかたも気軽に読んでいただけると思うのでおススメです。
詳しくは上記の記事の紹介を読んでいただけると幸いです。



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君はなにになりたかった?

思春期ごろまではやっぱり男の子に生まれたかったなぁ。
でもそれはFtMのそれではなくて、朝起きて男の子になっていればいいのにくらいのもの。
それはたぶん当時から僕が男性でも女性でもなくて、後に「性別を定めない」と決めるに至る素質というか兆候があったんだろうと思う。
あくまで男性でも女性ないことが前提の上で、「男の子の方が生きやすい」と思っていたからだと思う。実際は男性には男性の生きにくさが世の中にはたくさんあるし、今でさえメンズファッションでパートナーが女性ってだけで遭遇することがあるホモソーシャルを向けられる対象になるなんて嫌すぎる。女性には女性の生きにくさがあって、「女の子なのに」と「女の子なんだから」に嫌気がさした末の「男の子に生まれたかった」だった。
男性でも女性でもない間の性としての身体があるならそれに生まれたかった。
もちろん「女の子なのに」と「女の子なんだから」にはジェンダーとしての固定観念が含まれているけど、「女性である自分の身体を守る」防衛術でもあるからこの辺の完全な撤廃は難しいなと思う。
いつだって加害側が悪いのだけれど、その上でその加害側とのエンカウント率を下げるためには現状防衛しかないのが悲しい。

大人になった今は身体の性を変えて「なにか」になりたいとは思わなくなった。
おじさんだかおばさんだかわからない人にどんどんなっていくんだろう。
それもいいかななんて思える今の僕に、あの頃の僕はもしかしたらなりたかったのかもしれない。



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