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『スポーツを愉しむ』第5話~「大学ラグビー決勝の見どころ3選」~

さて、今回の内容は有難い事にリクエスト頂いた経緯もあって急遽決めた。

さて、皆様。ラグビーの世界へ、そして
大学ラグビー決勝の世界へようこそ。

ちょっと2023フランスワールドカップの熱も落ち着き、
2024年、もう少しラグビーに関心を持ってみようかな。というかたがたに
大学ラグビーの決勝戦を3つのアングルで愉しんで頂きたい。

①誰が次回のW杯(2027豪州大会)に出場するか未来のJAPANを探しながら観る

誰が代表に入るか予想しながら観ると面白い。

私がこのnoteの過去回で、
連載してきた内容そのものであるのだが、
そんな視点で観るのが実に面白い。
と、ガリレオ風味に言ってみる。

将来のJAPANを青田買いすると自慢できるし、実際そうしたベンチマークした選手が複数人居ると、進学先や進路先のクラブチームでも継続して、
感情移入してずっと応援ができる。
特にラグビーは誰が代表になるか見抜きやすいスポーツである為、
その愉しみ方がうまいこと循環するのだ。

一方で、エディージョーンズ現日本代表監督の場合は、ブランドに捉われず、真贋、見極める能力に長けている為、「良い意味」で当てるのは難しいと言えるかもしれないが。

先ず例を挙げるなら、明治大学のセンター。廣瀬選手。
179cm95kg(ちなみに私とほぼ同じサイズ)

目標とする選手:いない

このかわいくないところがなんともかっこいい。

物は言いようだ。

所謂、憧れるのはやめましょう。というやつである。

なかなか、良い表情をしているので、
試合中も彼を追いかけて頂きたい。

主に12や13番を付けるのがセンターというポジション。
センターはセンターでも
野球や、ハンドボールのセンターのポジションとはまるで親和性がないので、別物だと考えて頂きたい。いずれも
攻守に長けている必要はあるので、そこがギリギリ被るかな?

廣瀬選手が花園で東福岡の主将として活躍していた大会、
2020年高校ラグビーは現地に張り付いていたので、とても印象深い大会だ。

その大会で一際目立つ選手は東福岡の廣瀬主将だった。
そもそもセンターはスタンドオフやスクラムハーフ、フルバック、ウイング、フランカー、フッカー等より目立ち難いポジションだ。

前述のポジションの選手達はトライシーンやボール奪取に絡むことも多く、目立ちやすい。花形とも言われるポジションでもある。
とにかく、有力選手は上記のポジションに回されがちである。

しかし、センターはアメフトで言う、タイトエンドの様に、
全ての能力に長けていないといけない性質がある為、
突出した何かを有している選手が少ないマルチプレイヤーであり、
巧い選手がやるわけだが、見た目の凹凸も少ないからか、
埋もれやすい。基本的には
全ての能力に長けていないといけない性質があると覚えて頂きたい。

しかし、2020年大会の廣瀬選手のランやパススピード、キックの精度は突出していた。サイズは決して大きくないが、どの高校のFWとマッチアップしても、当たり負けしない姿は逞しさを感じた。
主将ということもあったが、センターなのにこれだけ目立つ選手は
高校カテゴリーでは近年観たことが無い。世代屈指のセンターに注目しよう。

「愉しむ」の始め方は他のスポーツと同じ。
個から注目してみて、少しずつ組織に目を拡げていってほしい。

②帝京大がいかに強いかをシンプルに観る


大学ラグビー界の雄。帝京大学そのものを観てほしい。
実に素晴らしい。

仮面ライダーを観て育った私には
帝京ラグビーのエンブレムはショッカーみたいでかっこいいな。
と思いながら昔から見つめていた。

実際、圧倒的ヒールと言っていいぐらい悪魔的に強かった過去もある。
ラグビー日本代表というのは、ここ10年ぐらいは
帝京大OBが中核を担ってきた。
9連覇時代はその道中で「NECグリーンロケッツ」に勝ったことすらある。
社会人チームに勝てるアマチュア学生チームなんて殆どないわけだから、
強さの異常性が、お分かりいただけるだろう。 
とにかく最強だ。
しかし、近年は上記時代よりは破壊的な強さは落ち着き、
天理や、明治、早稲田に覇権を譲った年もあった。

だが、そのままにはさせないのが、帝京である。
ここにきてまた2連覇中である。
3連覇はもうすぐそこに見えている。

ちなみにB、C、Dチーム等、何軍まであるの?ってぐらい
帝京は階層があるが、Bチームでもプロが狙えるぐらい
他大学とは差があると思って頂いて良い。何階層あるのか私も知らないが、
少なくともDチーム(4軍)迄はあった気がする。

注目選手は江良颯(はやて)選手。

ちなみにお兄さんは江良楓(かえで)さん【大阪桐蔭→立命館大】

うん。シンプルに名前もかっこいい。
兄弟で、字面が似てて、一文字ってなんか粋だなと思う。

世代屈指のフッカーであり、
日本代表の現在の穴はフッカーなので、
江良選手はJAPAN入りが濃厚かもしれない。

高校のプロスペクトで茗渓の川村選手を紹介したが、大学編は江良選手を推したい。

因みに、今、穴と言っているポジションは
帝京の先輩である、
堀江選手や坂手選手が担っていた席である。
堀江選手が若いころはストロングポジションだったが、
年老いてからは生えてきていないのが現状だ。ここは後輩に期待大だ。


■帝京大のフォワードを観よう
日本大学ラグビー屈指のフォワード陣営を観て、
代表のスクラムの未来予想図を。

フォワードの中で注目は
江良、本橋、青木、奥井だ。

正直だれが一番エグいですか?

と訊かれたら、うーん。本橋選手か青木恵斗選手と答えるだろう。

帝京で一年生からレギュラーで、しかも主力として優勝に貢献するってその事実だけでも
尋常ではないのだが、高校の時から片鱗どころか、二人の実力は丸見えだった。

4年前、3年前の高校ラグビーでは、世代最高のロックの二人。
桐蔭学園の青木選手と京都成章の本橋選手が花園のフィールドを制圧していた。彼らが立っているだけで、そのエリアは彼らのテリトリーとなる。

その二人をまさか両獲りするなんて…。
これはヤバイ予感がする。また、帝京の黄金期が来る。

NBAで言うところの、シャキール・オニールみたいなキャラクターが
2体揃うみたいな。良い意味で恐怖感を抱いた。

と帝王の復権を予想したが、本当にそのままになってしまった。

帝京の一年生となった二人があの時の帝京の強さを取り戻した。

前述の明治の廣瀬選手も該当するが、過去の連載で挙げた選手たちも全員共通スキルとして持っているのが、『絶対にボールを獲られない安心感』だ。

私は心配性な性格から、安心して観ていられるプレイヤーが好きなのか、
とりわけそのスキルを持った選手を愛している。
代表格はクボタの立川理道選手。

ラグビーはボールを例外的なシーンを除くと、
基本的には、ボール支配率が高いチームが勝つ。
(サッカーは必ずしもそうではない)

その鉄則がある限り、ボールを獲られないないしは、ボールを奪取できる能力が高い選手の価値はとても高いと言えよう。

特に帝京のフォワードは
ボールホルダーとしての安定感が凄まじい。

観てる時は、『もう全部本橋でいい!他の選手に預けるな!!青木でいい!!!』と叫んでしまうぐらい信頼感がある。
ラグビーでボールを獲られない選手がホルダーとなっている時の安心感は、競艇で最初のコーナーをぶち抜いた選手が残りのコーナーを悠然と周回している時を鑑賞している感覚に近いかもしれない。いや全然違うか笑

上記の彼らも怪我等なければ、先ず代表に入ってくるだろう。正直、個人的には、今からリーグONEに出場しても
余裕で通用すると思っている。

そんな視点で帝京と、そして帝京の
フォワードというユニットに目を向けて
愉しんで貰いたい。

③『個』の強さに『組織』で如何に対抗するか戦術的な面に目を向けよう

かと言って高校では戦略、戦術だけで体格差を
カバーできているかな?というチームは哀しいかな少ない。
切ないがフィジカルの差が浮き彫りになる試合が少なくない。

大学やプロは戦力差が比較的
多少均質なので(まぁ高校と比べたら程度で正直差はあるのだが…)
戦術面でカバーできることもなくはない。

高校迄のステージよりも
格上食い、ジャイアントキリングは起こる可能性が高い。

②の対称的な見方。明治の攻め方と守り方に目を向けてみよう。

正直、帝京大の勝利は99%堅い。
※明治関係者の皆様ごめんなさい

誤解を恐れずに言うと、『「個」のチカラの暴力』といっていい程、
銀河系軍団だ。

しかし、そう目されている中で、帝京に如何にして明治が
迫るか、巨像を相手にどんな工夫をするのか。

そこに焦点を当てて観て頂きたい。

格上と目されるチームと相まみえる際、
例としてよくあるのは、ボールをランで運ばず、
キックを多用して、できるだけフィジカルコンタクトする機会を減らし。
陣地を獲得するという手法。又、キックを多用することは
相手の陣形をアンストラクチャー(非構築)状態にすることが狙える為、
孤立した選手に複数名でアプローチするなどして、ボールを再獲得するということも望める作戦だ。

或いは明治伝統の鍛えられたフォワード陣を筆頭に
ランで真っ向勝負を挑む可能性も十分にある。

明治大学の哲学といっても過言ではない。
『前へ』
それを体現するノーガード戦法も観てみたい。

とはいえ、戦闘機に竹槍で。という程、実力差はないにしても、
かなり分が悪い戦い方にはなるので、なにか戦術のオプションを用意している可能性が高い。

2019年決勝で天理に勝ち優勝を
もぎ取った際のインタビューにて、
田中監督は終始シンプルに取り組んだ様な論調だったが、最後のコメントで、
ラグビーの細かい戦術やシステムのところに着手していた旨をインタビューで語っているので、
きっと、裏側では細かい決まり事があり、
それを決勝では、
選手達が遂行できていたに違いない。

https://www.rugby-japan.jp/news/49662

果たして明治のオフェンス、ディフェンスの戦術はどうなるのか。
キックを多用するのか、敢えて真向勝負を挑むのか。
そんなところも注目したい。

大学ラグビーは間違いなく、
日本ラグビーの肝である。

その決勝を
是非とも上記の視点で楽しんで頂きたい。

ではまた。

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