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『Mr. Bike BG』に学ぶ、文章の「つかみ」の書き方

普段、読むことのない雑誌やウェブメディアをチラ見してみると、自分の発想にない「つかみ(書き出し)」のヒントが得られることがあるので、おすすめです。

たとえば、先ほど読んだのが『Mr. Bike BG(ミスター・バイク バイヤーズガイド)』2023年9月号。

私、多少はバイクに憧れた時期もあったのですが、免許を取るまでの情熱がなく、バイクと縁遠い人生を送ってきました。そんな私でも引き込まれてしまう文章のつかみが『Mr. Bike BG』にはあった……!!。

たとえば、巻頭特集の「涼風と残響 プレミアム400の頂点、ホンダCBX&CBR」のつかみ(リード文)をご覧ください。

時には新車販売価格の100倍で取引される、
2機種の空冷400は、特別仕様でも限定車でもない。
異常と言っても差し支えない人気の向こう側には、
ライダーの心の奥に刻み込まれた
「どうしても、取り戻したい」 何かが隠されている。

『Mr. Bike BG』2023年9月号/P10より

「ライダーの心の奥に刻み込まれた『どうしても、取り戻したい』 何か」がそそる! ライダーでもないのに! 何歳になっても男がひそかに持ち続ける少年の心をうまくつついてきますね~。

こちらも、同じ特集の記事のつかみ。

 何度乗ってもスムーズさに驚くばかり。当時ライバルだった4気筒が麻や綿だとしたら、絹のようなフィーリング。CBX400Fが登場するまで最新モデルだったスズキGSX400Fも4バルブだが、まったく両車のフィーリングは異なる。

『Mr. Bike BG』2023年9月号/P26より

「絹のようなフィーリング」に目が止まり、運転したこともないのに、こんな感じだろうか、それとも…とあれこれ想像してしまいました。バイクと「絹」というように、意外な言葉の取り合わせは目を引きますね。

一方、「Honda CL250」というバイクをレポートした記事のつかみ(リード文)もご覧ください。

他との差別化のために何か強めの個性を与えようとすると、バイクは使い方を限定してしまう傾向にいってしまうと感じている。 それはそれでいいけれど、逆に 「普通」のバイクってナンダ?? レブルからの派生モデルとして今注目を集めているCLは、 FTR223を思い出させてくれる極「普通」のバイクだと思えた。こんなバイクが必要なのだ、 市場には。

『Mr. Bike BG』2023年9月号/P101より

詳しくはわからないのですが、CL250はあまり特徴がないバイクなのかもしれません。
しかし、それを「他は特化しすぎている。普通の良さがある」という観点から見ることで、「確かに『普通』って意外と良いんだよね」と思わせる記事に仕上げている。
どんなものでも、切り口次第で輝かせることができるというわけですね。

最後にもう一つ、マニアックバイクの記事のつかみです。「YAMAHA XJ750 MAXIM X」というバイクの紹介なのですが。

マキシムといったらインスタントコーヒーのイメージ。 TVCMでデヴィッド・バーンを使うというマニアックバイクコレクションよりマニアック人選したり、 通好みのシャレオツ系で ブランドイメージを作っていたっけ。 XJ系直列4気筒シャフトドライブは650が最初で、ヨーロピアンのXJ650とアメリカンのXJ650マキシムが最初に出た。 日本では XJ650スペシャルってヤツが北米ではマキシムだった。

『Mr. Bike BG』2023年9月号/P40より

…ん、コーヒーのマキシム関係なくない!? と最後まで読んで気づきました(笑)。雑誌の場合、飽き防止に、こういう変化球的なつかみも入れたりするのですが、ウェブでも箸休め的に入れるならアリかも?

このように、自分が詳しくない分野の雑誌やウェブメディアで引き込まれるつかみは、多くの人の琴線に触れる何かがあるのだと思います。知らない人でも気になってしまうわけですからね。

皆さんも、たまには知らない雑誌で探してみてはいかがですか?


※私が書いた「文章のつかみ」に関する本もよかったらどうぞ!

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