あてのない起業
前に起業の理由は会社が嫌になったからと書きました。
もう少し書きます。
25歳から会社員として働き始めましたが、30代中頃から先が見えなくなりました。
会社の部門間の対立に嫌気がしていました。営業と開発の対立。開発部門内の人間関係、などなど。お客さんとの気苦労よりも、社内の気遣いのほうに疲れて果てていました。
このまま会社員を続けていって面白い人生だったと言えるだろうか。定年までのあと25年間で自分の精神は正常に保てるだろうか。保てないのではないかと思う日々でした。
10年も過ぎた頃には眼が死んで廃人のような人間になっているのではないか。そう思うと自分が思うように仕事ができる起業が良いのではないかと考え始めました。
専門はソフトウェア開発。設備投資が少なく独立は可能な職種と思いました。あまりよく考えずに、えいっ、と独立してみました。
今から考えると無謀でした。何もあても無いままの起業。会社を設立しても仕事は向こうからやってこないことに設立後に気づくのです。どうすれば仕事の依頼が来るのかわかりません。
営業はどうすれば良いのか。
営業しても何も実績のない会社に、多額の費用をかけて仕事を依頼する会社などあるわけがないことも独立後に認識するありさまでした。
サラリーマン時代に貯めた1000万円の資本金はみるみる減っていきます。
事務所の敷金、礼金、パソコン、机、イス、インタネット回線、電話、FAX、会社の看板、などなど。
そして一番高価なのは人件費。ある事情から設立当初から自分以外に2人の従業員を雇ってしまっていました。
設立1ヶ月があっという間にすぎた頃には当初の1000万円は、500万円以下に減ってしまいました。20年以上の会社経営で、一番青ざめたときでした。
安易に起業したのは間違いだったのかも・・・
とにかくお金を稼がなくてはいけません。
でもどうやって・・・。
暗闇でもがきあがいていました。今から思い返すと幸運なことが続きました。小さな仕事がぽつぽつと来たのです。
もがいていたから小さな運を拾うことができたのだと思います。運に恵まれ、お客様に恵まれ、20年以上続けてこれました。成功はしたとは言えませんが、失敗はしていないと言えます。
社内抗争などまったくない状態で、続けてこれました。決して順調ではなく、仕事は大変なことが多かったですが、会社員時代の精神的に不健康な状態になることはなく、必死で前を向いて仕事をこなしてきました。
小さな会社のままだったので、ほとんど自分の判断でかじ取りをしてきました。仕事の上で失敗したこともありました。後悔することもありましたが、
大きな問題になることもなく、続けてこれたことは良かったものと思っています。
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