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【演奏と解説】ベートーヴェン「テンペスト」ピアノソナタ第17番 二短調 作品31-2 第1楽章

ご覧いただき、ありがとうございます!
ピアニストの吉村直美です♪

前回の記事の続きです。

今回は、ベートーヴェン『テンペスト』第1楽章の解説と演奏動画を掲載します🎹
ベートーヴェンのピアノ曲の中でも、有名な作品の一つです。

■いつの時代?
ベートーベンが生きた1770年〜1827年は、日本では、江戸時代の中期から後期にあたり、倹約令を出した田沼意次の幕政期にもあたります。作品が作曲されたのは、1801年から1802年の間で、ドイツでは、フランス革命を外国の干渉から守る革命防衛戦争から、「革命の理念の拡大」のための戦略戦争に遭遇する時代となります。

■作曲された当時の状況
戦争の混乱の中、誰もが英雄を求めるような風潮があるなか、さらに、ベートーヴェン自身は、自身の難聴に苦悶していました。悪化する難聴に絶望し自殺を望んだ心境で残された「ハイリゲンシュタットの遺書」

そこには、絶望のみではなく、時折、芸術と美徳が自殺を引き止めていることも残されており、魂の葛藤が伺えます。

作品の名称「テンペスト」の由来は、ベートーヴェンが弟子の1人に解釈について尋ねたときに、「シェークスピアの作品「テンペスト」(嵐)を読むようにと言ったことにあるとされています。

絶望と復習、和解と許しという心情に、自らの心境を重ねたのかもしれません。

■曲について
第1楽章 ラルゴ(ゆるやかに)〜アレグロ(速く)
冒頭の導入部分では、温かくも不気味に鳴り響く三和音が「すべてへの問い」のように響き、その直後、裏切るように「嘆き」を意味する音形が激しく駆け抜けます。

主題では、荒れた波を示す三連符、悲劇に対して戦いを挑むような上行メロディーが、ドラマチックに鳴り響き、途中、突然、語りかけるように響く孤独な単旋律も現れます。突然「月光ソナタ」の音形も出現することから、様々な記憶と感情の交錯と葛藤が伺えます。

私自身、先が見えない状況の時に、人生を共にしてきた作品でもありました。
ご視聴いただければ幸いです。

演奏はこちらです🎹

演奏表現に対する解釈やテクニックは、自らの経験やその日の感性によって変わりますので、今後も変化し続けていくと思います。精進を重ねて参ります。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました🍀

次回の『音楽と旅』リサイタルシリーズ出演予定は、こちらです🎹

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ピアニスト 吉村直美
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