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「ピッツェリア イル・タンブレッロ」大坪善久さん、4月28日の答。

―よりナポリらしく、リニューアルオープン―

3月いっぱいを改装工事中で休業。4月11日よりリニューアルオープンした「ピッツェリア イル・タンブレッロ」は、昼に揚げ物屋を始めた。緊急事態宣言後の再開は、最悪のタイミングか、それとも意外とナイスなのか?ピッツァ界のアニキ、大坪善久さんにかかればtutto bene(すべて大丈夫)である。

非日常では変化を受け入れやすい

2月29日から1カ月ちょっと、もともと改装工事で休業する予定だったんですよ。今年で10周年、念願のFRIGGITORIA(フリッジトリア)を始めようと思っていて。アランチーノ(ライスコロッケ)やフリッタティーナ(パスタ入りのベシャメルコロッケ)などを売る、ナポリの揚げ物屋です。

現地のピッツェリアでは、軒先でこのフリッジトリアをやっている店が多い。職人が打った生地を薪窯で焼くピッツァと、たっぷりの熱い油で揚げるコロッケ、どちらも家庭では表現できないものだから。
「ピッツェリア イル・タンブレッロ」では昼に揚げ物(売り切れじまい)、夜は引き続きピッツァと分けて、僕のなかでより完璧なピッツェリアになる!という計画。
工事が少し長引いて、4月11日土曜の夜から再開しました。

だから3月、営業のなかで徐々に「コロナがくる、やばい」って実感したりとか、キャンセルの電話が増えていくといった経験などはしていないんです。もちろん、報道なんかで厳しいっていう情勢は知っていたけど。

そういう意味では最高のタイミングで改装休業に入ったともいえますけど、再開は緊急事態宣言直後という、最悪のタイミングでもありますよね。

でもいざ始めてみたら、意外とこの時期の再開でよかったんじゃないのかな、と。
変化って、いつもと変わらない日常のなかで起こると抵抗があるかもしれないけど、(それ自体が変化の最中にある)非日常では、するっと認められるというか。僕らの変化、新しい提案を、受け入れてもらいやすい状況なんじゃないかな?

それに、街に人が少ない自粛期間は、僕らにとっては試行錯誤する時間をいただいたようなもの。よりよく改善して、いざ日常に戻った時には、もっといい形で勝負ができる。

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