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お財布に優しい 着物の楽しみ方 part2

すっかり春めいてきました。
卒業式・入学式、お祝いの席などなど、お着物の出番が増える季節ですね。

この機会にもうちょっと普段からお着物を着てみたいけれど、周りに着る人もいないし、なんかよく分かんないし、いろいろめんどくさそうだし、着付けを習いに行ったら買わされそうで怖いし・・・。何より、ものすごくお金がかかりそうだし!

そんなイメージが先行しがちなお着物を、創意工夫とちょっとのコツで、お財布に優しく無理なく楽しみたい!と思い立ったわたしの珍道中。

今回は、今持っているお着物たちとどう出会ったのか ご紹介します。

part1はこちら


最初に出会ったのは アンティーク着物と名古屋帯

さかのぼって、2002年春のこと。
服飾の専門学校で学んでいたわたしは、『KIMONO道』(現・KIMONO姫)という雑誌で、アンティーク着物と出会います。

すすす素敵!!! 着物、素敵すぎる!!!
これは絶対、卒業式にアンティーク着物で出たい!!!

元々、古着や古道具、古いものが大好きだったので、お着物もアンティークまっしぐら。あっという間に魅了されました。

そうなのです、
わたしはお着物を買う最初の一歩から、リユースのお着物一択だったのです。


雑誌を片手に、今はもうない表参道のアンティーク着物屋さんで見立ててもらい、本紫に白木蓮が描かれた袷の付け下げをまず購入しました。

同じお店で帯も、と思ったものの、好みのものに出会えなかったため、西荻窪にあった豆千代モダンさんへ、お着物を持って訪ねます。
デザインが気に入った白地にマゼンタピンクで描かれた幾何学柄の名古屋帯を購入しました。豆千代モダンオリジナルの新品ですね。

たぶん2つで3~4万円くらいだったような・・・。
これがわたしの最初の、自分で買ったお着物&帯です。
数年後、帯は知人に譲りましたが、お着物は今も大事に持っています。

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当時、お着物で配膳するバイトをしていたおかげで、着付けに必要な小物一式は持っていました。帯締め帯揚げはバイト先から拝借。自分で着付けて、無事、卒業式に出席できました!!!
そのときやたらと褒められたのです。お着物が似合うね!自分で着られるなんてすごいね!!!と。

似合いすぎてどこかの女将のようでしたがw
素敵な洋服を着た時とはまたちょっと違う、何とも言えない楽しさ・ワクワクさは、今でもお着物を好きな気持ちの原点です。

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振り返ると、幼い頃から浴衣を着せてもらうのが好きで、七五三で振袖を着たのも嬉しかった子どもでした。専門学校生の頃、夏休みに開放されてた教室で、せっせと自分で縫った浴衣もいまだに着てますし 成人式の前撮りの振袖も楽しかったし(しかも2着も着せてもらったw)。

ただ、この時は細かな用語もルールも無知でした。完全に若さと勢いです。知らないって無敵。
『KIMONO道』に書いてあった・・・かもしれないけれど、気にしたのは色とデザイン(柄が季節にあってるか)ぐらい、ほぼ洋服の延長でした。

なので、30代になって改めて着ようと思ったとき、小物一式は残っていたものの、バイトで身につけた着付けはすっかり忘れている上、そもそもの自分の知らなさに相当焦りました。で、とりあえず本で情報収集し始めたのです。


”実物と相場”を知りたくて、着物フリマへ

はじめからリユース着物が好きだったわたしですが、10年以上経った今の自分が好きで、かつ無理せず買えるのは、やはりリユース着物だな、と再認識。

そして元々の目的が、習っている茶道の茶会にお着物で出たい!だったので、まずは茶会で着られる色無地のお着物&袋帯を探すと決めました。

とはいえ、まずはどんなお店があるのか、どんなお着物を扱っていて、相場はいくらくらいなのか、あまりに知らなさすぎてリサーチが必要でした。

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ひとまず茶道の社中にアンティーク着物好きな方がいたのでご相談。すると知り合いが紹介制のお着物フリマを開くから一緒に行こう!と誘ってくれました!
初心者が買う気ゼロでお店に行くのは結構ハードルが高い・・・と思っていたわたしは、渡りに船✨ ありがたかったです。

当日、お着物好きだけど超初心者です!と名乗りながらフリマにお邪魔。
出品者の方々はとても丁寧にあれこれ教えてくれ、たくさんのお着物や帯を実際に手にとって見ることができました。
そして、本には書いてなかったいろんなことに気づきました。


■裄が長い人はリユース着物を探しづらい
サイズ選びの2大ポイントは裄と身幅。まずここから教えてもらいましたw

襟元から手首までの自分の裄丈を知らなかったので、フリマ会場で測ってもらうと、どうやら人より長めであることが判明。

これが結構な難関なのです。
アンティーク着物は概ね、小柄な日本人が多かった時代のものが多く、そこまで古いものでなくとも、やはり裄が長めのお着物は少数派。よってお値段も若干お高めになるそうです。

つまりわたしの場合は特に、サイズが合っていて、色柄が好きで似合ってて、予算に収まるなら、なるべく買った方がよい、という事に。なるほど。
選ぶときの基準がはっきりしました。


ちなみにサイズを無視して短めのお着物を選ぶと・・・

裄が足りない = 手首が必要以上に見えて サイズ合ってない感がやばい

そして身幅(前幅・後幅)は、特にお茶席では正座や にじるので

身幅が足りない = 裾がはだけがちになってやばい

ということで、柄より何よりまず裄と身幅が大事、と理解しました。

そもそもお着物は、サイズ直しすることがわりと普通。
ある程度、生地に余裕をもって仕立てられていることが多いです。
でも直さず着られるならそれに越したことはありませんね。


■初心者ほど、できるだけたくさん実物を見る&見てもらう機会が大事

フリマ会場にずらっと並んだお着物・帯。とにかくあれこれ身体に合わせてみて、自分が好きな色柄・似合う色柄がなんとなく掴めました。
また、お着物をよく着るという方が横で見てくれて、似合う似合わないをはっきり教えてくれたこともありがたかったです。

なかなか難しいかもしれませんが・・・できれば初心者こそ、少しでも多く、直接お着物を手に取って、自分に合う色柄を探ってみることが大事かもしれません。
お洋服と同じ感覚で選んでもいいと思いますが、お洋服じゃ着られない色柄を着られるのもお着物の良さ。そこはお着物好きな誰かに見てもらうってのが大事かもしれません。

■初心者の素朴な質問を受け止めてくれる人が見つかると、心強い!
もちろん本もいいのですが、ほんとに気兼ねなくあれこれ質問できる存在が身近にいると、本当にお着物の世界が楽しくなります。

その場合、マナーやルールに沿った視点も大事ですが、現代の暮らしの中でお着物を柔軟に楽しんでいる人、自分と近しい温度感でお着物を楽しんでいそうな人、そして何より、自分が好きなお着物のスタイルをしている人に、”こんなときどうしてますか?”とお話しできると、とても良いですね。


着物フリマで出会ったお着物と塩瀬の名古屋帯

気兼ねなくたくさんのお着物を見て、詳しい方々に教えてもらえる、という場が本当にありがたかったフリマ。
ちなみにお会計は、全部で1万円ちょっとでした。

① 淡いブルー系のグラデーションに、細かな白いドットが入ったお着物
一目惚れでした。サイズも問題なし。色も似合う。「ろうたたき染め」という染め方で、なんと作家さんのサイン入り。小紋?付け下げ?袷のお着物です。
お茶席に着られるかは、帯次第だけど、格安すぎるお値段。
誰に聞いても、これは買った方がいい、とのことで、購入を決めました。

お安い理由は、たもとの先のシミでした。おそらく茶道のお点前の時、うっかり建水に入っちゃったんでしょう。茶道ではあるあるなアクシデントですね。お稽古で着てたのかなぁ。お直しをしている会社の社長さんがその場にいらしていたので、ご相談。カットしてもおかしくならないとのことで、その場でお願いしました。

② 白地にカラフルな幾何学模様がポイントで描かれた名古屋帯
塩瀬という生地(後から知りましたw)に、染めの柄。帯を結ぶと、背中とお腹にお花が咲いたようなデザインです。これはかなり使えるから買ったほうが良い、と薦められましたが、本当に使えています。

③ 黒×茶のお茶道具柄の小紋
柄が可愛いくて茶道のお稽古にぴったりかも!と思ったものの、茶色のお洋服を普段全く着ない自分にはどうにもしっくりこず・・・涙 風呂敷や小物などを作る素材として購入しましたが、やっぱりもったいなくて、まだ大事に収納してあります。

初心者におすすめかも?百貨店のリユース着物の催事


フリマ会場では、欲しかった色無地のお着物&袋帯に出会えず。
そもそもお着物と言えば、訪問着や付け下げといった、色柄が華やかなものをイメージされますよね。リユース着物もそういったものが多い様子です。

ただでさえ裄が長めの着物は少ないのに、色無地で、気に入った色で、となると、かなり数が少ないのでは・・・
ということで、買った本をひと通り読み終えて基礎知識を得たわたしは、いよいよリユース着物のお店に行ってみることにしました!!!

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とはいえ、いきなり専門店は、やっぱりなんかこわい・・・
ふと思い出したのが、百貨店の催事です。ググるとちょうど近くのお店で開催中だったので、会社帰りに寄ってみました。

私が思う 百貨店のリユース着物の催事の良いところは  こちら (地方にお住まいだと、そもそも機会がなくて参考にならないかもですが・・・)

・ いろんなお店を一度に巡れる
・ お店も商品も、見比べやすいし選びやすい
・ オープンスペースなので 初心者でも圧迫感少なめ
・ 百貨店が会場なので、安心して買えるお店が参加している ( はず・・・)

わたしが出かけた時はまず、ぐるっと会場を巡り、ディスプレイされていたお着物や帯が好みのテイストだったお店の辺りをゆっくり見ることにしました。

催事で出会った リユースのお着物と袋帯


お着物が並んだワゴンをもくもくと眺めていると、めちゃくちゃ好みのお着物を発見!
きれいなピーコックグリーンの色無地に、ところどころお花の飾り紋が刺繍されていました。

なんと素敵すぎるお着物!!!これがリユースだなんて!!!絶対に欲しい!!! 

一目惚れでした。しかもお値段が良心的すぎる。
ほどなくしてスタッフの方が声をかけてくれたため、さっそく試着させてもらいます。裄がちょっと足りませんが、お直しで解決できると判明。

何より、色と刺繍のデザインはもちろん、ほとんど着てない状態。前の持ち主がいかに大事に仕立てて保管していたかが伝わってくるお着物です。
二度と出てこないかもしれないくらい、良いものであろうことは、初心者のわたしでもわかりました。

これは今買わないと後悔するかも・・・でも探してるのとは違う・・・。

スタッフの方に「ほんとはお茶席で着られるお着物、できれば色無地と袋帯を探していまして・・・」と、予算と共にお話ししました。

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いくつかお薦めを提案してもらうも、残念ながら、気に入る色無地には出会えませんでした。
でも、袋帯に素敵なものが!!!聞けば今回の催事の目玉だそうで、DMにも載ってるものでした。

上品なキラっと感、柔らかな色合い、描かれた高貴なモチーフも好み。

ちゃんとしたお茶席で、安心して堂々と合わせられる袋帯です。しかも、さっき一目惚れしたピーコックグリーンのお着物にもぴったり合う。

これはほんとに使える袋帯!!!と、力強く薦めてくれたスタッフの方の言う通り、他にも店頭のいろいろなお着物に合わせてもらいましたが、不思議としっくり合うのです。魔法かと思いました。

あれこれ話しながらさんざん悩んでいると、金曜夜の仕事帰りに寄ったため閉店時間に。一旦帰って考えることにしました。

で、翌日。朝いちばんにお店に向かい、お着物と袋帯の両方を購入しました。合わせて4万円ちょっと。袋帯の方が高かったです。

後からそこが、雑誌『七緒』でよく名前を見ていたお店の系列だったことに気づいてびっくり。しかも接客してくれた方は、オーナーさん!!!
どうりで提案とアドバイスが的確なわけですよ。

おかげさまでお着物も袋帯も、どこへ行っても褒められます。良いお買い物ができたのでした。


リユース着物店で出会った 念願の色無地

フリマに催事と、良いお買い物が続きましたが、欲しい色無地がまだ買えてません!
まず色無地を買おう!と決めてから、なんと半年以上が経っていました。

その後、リユース着物の催事をいくつか見たり、裄と身幅がわかったのでメルカリやECでも検索してみましたが、これ!というお着物には出会えませんでした。

ある時、出先でたまたま、リユース着物の老舗かつ大手の路面店の前を通りがかります。
思いきって入って、スタッフの方に「お茶席で着られる色無地を探していまして・・・」と、サイズや予算の希望をお伝えしました。

すると!お茶席なら一つ紋がいいわよね、と他のどこよりもたくさん、一つ紋の色無地を出して見せてくれたのです!!!びっくり。

何枚か鏡を見ながら身体にあて、試着させてもらいます。
特に気に入った一枚は、サイズも問題なし。手持ちの袋帯に似た感じの帯も合います。
ただ、裄が長い分ちょっとだけ予算オーバーだったため、一旦、考える時間をもらってお店を出ました。

ここまで半年以上も探し続けたくらい出会うのが難しかった色無地。しかも手持ちの帯にも合いそうだし、好きな色だし。
予算オーバーだけど・・・いま買わないと、もう買えないかも・・・!!!

ということで、そのお店でついに色無地の袷のお着物を購入しました。
古代紫で地紋は特になし。背に染め抜きの一つ紋が入っています。
紫の中でもちょっと渋すぎるかなぁ、なんて思いましたが、ずっと着られそうなので良しとしました。

色無地は”主にお茶をやる人が着るもの”というイメージだからか、こんなにも手に入れるのに苦戦するとは・・・。よい勉強になったのでした。

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ちなみに、ピーコックグリーンのお着物、袋帯と名古屋帯、そして色無地のお着物などは、現在こんな感じです。


ここまでで、わたしの手元にやってきてくれたお着物たちは こちら

▼リユース
・袷の色無地のお着物 1枚
・袷の付け下げなどのお着物 3枚 
・袋帯 1枚
・名古屋帯 1枚

▼新品
・冬用の真っ黒いコート
・長襦袢とインナーが一体になったやつの上下セット
・白足袋
・着付けに必要な小物一式

・・・そうです、帯締めと帯揚げがありません!
欠かせない小物ですが、お着物と帯を揃えないことには選びづらかったんですよね。

ちなみにこの頃は、『七緒』のバックナンバーをせっせとメルカリで買い、どんな帯締め・帯揚げを最初に買うのがいいのか絶賛リサーチ中。

お店や百貨店の催事などでも、着物や帯のこと以上に、帯締め帯揚げはどんな色が使えるのか、とにかく聞いていました。

ここがお着物の楽しみの一つでもあるのですが、初心者にはなかなかの難関・・・
ということで、part3に続きます。

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