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言葉の壁は心の壁(2)

こんにちは。今日もお元気でお過ごしでしょうか?

言葉には人が現われるといいます。

私は今、帰国子女に英語のライティングを教えていますが、彼らの言葉の選択や使い方を見てきて、言葉は心、体、環境と深い繋がりがあると感じます。俗に「帰国子女」と呼ばれる子どもたちは、何か親御さんの仕事の事情で外国に何年か住み、いずれは日本に帰国することが前提の環境で学んで、生活しています。帰国子女というと、あまり努力もすることなく、英語がペラペラ話せていいなあと思われるかもしれませんが、実情はなかなか複雑で、さまざまな悩みを抱える子供さんが少なくありません。

日米の言葉(学校や友達とは英語、家では日本語)を行き来する中で、多くの子どもたちは、日本語も英語も中途半端になってしまい、日本に本帰国した途端に、英語を全く話さなくなってしまったり、学校システムの違いになかなか適応できずに自分の殻に閉じこもってしまう子供もいます。小学校中学年で高校レベルの英語が話したり読めたりできるのに、時事問題や社会問題について知識が少なく理解力に欠けるため、日本で重要とされる英検などの試験に通らなかったり、高校生である程度話せたりかけたりするのに、日本の中学文法がわかっていなかったりと、言葉のスキルと知識や人生経験のバランスがとれないのです。

そんな彼らを教えてみてわかったのは、彼らが英語以前のメンタルな部分で、助けを求めていることです。ほとんどの子供は、英語教育以前に何かの悩みを抱えており、それは身体に現れてきたり、対人関係であったり、不安や恐れなどの感情であったりします。言葉にももちろん現れます。日本人的な思考は、ルールに則(のっと)り、言われたことを、良い点が取れるように書いていれば良いのですが、英語では、主張やクリティカルシンキングが必要とされます。はっきりと自分の意見を言わないと、そこにいないことになってしまう。英語と日本語の両方の環境を体験してきた彼らには、様々な思いがあるにも関わらず、自分のオリジナリティを表現できず、どちらの言語でも言っていることにまとまりがなくなくなる。ライティングににはそうした心の状態が如実に現れてきます。

自分のジレンマを直視し、正直な気持ちを探っていってライティングに表すことができると、本来持っている想像力や柔軟性、弾力性が蘇ってきて、人生の方向性が変わってくる、ジレンマを自分の強みに変えていくことができるのです。

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