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「ピッツェリア イル・タンブレッロ」大坪善久さん、4月28日の答。

―より、ナポリらしく―

ナポリピッツァ界のアニキ、大坪善久(おおつぼよしひさ)さん率いる「ピッツェリア イル・タンブレッロ」(小伝馬町)は、2020月8月で10周年。これを機に、より〝ナポリらしさ〟に近づくためのリニューアルを、この前年から計画していた。ピッツァに加えて、現地ではポピュラーなストリートフード、アランチーノといったさまざまな揚げ物の専門店を始めるのだ。
予定通り2月末から改装工事が始まり、1カ月間の休業。その間にコロナ禍はみるみる押し寄せて、リニューアルオープンしたのは4月11日。緊急事態宣言の発令後にして、短縮営業要請が発表された翌日というタイミングだった。
これは最悪のシナリオか、それともピンチはチャンス、になるのだろうか? 「ピッツァ職人は対応力」が信条の大坪さんに訊いた。

非日常では変化を受け入れやすい

2月29日から1カ月ちょっと、もともと改装工事で休業する予定だったんですよ。今年で10周年、念願のFRIGGITORIA(フリッジトリア)を始めようと思っていて。アランチーノ(ライスコロッケ)やフリッタティーナ(パスタ入りのベシャメルコロッケ)などを売る、ナポリの揚げ物屋です。

現地のピッツェリアでは、軒先でこのフリッジトリアをやっている店が多い。職人が打った生地を薪窯で焼くピッツァと、たっぷりの熱い油で揚げるコロッケ、どちらも家庭では表現できないものだから。
「ピッツェリア イル・タンブレッロ」では昼に揚げ物、夜は引き続きピッツァと分けて、僕のなかでより完璧なピッツェリアになる計画でした。

工事が少し長引いて、4月11日土曜の夜から再開です。
3月はまるまる店を閉めていたから、営業のなかで徐々に「コロナがくる、やばい」って実感したり、キャンセルの電話が増えていくといった経験はしていないんです。もちろん、厳しいっていう情勢は報道なんかで知っていたけど。

そういう意味では最高のタイミングで改装休業に入ったともいえますけど、再開は緊急事態宣言直後という、最悪のタイミングでもありますよね。
でもいざ始めてみたら、意外とこの時期の再開でよかったんじゃないのかな、とも思うんですよ。
変化って、いつもと変わらない日常のなかで起こると抵抗感が大きいかもしれないけど、(それ自体が変化の最中にある)非日常では、するっと認められたりする。つまりフリッジトリアという変化、新しい提案を受け入れてもらいやすい状況なんじゃないかな?

それに、街に人が少ない自粛期間は、僕らにとっては試行錯誤する時間をいただいたようなもの。よりよく改善して、街がいざ日常に戻った時には、もっといい形で勝負ができる。

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「ピッツェリア イル・タンブレッロ」大坪善久さん、4月28日の答。

井川直子 naoko ikawa

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文筆業。dancyu、料理通信、食楽、d LONG LIFE DESIGN等で連載中。近著に『東京の美しい洋食屋』『変わらない店』『シェフを「つづける」ということ』『昭和の店に惹かれる理由』ほか。私家版『不肖の娘でも』はHPより購入可。www.naokoikawa.com