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人生最大のピンチに頂いた、ざこばさんの言葉。今も忘れません。

35年前の6月のある日。
読売テレビのアナウンス部に
制作部から電話がありました。

『明日の“ときめきタイムリー”なんですけど、
 遥洋子さんが東京から戻れなくなって。
 生放送なんですよ!
 確か、この4月に女子アナ入りましたよね!
 上岡龍太郎さんとざこばさんとの共演、
 なんとかなりませんか?』

!!!

これには当時の鎌田アナウンス部長も、私も、
腰を抜かしそうになりました!!

土曜の朝9時30分。
“ときめきタイムリー”と言えば…
破格な高視聴率だと言うのは勿論、
弁舌鋭い上岡さんと、
絶妙にボケるざこばさんのトークに
沢山の固定ファンがついている、
読売テレビを代表するヒット番組だったのです。

私が入社した時には
読売テレビで
まさに『神様』のような存在の
上岡さんとざこばさん。

特に上岡さんは、
制作スタッフや共演者に求めるハードルも超高く、
先輩プロデューサーからは
過去にミスをして大変なことになった
スタッフの逸話も沢山聞いていたのです。

そんな“神様”なお二人と!!

ほんの2ヶ月前は
単なる女子大生だった
入社したてのヒヨコのアナウンサーが!

えーえーえーっ!
研修もまだ途中なのにー!?!

それも…
明日ーーーっ!!

誰もが驚くリクエストに…

鎌田部長は驚きの表情を見せたスグあとに
にやっと笑い…

『それは仕方ないですね。
 制作部の皆さんもお困りでしょう。
 良いですよ。
 じゃ、すぐに植村を打ち合わせに向かわせます。』

えーえーえーっ!

私、大丈夫???

とは言え、
もう決まってしまったこと。
あと20時間後には、
生放送の本番が始まってしまう。

ところが、
一番、慌てたのは番組の制作スタッフでした。

ほぼほぼ素人の女子大生を
上岡龍太郎さん、ざこばさんに向かわせるのに、
めちゃくちゃ手厚いフォローをしてくれたのです。

“ときめきタイムリー”は
上岡さんとざこばさんと言う大御所に
若い遥洋子さんと言うタレントさんが、
色々な話題で切り込んでいく演出。

遥さんの代役である私の役割は
単なるアシスタントではありません。

東京出身、東京育ちの私が
関西の文化に切り込んで行く…
それも“神様”にー!!

そして迎えた生本番、当日の朝。

まだ外が暗いうちに読売テレビに入り、
エレベーターの前でお二人が到着するのを待ちます。

最初にスタジオに入るのはざこばさんだと、
受付から連絡がありました。
めちゃくちゃ緊張しまくる私とスタッフ。

「おはようございます!
 新人アナウンサーの植村なおみです。
 今日は宜しくお願い致します!」
エレベーターが開き、
あまりの大きな声の私の挨拶に
若干、驚きながらも歩みを進めるざこばさん。

『聞いてるで。
 植村さんな、なんでも好きなようにやったらええ。
 ワシらはプロやから、オモロウしたる。
 緊張せんでエエ言うても緊張すると思うけど
 心配せんでエエんやで。』

めちゃくちゃ緊張していた心に
ジワ〜〜〜っと沁みる優しいお言葉。
そして、はにかんだような笑顔。

流石!
“神様”!!

番組が始まると…
こんな私に、
まるっきり自由に喋らせて頂き、
全てをフォローして下さいました。

入社して2ヶ月。
ざこばさんの…
優しさと器の大きさを実感した出来事です。

その後も、
何度かお仕事やプライベートな席で
ご一緒させて頂いたざこばさん。

その優しさと、細やかなお気遣い、
そして、周りの皆をホッとさせる無邪気な笑顔は
いつも変わることはありませんでした。

本当に残念です。
心からご冥福をお祈り致します。

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