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【nephew バータイム メニュー】

皆様、ごきげんよう。安部直柔(アベ ナオナリ)です。
現在ロンドンでバーテンダーをしています。
バーテンダーを始めたきっかけは、『海外で暮らし、仕事をして、自分の知らない国でチャレンジしてみたい』という思いからスタートしました。

ここではそんな私のロンドン挑戦への記録や自身のことなどを発信をする媒体として、noteへの投稿を始めました。


nephewバータイムのことについてはテーマを分けて投稿してます。
今回は『nephew バータイム メニュー』について綴ります。

nephewではカフェとバーの営業時間を分けて営業しています。故に当然メニューも違うので、カクテルはバータイムでしか提供してません。
カクテルを含めたメニューを考えるときに重要にしてたことが幾つかあります。

メニューデザインについて

バーのメニューデザインはとても重要な要素です。日本のバーだとメニューがあったり、なかったり。有ってもシンプルにお酒の名前やクラシックカクテルの名前、金額だけのものが多い印象です。メニューの有無に関して、接客スタイルによるのかなとも思います。メニューが無いバーは、お客様との会話を重視して会話の中からお客様の好みにあったものを提案し、オーダーメイド感覚を楽しめたりするところもあります。私も大好きなスタイルです。ただ、バーテンダーの経験やトーク力、提案力が必要です。あとバーテンダーが捌ける人数にも限界があるのでバーカウンター重視の狭いバーでしか成り立たないかなと思います。

私は、バーにメニューは有ったほうが良いかなと思います。理由はお店のスタイルを投影するものだし、色んな取り組みを反映できたり、初心者のお客様も分かりすく、安心して楽しめるはずだから。

オープン当初は、メニューデザインまで手が回らなかったのですが、2021年の秋冬にメニューデザインを変更しました。
デザインチームにお願いしたのが、nephewの空間デザインをメニューに落とし込んで欲しいというもの、色合いや空間などをメニューに落としこんだほうが統一感ありお客様との会話のなかで会社のことを知ってもらえるツールにもなるかなと思ったからです。
そして仕上がりを見て驚きました。予想を超えたものができたので、さすがデザインチームだなと感心しました。店内のカウンターやテーブル、外観などがメニューに違和感なく溶け込んでいるので、お客様にも見やすいし、分かりやすい。説明する私たちも説明しやすいメニューになったと思います。

カクテルメニューの構成

カクテルのメニューを見ただけで分からないのが、味わいと度数なんですよね。
正直、バーテンダーの私でも他バーのメニューを見た時に、創作カクテルの場合は材料などが書いてなければ全く味の予想が付きませんし、度数も分かりません。
そこでnephewでは、カクテルの名前の下に材料を書いたり、アルコール度数の幅に応じて、Light(弱め)、Middle(中くらい)、Strong(強め)
の3種類に分けたメニュー
を作ってました。
これは私のバー初心者時代の経験やお客様目線に立った時に合った方が安心してもらえると感じたからです。

カクテル以外は、モクテル(ノンアルコールカクテル)、ワイン、スピリッツ、ビールと言った内容です。
メニュー構成に繋がるところなんですが、nephewでは生ビールを提供していませんでした。理由はロスが多く、原価計算が狂うし、メンテナンスも手間、そう考えると生ビールって味わい以外、良いとこ無いですよね笑

ロスに関しては2つ

1. 注ぐ際や洗浄時に、捨てる量が意外と多い
2. 推奨使用期間の問題(樽のタイプにもよりますが大手ビール会社は使い始めてから3日程度)

ビール原価計算について

原価計算なんですが、『 ( 仕入れ金額 ÷ 内容量 = 1ml単価 ) × グラス容量 = 原価 』ロスがでることでその原価が上がるんで正直原価ブレするんですよ笑
さらに味劣化してたら樽ごとポイなんで費用を無駄にして、さらに売上捨てちゃってるんですよね。冷静に考えて時々しか出ない生ビールを置く利点がないんです。

サーバー洗浄問題

飲食店で働いたことがある人なら皆んなやったことあると思うんですが、ちゃんとやんないと味わいの劣化に繋がるんですよね。
あとサーバーの構造にもよるんですけど、チューブが長い分ロスも多いってのも問題。最近はチューブレスなタイプもあるのかな?たまに日本で見かけました。クラフトビール系のやつ。ちなみに、ロンドンのパブもレストランも洗浄してるところは少ないと思います笑
けど、注ぐ際に少しだけ捨ててるのは一緒でした。残留液が美味しくないのは共通認識みたい。

nephewは生ビールがない代わりに、クラフトビールの瓶タイプを取り扱ってました。
新宿にブリュワリーを構えている『Y.Y.G Brewing』のPale AleとIPA
デザイン会社が運営しているバーなので、ビールのエチケットを自分たちでデザインしたものを使用して提供してました。これが結構人気でたまに週末欠品したりもしてました。是非機会があれば飲んでみてください!

ワインやスピリッツは私の好みのものを載せてるって感じでしたけど、カクテルを推してたのでカクテル以外のドリンク比率は売上の1〜2割くらいだったと思います。
ちなみに、ウイスキーのハイボールが今まで働いたどこのお店よりも出ませんでした。お客様の層によってこんなに違うんだと改めて勉強になりました。ちなみに私は美味しいハイボールも好きです。笑

カクテルメニューの内容と季節感

1年間を通して勤務してないので、夏秋冬のメニューしかできなかったんですが、カクテルメニューは季節に応じて複数種類を入れ替えてました。理由は『お客様に季節感を楽しんでもらいたいから』それはカクテルに季節感を出し、旬の食材を使うことで、新たな食体験にも通ながると思っているからです。季節のイメージやフルーツ、ハーブなど、季節を連想させる何かをカクテルに落とし込むように心がけていました。
だから逆に季節感と合わないものはメニューに載せません。例えば、冬にミントを使ったモヒート系とかは基本的にメニューに載せないとか。
材料があり、どうしても飲みたい人がいれば作りますが、もしバーのメニューを見て冬にモヒートを飲む人は、モヒートが飲みたいんじゃなくて、モヒートしか分からないから飲んでるか、ただサッパリしてるドリンクを飲みたいが大半だと思います。消費者心理が間違ってたらすみません、、、、笑

もちろんそう言ったお客様にも楽しんでいただけるようにメニュー中からお客様の好みに当てはまる味わいのカクテルを提案できるようにメニュー構成を考えてます。

そして世の中のイベントに応じた、カクテルメニューも用意してました。例えばですが、冬のホットカクテル(モクテルも含めて)やクリスマスなど。提供期間が限られるものは、レギュラーメニューに載せずにあえて期間限定の別メニューとして用意してました。消費者心理の期間限定欲を狙う意図もありますし、接客するときの提案ツールにもなるのです。2杯目3杯目を飲んでもらいたい時に、さりげなく期間限定メニューを出すのがポイントです。最初はレギュラーメニューのみを出して、停滞してるお客様へのアプローチに使うってイメージです。これは営業マン時代の武器は全て見せずに、必要なときに必要な武器を使うのが重要的な考え方です。

フードとモクテル(ノンアルコールカクテル)の重要性

予想以上に需要があったのがこの2つ
今まで働いたバーであまり無かった需要なんですが、nephewではお客様層やコロナの影響もあって、オープン当初からフードとモクテル(ノンアルコールカクテル)需要がありました。
フードに関しては、コロナで多くのお店が時短営業をしてたので外食できるところが少なく、nephewが食事もできる場所としても認知されたのかなと思います。ただ系列店のLOBBYに比べても比率が高かったので、食べたくなる店内の雰囲気もあったのかなと思います。料理してると匂いに刺激されて、フードオーダーの連鎖が多々ありました。笑
モクテル(ノンアルコールカクテル)はカフェユーザーの来店や、純粋にお酒が体質に合わない人にご好評でした。これもお酒を飲めない人がバーを楽しめる1つ要素かなと思います。誰も置いてけぼりにしないことが大切です。
ちなみにソフトドリンクを用意しなかった理由は、ソフトドリンクだと新たな食体験にならならいから。さらに自家製コーラ、ジンジャーエールをメニューに最初は載せてたんですが、秋にメニューデザインを変更したときに省きました。作る手間は一緒なんだけど、単価はカクテルより低いし、モクテル(ノンアルコールカクテル)の楽しさを知ってもらえたほうがお客様にとっても良いと考えたからです。お店とお客様、双方に取ってそっちのほうが価値があると思います。
なのでモクテル(ノンアルコールカクテル)の種類を増やしたことで、お酒が苦手なお客様にも2杯目、3杯目を楽しんでもらえるようになったのかなと思います。
そういった2つの需要が重なり、必然的に単価も一般的なバーに比べると良かったのではないかと思います。
※ちなみにモクテルとはノンアルコールカクテルの造語です。

「モクテル」とは英語の「Mock(似せた、真似た)」と「Cocktail(カクテル)」を合わせて作られた言葉です。イギリスで生まれた造語ですが、現在は多くの国で親しまれています。
日本でも、ノンアルコールカクテルの新しい呼び名として飲食店やドリンク会社からメニューやレシピが提供されています。
ノンアルコールのカクテルの代表ともいえるシャリーテンプルが作られた時期は、1930年代のことです。この頃に「モクテル」という言葉が使われていたという説もありますが、さだかではありません。日本でノンアルコールカクテルの別名として「モクテル」が使われ始めたのは近年のことです。
delishkitchen.tv

ロンドンのバーだとモクテル(ノンアルコールカクテル)、フードも需要があり、メニューに載せてるところがほとんどです。日本のバーとの規模の違いを感じてるポイントです。

デザートの要望

カフェタイムの影響もあり、めちゃくちゃデザートの要望が多かったです。バータイムではBIG BABY ICE CREEMの商品を提供してたんですが、焼き菓子を食べたいという要望が多くて、時折カフェチームの好意でバータイムにも商品を回してくれてました。
その時イメージ戦略って、重要なんだーと強く感じましたね笑
最初、焼き菓子はバータイムでは出してないと断ってたんですけど、聞かれることが多すぎてなんか申し訳ない感情になったのを覚えてます。
今ではバータイムでも時々パフェをだしたりもしてるみたいなんで、タイミングが合えば食べに行ってみてください。

メニューの内容やデザインはお店の顔とも言えるので、飲食店の形態に関わらず、拘わるべきポイントだと思います。
飲食店に行った時にメニューを細かく見ると、いろいろ気づくことがあるので、見るポイントの1つにしてみてください!

次回は『nephew バータイム スタッフ育成』について

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