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鍛えると感じるの違い

こんにちは!今日も元気でお過ごしでしょうか?


フィットネスで体を鍛えることが、健康のためにと推奨されています。ヨガ、ピラティス、エアロビクスなどで、筋肉を鍛え、汗をかく運動には、それなりの効用があるのですが、そればかりに集中していると、「感じる」ことが疎(おろそ)かになりがちです。筋肉を「鍛える」ことで、強くなったように思うのですが、その感覚は、地球にサポートされている感覚とは、少し違います。私がみている限りでは、筋肉を鍛え続ける結果、「力を抜いて感じる」ことが、ますます難しくなるようです。

 私のセッションでは、神経筋肉系に働きかけていく優しい動きを通して「自分を感じる」訓練をしますが、筋肉を鍛えることに慣れている人は、感じることを飛ばして、動きを「運動」としてやってしまいます。

 「今、股関節の中は、どう感じられますか?」というと、「なんだかわかりません」とおっしゃるのです。見ると、ギュウギュウ筋肉を伸ばしたり固めたりして、動きをやっておられる。呼吸も止まってますし、これでは、感じられるはずはありません。

「どうしてそんなに力を入れるの?」と聞くと、「こうしないと、やった気がしないから」と言われるのです。「やった気」と言うのは、筋肉の疲れ具合とか、「鍛えられた感じ」を求めておられると思うので、それは、’自分が慣れ親しんでいる感覚なのでしょう。

動きを「運動」としてやる時と、「自分を知る」ためにやる時とでは、脳の感知力が全く違います。今では脳の可塑性*は、大人になっても可能であることが知られているように、大脳皮質に広がるニューロンとニューロンの間に引かれている回線は、新しいことをすると、Neurons fire together wire together."「共に発火する神経細胞は共に繋がる」と言われるように、ニューロンとニューロンの組み合わせや集まり方に変化が生じ、パチパチと火花が散って、新しい回線が引かれるのです*。逆に、「慣れている」ことをすると、同じ回線をなぞるだけで、新しい回線は引かれず、過去に引かれた回線が強調されます。

私のダンスの師の一人に、リモン・テクニックのテクニシャンのベティ・ジョーンズ先生は、93歳でお亡くなりになる前まで、スッと一本通った身体を通して教えられました。「腹筋などは一度もやったことがない」と言う彼女は、中からの弾力性と柔軟性、エネルギーに満ちておられました。彼女は日常生活でも、「感じて想像する」ことを常としておられ、彼女がちょっと腕を広げただけで、胸から光が溢れてくるイメージが受けてに広がるようなダンサーでした。

 筋肉運動をしている時に、「筋肉を鍛える」ことを一旦忘れ、動きを通して「自分はどう感じているか」に焦点をシフトしてみましょう。すると、自分は一人で立っているのではなく、床に支えられ、重力を生きているのだとわかります。こうした感覚を持って、筋トレに望めば、自分の深みから感覚が鍛えられることでしょう。


*"Neurons fire together wire together."「共に発火する神経細胞は共に繋がる」は、1949年に心理学者のドナルド・ヘッブによって唱えらた「組み立て理論」。前出の記事、セルフイメージと体性感覚も合わせてお読みください。

*脳の可塑性について
*Neuroplasticity



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