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何のためにメイクをするか

メイクは時に、
女性の尊厳を傷つける凶器になり得る。

①生きるためにメイクをする

去年のKANEBOの広告のキャッチコピー、
「生きるために化粧をする」

っていうのは、

「男性社会で生き抜くために」って意味に捉えられる。

女性にとって、
メイクをすることは社会のマナー。

・ナチュラルメイクだと
「肌の質悪い」

・メイクを変えると
「今日は色気だしてる」

・メイクをしないと
「今日の顔やばすぎ」
「落ちた女」

・若くてメイクが濃いと
「見た目だけで中身ない」

って、
「愛される社員でいよう」と必死に誰にも嫌われないメイクを探しても、なにをしても一定数からはバカにされる。

しっかりミソジニーなんだけど、
軽い意思疎通の1つとして言ってる人が多いらしい。

ミソジニー:女嫌い
→男性:女性軽視
→女性:女性嫌悪
(男女によって意味が少し違う)

※女性の「女性嫌悪」は、男社会の中で生きるためには男性に認められる方が生きやすいって知ってるからこそ、女性同士でけなし合ったり、陰口を言い合ったりすること。

この前金沢の街を歩いてる時、
通りすがりのおじさんに「勉強しろ!!」って結構な勢いで怒鳴られた。あれは私が「女性で若くて赤リップ」だったから「中身のない女」だと思われたのかな。

今の日本社会は、
男性目線で押し付けられたメイクのあり方に支配されてる部分が少なからずある。

・メイクが上手か下手か
・自分にあったメイクをわかってるかわかってないか
で、いろんな場面での人からの評価が変わるとも言われてる。

メイクは時に、女性の尊厳を傷つける凶器になる。

「生きるためにメイクをする」

この広告の懸念点は、
「女性はメイクをしないと生きていけない社会」って言ってるようなもので、メイクをしない選択肢を示してないところ。

どうしてもそれは「息苦しい」と思ってしまう。
(化粧品の会社の広告だから仕方がないんだけど。。)

②自分を表現するためにメイクをする

伊勢半グループKISSMEの20卒採用広告に、
「顔採用始めます」って文が公開された。

「令和の時代に何やってんだ」って思った人、浅いです。

この「顔採用」の意図は、
・自分の好きなようにメイクしてきてください。
・顔の自己表現も採用基準の1つとしますよ。
ってこと。

いわゆる「就活メイク」は、万人受けするようなナチュラルなメイクで、普段そんなメイクしたこともない人にとってはしっかり個性が死んでる。

私も、
いつもは赤リップ派のところを、就活中は薄ピンク塗ってて、自分らしさに欠けるなあ、とか思いながら履歴書の写真撮ったり、面接受けたり、タリタリ。。

日本の就活を経験して思ったことは、
・他と同じような学生には興味ないよ?
・君の個性を見せてくれるかな?
なのに、
・当たり前だけど見た目で個性出すと落とすよ???
って感じ。

こんな嘘だらけの就活時代に、
「自分らしさを顔に出してこい」って、堂々と言ってくれる企業はシンプルかっこいい。

さらに良いところは、
ノーメイクOKだよって言ってるところ。(そこにちゃんとした理由があれば)

「自分を表現するためにメイクをする」

化粧品会社の採用なんて、
メイクしてる人の方が100%良いに決まってるやろって私は思いましたけど、そこのところ考え方古いんでしょうか。


③社会の固定観念を壊すためにメイクをする

メイベリンの最近の広告のキャッチコピーは、
#ピンクを壊そう

この意図は、
「ピンクは若い女性のもの」って固定観念に縛られないで、誰もがピンクを使える世の中、「誰でもメイク(ピンク)を楽しもう」ってこと。(だと思う)

この広告で起用されてるモデル、
・芸人(3時のヒロイン)
・男性モデルとか
・子育てママ
など、多種多様。

「芸人はお洒落するな、なんて偏見もうやめよう」
「男性だってメイクして良いんだよ」
「子育て大変だけど、自分を犠牲にしないでかわいくいよう」

この広告は、
それぞれの立場のいろんな人に向けて、社会に向けて、「自分を大切にしよう」ってメッセージを込めてて好き。

「社会の固定観念を壊すためにメイクをする」

文化が人を作るんじゃなくて「人が文化を作る」から、
人が変われば文化も変わる。

こんな当たり前のことにも気づかないで、
昔からの文化を変えたくない日本社会がどこかにある気がする。

でも一応言うと、
私みたいながっつり赤リップ派の人は、メッセージに共感しててもピンクは買わん。

もう1つ言うと、
年配のおばあさんモデルを使って、
「シワシワになっても可愛くいよう」
みたいなメッセージ出すのもいいのにな、とか思ったり。

④女性の強さを表すためにメイクする

リップの長さで女性管理職の割合と収益性のグラフを表現した広告

男女格差に切り込むロレアルパリのキャッチコピーは、
"THIS IS AN AD FOR MEN."
(これは男性向けの広告だ。)
"Hire more women in leadership roles. We're all worth it."
(女性をリーダー職でもっと雇いなさい、女性にはその価値がある。)

・女性のリーダーは男性より24%従業員満足度が高い。
・女性の管理職が30%を占めると、収益性が15%上がる。
・女性リーダーは毎年約20%多くのイノベーションを生み出し、特許を取る。

リップだけでなく、他の広告にもマネキュア、マスカラなどの化粧品を使って、ユニークにグラフを表現して広告に入れ込んだ。

こうして、
化粧品の売り込みと同時に企業へのアドバイスを行い、女性の社会進出と社内での地位の向上を促した。

さらに、
女性が社会で ”マナー” として薄ピンクとか使ってナチュラルメイクしてる中で、この広告は「赤」をメインに使ってる。

赤は社会不適合な色ではなくて、「かっこいい」とか「強い」とか存在感のある印象付けるから、女性は決して弱くないってメッセージすら感じる。
(※ピンクのリップが弱い女性って言ってるわけではない)

「女性の強さを表すためにメイクをする」


余談だけど私のバイト先では、
・ナチュラルメイクであること
・すっぴんはNG
・でも濃すぎないこと
・髪色は暗め
って女性の容姿を色々規定されてて、男性目線で作られたルール感すごいし、実際に役職ついてる人みんな男性だから、「ああ( ^∀^ )」ってなる。

もう、
化粧品会社が化粧品を「性能」とか「モテるよー」とかそんなんで売り込む時代は終わったんだなって率直に感じる今日この頃。

企業の社会的価値創造ってこういうことか、って感じ。

話をメイクに戻すと、
人によってもちろんメイクの価値観は違う。

けど少なくとも、
メイクは「自分でいるため」の手段で、色気を出そうとしてるわけでも、男性に媚び売ってるわけでもない。

もっと言うと、
メイクは女性の強さを表せるし、社会的地位の向上にも繋がり得る。

男性がメイクしても、子育てママが綺麗にメイクしても、ゲイの人が濃いメイクしても、トランスやレズビアンの人がすっぴんでいても、「自分らしく」いられるならなんでも良い。

こうやって、
メイクや容姿に対する理解が、企業を通して社会にもっと広がってくと素敵だなあ。


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