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セルフイメージと体性感覚

セルフイメージとは、どのようにしてつくられるのでしょうか? 鏡でみた自分の姿、背が低い、高い、などといった生物学的な要素が、セルフメージを作っていると思われるかもしれません。しかし、実際は、そういった外見的な要素以外に、いくつかの思いもかけない内面的要素が関わってきます。

 まず一つ目は、脳の中にある体性感覚領野です。体性感覚領野は、感覚と運動に分かれ、体のある部分で感覚をどれだけ感じているか、どれだけ動かしているかによって、大脳皮質に占める面積が変わってきます。自分が日々よく感じたり動かしたりする手や目、口といった器官は大きく、余り使ったり感じたりしていない胴体などは小さいのです。

大脳皮質の感覚・運動野
この脳の中の小人 (ホムンキュラス)のモデルは、大脳皮質の中の感覚・運動野を立体的に表したもの。手や口や目が、感覚・運動の大きな割合を占めていることがよくわかる。

  体性感覚領野は、脳の中の小人とも呼ばれます。脳の中の小人は、自分がどう感じ、どう動くかで作り出される自分のイメージと言えるでしょう。感覚領野にある手の部分を刺激すると、手になんらかの感覚が走りますし、運動領野の手の部分を刺激すると、手が動きます。農業をする人とコンピューター中心の仕事の人とでは、体の感覚・運動によるセルフイメージが変わってきますし、目が見えなかったり、耳が聞こえない人のセルフイメージは見える人、聞こえる人のものとは違ってきます。 脳細胞は日々新しく入れ替わっていますので、感覚・運動領野に反映される領域も日々変化しています。ライフスタイルや感じ方、動かし方が変わってくると、自分のセルフイメージも変わってくるということですね。

体性感覚領野に反映されるセルフイメージは、一つ一つの部位の感覚、運動に留まらず、部位と部位の間の相互関係、体と空間の関係にも及んできます。例えば、体の一つの部位ともう一つの部位との関係性(例えば頭と骨盤の位置関係、肩と頭頂の距離、体の前部分と後ろ部分の繋がりなど)が正確に把握できていないと、自分の体の感覚と現実とがマッチせず、チグハグなセルフイメージとなってしまいます。又、皮膚感覚は自分の内面と外の世界が交わるところですので、この感覚が研ぎ澄まされていないと、他者や社会、世界との関係性におけるセルフイメージが、希薄になってくるでしょう。 「自分は自分をどう感知しているのか」が、セルフイメージを作り出す重要な要素となり、日々の行動や思考に影響を与えてくるのです。

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