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自分が毒親だったことに気づいてからしたこと

カウンセラーになって、毎日いろんなクライアントさんと話をするなかで、夫婦関係がうまく行かなくなる原因の背後には、幼い頃の親との関係性があることを、身をもって実感するようになった。

幼い子どもにとって、親は神様のような存在である。その親から可愛がられ、何でも願いを聞いてもらえ、甘えたいときに十分甘えさせてもらえば、自己肯定感が高くなり、自信ができて、成長して人間関係もスムーズにいく。

しかし、親が幸せそうでなかったり、いつも怒ってばかりいると、子どもは無価値観と罪悪感を植え付られ、それが大人になった今でも無意識にその人の人生を縛り付けており、他の人間関係にも悪影響を与えてしまう。

カウンセリングをするなかで、大人になってから起こる人間関係の躓きや漠然とした生き辛さに、親との関係がどれほど大きな影響を及ぼしているかを確信すればするほど、私自身が子どもにしてきたことの重大さに嫌でも気づかされるようになった。

なぜなら、クライアントさんたちが涙ながらに打ち明けてくれる母親のふるまいの数々・・・それはそのまま私が子どもにやってきたことだったから。

3人の子どもを育てていた頃の私は、いつも余裕がなく、何かに追い立てられているような毎日だった。

海外で誰の助けも借りれない中で子ども3人を育てるという、結構ハードな環境もあったけれど、それ以上に、私はもともと不安が強く、今から思えば相当なアダルトチルドレンだった。

特にやんちゃだった長男には、きつく叱ったり叩いたりしたことも度々あった。というか、今なら暴言・暴力の域に入るだろう。

それだけじゃない。いつも不機嫌だったし、ささいなことでイライラしたりヒステリックに怒鳴り散らしていたし、夫とも仲が悪くてケンカばかりの毎日だった。

当時は全く自覚していなかったけれど、あの頃の私は「毒親」そのものだったのだ。

私自身、父親から愛されたけれど、結構叩かれて育った。昭和の時代はよくあることだった。でも、叩かれたときの恐怖や心の傷に向き合わず記憶の底に押し込めて忘れていたのが、自分が親になってから、それを無意識に再現していたのだ・・・と今なら分かる。

でもその当時は「この子が言うこと聞かないから」と罪悪感を感じることもなく子どもに怒りちらしていた。

親に暴言、暴力を受けた子どもは大なり小なり「この世の中は恐怖だ。自分は悪い子だ。自分には価値がない。他人は自分を傷つける存在だ。」というネガティブなビリーフを無意識に持つようになる。

何てひどいことをしてきたんだろう。私はなんでもっと自分と向き合って、上手に子育てできなかったんだろう。子どもたちがどんなに傷ついてきただろう・・・心の痛みと後悔で、夜眠れなくなった。

子どもに謝る

もう成人してしまった子どもたちに、今の私ができることは何だろうか?

過去はもう取り返せない。できることと言えば、心から謝ることだけだった。

真剣な顔で子どもたちに謝った。「お母さんのやってきたことは間違いだった。お母さんが無知で未熟だった。あなたたちが自分を無価値だとか悪いとか感じていたり、憂鬱な感情があるなら、それはお母さんのせいだ。」「お母さんがいつも怒っていたから、あなたたちは自分が悪いと思ったかも知れないけど、それは違うからね。」

すると子どもたちは「そんなことないよ。昔のことなんて忘れたよ。自分を責めないで。」と言った。

まだ、自分が親から傷つけられてきたことに、あまり気づいていないようだ。

子どもは親が好きだから、親から傷つけられたということを認めまいとする心の作用がある。

でも、それを認めて、心の傷を癒さないと、生き辛さはなくならないことを、私はカウンセリングの経験からよく知っている。

だから、彼らが「自分は辛かったんだな」と気づくまで、何度も謝ろう。

いつか、気が付くときが来るだろう。そして、その時決めてしまった自分と他人と世界に対する認識を、書き換える日が来ると信じている。

子どもに謝るときの注意点

この記事を読んでいる方で、子どもが大きくなった後に自分が毒親だったと気づいた方がいれば、今からでも、ぜひ、子どもに謝るといいと思う。

例え、私の子どもたちのように、親に傷つけられたという自覚が子どもになかったとしても、後で人間関係で問題にぶつかったときに、「そういえば‥」と気づくことがあるかも知れない。

また、子どもの方から「昔あんなことされて嫌だった」とか「こんなこと言われて辛かった」と打ち明けてきた場合は、チャンスだ。

真剣に、誠実に、謝ろう。

絶対に避けたいのは次のような反応の仕方だ。

軽くあしらうこと。「あら、そんなこともあったっけ?」と流したり、「そんなことぐらいで、いつまでもねちねち言わないでよ」と言うこと。

防衛的になること。「あの時はママも大変だったんだから、仕方ないでしょ!」「こんなに苦労して育てたのに!」などのように逆ギレすること。

自虐すること。「どうせ、何もかもママが悪いんでしょ!」「どうせ最低な親ですよ、はいはい、ごめんね。」と投げやりになること。

子どもが何かに悩んで自分に向き合った結果、勇気出して親に打ち明けたのに、親にこういう反応をされると、子どもは心の持っていき場がなくなって絶望してしまう。

子どもは親を責めたいのではなく、ただ分かってほしいのだ。

子どもの気持ちが理解できなかったら、わからないままでいいから、「ちょっと考える時間をくれ」と言って、考えよう。

自分を許す

最後に、親である私自身、子どもを傷つけた過去の自分を許すことが必要だと思った。

そもそも毒親には毒親になるだけの理由がある。

私も親から不安を受け継いだ。恐怖を受け継いだ。ありのままの自分ではいけない、というビリーフを受け継いだ。私も大好きな親から叩かれて怖くて、でも怖いということさえできなくて、抑え込んで、緊張して生きてきたんだ。

自分が悪かったと自分を責めても、何の助けにもならない。

それよりも、自分が今からでも罪悪感や無価値観から解放されて、本当の意味で幸せになって、その姿を子どもに見せてあげることだ。

そして、子どもが悩みにぶち当たった時には、寄り添ってサポートできる自分自身になること。

将来、子どもが結婚して親になった時、私のようにまた我が子に不安と恐怖を植え付けるのではなく、「この世界は素晴らしいんだ」「自分はいつも愛されて守られているんだ」「自分が願うことは実現できるんだ」という希望と自信と満ち足りた感覚を植え付けられる親になってくれることを切に望んでいる。

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