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新型コロナウイルス・オランダの風景①:感染防止はゆるゆる、ハイテク措置はばっちり

世界中で嵐を巻き起こしている新型コロナウイルス。オランダでは先月まで「対岸の火事」的なのんびりムードだったのが一転、今月に入って感染者数がちょびちょび増え始め、今週は1日100人超の勢いで広がっている。3月12日現在の感染確認数は614人(オランダの全人口は1700万人)。このうち私の住む「ブラバント州」の確認数が273人と最多となっている。すでに子供のサッカー試合やトレーニング、音楽のレッスン、大勢が集まるイベントなどは軒並み中止で、この措置はとりあえず今月末まで適用される。

学校は休みにしない

それでも、子供たちの学校は今のところ閉鎖されていない。子供たちは免疫力が高いし、学校を閉鎖すると大人が困るからだ。今、国会では野党が「このままウイルスがまん延するのを放置するのか!」と侃々諤々やっている。

全国の学校は「公衆衛生環境研究所(RIVM)の通達に従う」というスタンスで、息子たちの学校からは「咳が出る、熱がある、息苦しい……などの症状がみられる人は自宅療養してください。保護者の方々が自分のため、子供のため、学校の職員のために常識と自己責任に基づいて行動してください」という通達が来た。

うちの子供たちにはこうした症状が見られないので、今日も登校したが、登校する生徒たちの数は日に日に減っている。今朝、小学生の次男のクラスは、ざっとみて半分ぐらいしか生徒がおらず、実に静かだった(上写真)。

ゆるゆるの感染防止

これまで、子供たちは登校すると、先生と「おはよう」と握手をしていたのだが、今は先生と足の先をくっつけ合って「ヘイ!」と言っている。足で挨拶が嫌な子は、先生とグーの手(こぶし)をくっつけ合っているのだが、む~、これはあまり感染予防になっていないのでは……。

お友達のNくんは、この1週間登校していない。さすがに、家でずーっと一人で遊ぶわけにもいかないので、昨日はNくんのパパが来て、教材を家に持って帰っていた。Nくんは先週熱が出たし、咳がひどいので、登校できないのだという。しかし、Nくんの弟は元気に登校している。家で濃厚接触しているだろうに、この辺が実にあまい。

もう一人のお友達のJくんは、もともと難病を抱えているので、今回のウイルスでは「ハイリスク・グループ」に入る。感染してしまったら命取りになりかねないので、自己防衛ということでこの1週間学校を休んでいる。家ですごく退屈な日々を過ごしているらしく、実に気の毒なのだが、周りの緩い感染予防対策をみるに、その決断は非常に正しいと思う。自分の身は自分で守らなければならない。

手洗いの習慣、まずは料理番組から…

オランダやヨーロッパ諸国で新型コロナウイルスが急速に広まっている背景には、スキンシップの多さもあるだろう。オランダ人は親しい間柄では、右、左、右と頬を付け合って挨拶する。また、ビジネスでも、病院でも、個人的な付き合いでも、よく握手をする。まずはこの習慣を一時ストップせねば……ということで、先日ルッテ首相が記者会見で「これからは握手をやめましょう!」と国民に呼びかけたりしているのだが、首相自身もそれを発表した直後に、隣にいたRIVMのファン・ディッセル所長とうっかり握手をする場面も見られた。オランダで握手をしないで過ごすのは、意外と難しい。

そして、もう一つ、ウイルスまん延を助けてしまっているのが、手洗いの習慣が身についていないこと。中には潔癖症のオランダ人もいるにはいるのだが、ほとんどの人は私が見る限り、あまり手を洗わない。子供たちも手洗いの指導を全く受けていないので、ほおっておくと全く手を洗わない。放課後、うちに遊びに来た子供に「学校から帰ってきたら、まずは手を洗ってね」と言うと、「なんで?僕の手は汚れていないよ!」という反応が返ってくることがたびたびある。そんなことをいう子に限って、必ずうちで大便をして帰ったりするので、トイレの後にもちゃんと手を洗ったかどうかヒヤヒヤしてしまったりする。

私の義理の両親も、普通にきれい好きなオランダ人だと思うが、彼らも外から帰ってきてすぐに手を洗っているところを見たことがない。料理する前も、敢えて手を洗っている様子はない。そういえば、オランダのテレビの料理番組では、みんなエプロンも付けていないし、料理する前に手を洗う場面はない。オランダ人に手洗いを徹底させるには、まずは料理番組で手を洗うところから始めなければならないのではないか。速水もこみち氏みたいに、料理の前にガシガシ二チャ二チャと指の間までしっかりと洗っている手本を、ぜひ国民に見せてもらいたいものだ。

来週は休校か?

さてつい先ほど、学校からオンライン学習用のウェブサイトやパスワードが送られてきた。登校できない子供向けに、自宅でのオンライン学習措置が採られたようだ。場合によっては来週から学校が閉鎖されることも視野に入れての措置だろう。この辺のテクノロジーを利用した代替措置への転換の速さは、すごくオランダ的だなと思う。新型コロナウイルス対策・オランダ編は、次回に続く……。

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オランダ在住16年のフリーランスライター。ネットや雑誌でオランダの経済・生活情報を発信する傍ら、オランダ南部・ブラバント州のアドバイザーを務める。オランダ人の生活や働き方、教育を中心にお伝えします。