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観てきた!「リヒテンシュタイン 伯爵家の至宝展」at Bunkamuraザ・ミュージアム

『珍しいもので、良いもの、かつ美しく上品な事物にお金を費やすことは永遠かつ偉大で、最大の記念となろう』

そんな信念をもって、絵画や磁器などの品々を収集した伯爵家のコレクションが、昨年末、都内で公開されていました。すでに好評のうちに終了してしまったのですが、今思い出してみても、本当にきらきらと美しい品々ばかりで、とても素敵でした・・・
いつか行ってみたいです、リヒテンシュタイン候国。

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会場:Bunkamuraザ・ミュージアム (東京・渋谷)
会期:2019年10月12日(土)~12月26日(木)


◎観に行こうと思ったきっかけ

あまり事前の知識はなかったのですが、フライヤーを目にして、ルーベンスやブリューゲル、クラーナハの作品が観たいなぁと思ったのと、ゴージャスでおとぎ話のような貴族の世界に浸りに行きたいなぁと。
前売り券を購入して、開幕を楽しみにしていました。

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◎どんな展覧会?

現在世界で唯一、家名が国名になっているリヒテンシュタイン侯国は、2019年に建国300年を迎えました。かつて神聖ローマ皇帝に仕えたリヒテンシュタイン侯爵家が統治しています。

決して国土の広い国ではないですが、その美術品コレクションはなんと3万点も!2度の世界大戦や、戦後に国が苦しい時代はコレクションを一部売却したこともあったそうですが、現代まで守り受け継がれてきた理由は、リヒテンシュタイン伯爵家の『美しい美術品を集めることにこそお金を使うべき』という家訓と、コレクションを個人の所有ではなく家系に属する“家族信託遺贈”という仕組みで、伯爵家の跡取りのみが相続できるようにしたことがポイントだったそうです。

ちなみにリヒテンシュタイン候国ってどこ?っていうと・・・
スイスとオーストリアの間にあります。

FireShot Capture 055 - リヒテンシュタイン侯国とは - 建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展 - Bunkamura_ - www.bunkamura.co.jp

アルプスに抱かれた小さな国土にはライン川が流れ、大都市の喧騒とは無縁な穏やかな時間が流れています。この国は現在金融業などが盛んで、小さいながら世界屈指の豊かさを誇りますが、昔から侯爵家は代々領地経営に成功して富をたくわえ、皇帝にも貸し付けを行うほどでした。その富を背景として積極的に収集した美術作品により、現在のコレクションが形成されていったのです。
特設サイトより/画像もお借りしました)


神聖ローマ皇帝といえば・・・そうです、こないだ観に行ってきたハプスブルク家ですね!リヒテンシュタイン伯爵家の歴代当主はハプスブルク家に仕えていました。皇帝ルドルフ2世(1552-1612)の時代、彼の美術品収集に影響を受けて、今回展示されたコレクションの数々につながっています。ハプスブルク家、すごいですね。

ルドルフ

※「ハプスブルク展」の公式サイトより画像をお借りしています。

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会場の展示構成は、このように盛りだくさん。
全部で130点ほどと見ごたえたっぷりでした。

1:リヒテンシュタイン伯爵家の代々の方の肖像画
2:宗教画 (クラーナハ(父)、ルーベンスなどなど)
3:神話画・歴史画
4:中国や日本の磁器との出会い
5:ウィーンの磁器工房
6:風景画
7:花の静物画

最後のお花の静物画のスペースだけ、撮影OKでしたので、ちょっとだけご紹介します。
とにかく、展示された絵画たちは縦横1~2メートル。なかなかよ迫力と描かれた絵のタッチがとても好きでした。あと、なによりも鳥です。鳥が好きなので、お花をしょった鳥の気高い姿が素敵でした。※鳥をメインにちょっと寄って撮影しています

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◎naomin_0506的 見どころはここ!

美しすぎる磁器の数々
1700年代、中国・景徳鎮窯:けいとくちんがま の磁器や日本の磁器がヨーロッパで大人気となり、自分たち好みにゴールドの装飾を後付けしてカスタマイズするところから、磁器工房で一から製作もされるようになっていきます。
やがて国の直轄になり「ウィーン窯・帝国磁器製作所」と呼ばれるようになったこの工房では、混色が可能なエナメル絵具を色数豊かに持っていたため、細やかな色味のニュアンスが出せ、本当に数多くの素晴らしい磁器が製作されました。
また、神話の主題を専門とした絵付けを学ぶクラスもあったそうですよ。

撮影OKのエリアにあったこちらのカップ&ソーサ―以外にも、プレートやティーセットなどが数多く展示されていたのですが、繊細で精巧なデザインの磁器が本当に素晴らしくって美しかったです・・・

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こんなゴージャスで美しいコーヒーセットも。優雅・・・
それに、磁器に描かれたデザインって色が全然劣化しないんですよね。本当にためいきが止まりませんでした。

リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展02


18世紀に好まれた装飾額縁
普段はあまり意識されないかもしれませんが、実は絵画の印象をものすごーく左右するのが、額縁です。海外の絵画が来日すると、その額縁を鑑賞するものひそかに好きなのです。そしてできれば図録には、額縁ごと掲載してほしい・・・なんて思っているの、私だけでしょうか。

この展覧会で、絵画以上に額縁に見とれてしまったのが、額縁制作者 セフェリン・アルケンが手掛けた木彫りの額縁でした。

フランチェスコ・ズッカレッリが描いた《侍女と猟犬をともなうディアナ》という作品のために作られたもので、鹿やうさぎ、鳥、いのししなどの森の生き物と、植物が立体的に彫られていて、非常に素晴らしかったです。

こういった装飾額縁、”現在ではイギリス各地の宮殿に飾られている”と解説部分に記載がありましたが、これはぜひ、セフェリン作品を探したい!と思いました。
でも額縁の作者なんて、普段どこにも書かれてないですよね・・・調べる方法から調べてみないと、ですが、セフェリンの名前を知ることができて良かったです。

美しい山々を描いた風景画

リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展01

今回、グッズ売り場で唯一購入したのが、この作品のポストカードとA4サイズの額絵シートでした。風の音や草木の揺れる音、鳥の鳴き声や人々の笑い声、芝生のにおいがしてきそうな、清々しい風景画で、大好きな作品です。

描いたヴァルトミュラーさんは、オーストリアの方。元々精密画を描いていて、この作品は初めてザルツカンマーグートを旅したときに描いたものだそう。しかも、外の光で絵画制作をしたのも初めてだったそうですが、A3横くらいのコンパクトな絵なのに、隅々まで素晴らしく描き込まれていました。


◎図録&グッズは?

Bunkamuraのグッズ売り場はチケットを持っていないと入れないんですよね。今回のグッズはもう、売り場全体にお花が咲き乱れていてとっても華やかでした。トートバッグやハーバリウムなどは、この展覧会ならではのデザインだと思いました。
また図録も、女性が手に取りやすい正方形サイズ。インテリアとしてディスプレイしても良さそうな美しい表紙でした。

Bunkamuraのグッズ売り場に併設されていて、いつもついのぞいてしまうのが、「ミュージアムショップ ナディッフモダン」。
ミュージアムの外、チケットがない方でも利用できる「ブックショップ ナディッフモダン」よりちょっと小さめのお店ですが、展覧会に合わせて並べるアイテムがいつも変わるので、来館された際はこちらもぐるっとのぞいてみるのがおすすめです。


◎まとめ

まるでおとぎ話の世界のような、イメージ通りの貴族の暮らしと、想像以上の美しい品々を堪能でき、とっても優雅でエレガントな気分になれた展覧会でした。帰りにラデュレのサロン・ド・テに寄りたくなりましたが、閉店時間だったので諦めました・・・
それにしてもあの膨大な数の美しい品々、300年近く昔のものだなんて信じられないくらいに状態が良く、素晴らしかったです。眼福でした。

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