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冒険の終わりと旅の始まり[2024/7/17(水)〜7/23(火)]


2024/7/17(水) ヒュッゲを描く

朝、夫が出かけるときにちょうど娘が起きてきた。昨日の夜に夫が作ってくれた親子丼を、娘と一緒に食べる。

「口パクするから当てて」と娘。最後が「い」の形で口が終わっている気がする。「さむい?」「ねむい?」違うらしい。「正解教えてほしい?お母さん大好き」ずきゅん。

食後に、昨日私が乗換のターミナル駅で、お土産にと買ってきたおやつを食べる。以前記事で紹介したことがあって、一度食べてみたかった。ふわふわしゃりしゃりでおいしい。

「買う時も帰ってきたときみたいな顔だったの」と娘が聞く。「そうだね、その時も頭痛かったから」「そんななかありがとうございますぅー」と言うから、笑ってしまった。

月に一度、親子参加するようちえんのぬらし絵の日で、一緒に行く。手遊びやお話の時間の後、テーブルに座ってぬらし絵を描き始める。「お母さん何かいてるのー?」「わかんない」「いっつもわからないって言うなあ」。毎回このやり取りをしている。

「〇〇ちゃんは何描いているの?」「空があって、虹があって、下にお花畑あるんだ」へぇー描きたいものがあるんだなと思う。

ぬらし絵は3色だけ使う。私は黄色い丸をひたすら画面いっぱい描いてみた。そこに青や赤を重ねていく。テーマを「ヒュッゲ」にしようと思いつく。昨日の取材先が大切にしていること。「ヒュッゲヒュッゲ...」と心の中で歌いつつ描いてみる。「これは地球」と真ん中に青い円を描く。

片付けをして、乾いた絵をみたら、「ふむ、これがヒュッゲかもしれない」と思えてくる。赤、青、黄、緑、オレンジ、紫...いろんな色の間になんとなく、心地よさみたいなのがあるようにも感じられる。ぐるぐると描いた線は緑色で、循環の輪を示しているようにも思えなくない。ふむふむ、と一人で納得して、乾いた私と娘の絵を持って帰宅。

帰って、お昼ご飯。冷や麦の一束が200gだったから、はかりで100gを測って茹でる。食べたらあっという間にお迎えの時間。

帰ってきた娘と、父が育てたスイカをおやつに食べる。きっと濡れるから、と娘はワンピースもTシャツも脱いで下着姿になった。赤いところがなくなるまできれいに食べ、皿に溜まった汁も飲み干す。

車に乗って、果樹園跡地へ。今日は放課後ようちえんのみんなが手仕事をしている。隣のはらっぱに車を停める。友達が声をかけてくれて、手作りコーラをいただいた。駆けつけ一杯のシュワシュワがおいしい。

ヒンメリづくりは、麦の間に針で糸を通していく。たまに麦が裂けそうになる。とても繊細な作業で、これを作っている作家さんの根気の良さを感じつつ「私には向いてないかも」と思う。でもできあがったら楽しくなってきて、2つ作った。コツコツと何かを作ることは嫌いじゃない。

針を麦に通しながら、町の庁舎の建設案にどう思うかという話をみんなでした。話しているとアイデアが出てくる。話せるコミュニティがあるのはいいものだ。

気がついたら17時半近くなっていて、友達と遊んでいた娘を連れて帰宅。ヒンメリの一個は、娘のリクエストで車のミラーのところに下げてみた。揺れる様子を見て「かわいいね」と娘が言う。

帰宅。すぐにお風呂を沸かす。ひとりでプリンセスのカードを使って遊び始めた娘は「お風呂に入ろう」と声を掛けても「今遊んでるから」と言ってなかなか入ろうとしない。「私はもう入るから!」と言う。それからちょっとごたごたしたが、娘も片付けてお風呂場へ来た。「仲良く入ろう」と一緒にお風呂に入る。

夕飯はスパゲティナポリタン。私はナポリタンが大好きなのだけど、夫はどうやらそんなに好きではなさそうだから、主に夫がいないときに作る。娘と二人で口の周りを真っ赤にしながら食べた。


2024/7/18(木) いつもいしょにねてくれてありがとう

朝、1週間分の日記をnoteにアップしていたら、すっかり8時45分頃になっていた。ようちえんは9時半集合だ。部屋に娘を起こしに行く。深く眠っていて、起きる気配がない。

9時。さすがにまずい。部屋のドアを開けると「おはよー」と起きていた。「ママにほっぺにちゅってされた気がするんだけどなんだったんだろう」そう、さっき私がした。

すぐに着替えてもらい。冷凍庫にあったベーグルを温めて、ハムとチーズを挟んでもたせる。「これ食べながら行こう」。

車の中でむしゃむしゃと朝食を食べる娘とようちえんの集合場所へ行く。なんとかいつもの時間に間に合った。娘は残り1/3ほどになったベーグルを手に「朝ご飯食べられなかったから今食べてる」と出会う人出会う人に教えている。

娘と離れて、一旦家に帰る。それからマッサージとハーブサウナを体験しに、隣町まで出かけた。電車で行こうかと思ったが、車で。高速道路に合流するときいつも胸の鼓動が早くなる。

帰り道、いつも娘のリクエストで聞いているCDからラジオにチャンネルを切り替える。翻訳家の岸本佐知子さんが、日記について話していた。Webに日記を書きたいと思ったけれど、人に読まれたくなくて、友人のブログにこっそり書いていた話などをしている。新しく出したエッセイに日記が載っているらしい。読んでみたいなと思う。こうやってチャンネルを切り替えた後のラジオには、何かいつも自分へのメッセージがある。

マッサージを受けてぼーっとした頭のまま娘のお迎え。それからはらっぱで給食の会のミーティング。今日は「ものすごく眠気がやってくるからリラックスして過ごして」とマッサージ後に言われていた通り、決して退屈しているわけではないのだが、あくびが出てしょうがない。

気がついたら3時間近く話していた。「まだ遊びたい」という娘の願いを2回ぐらい受け止めて、ついに本気で帰ろうと呼びかけにいく。娘は友達と「キャンプごっこ」をしていた。どこかから持ってきたらしい、木の板や竹馬、スケートボードや袋に入った石などが積み重なっている。

「このまま泊まっていきたい」と子どもたちが言うと、友達のひとりが、子どもたちと自分でどうしたら泊まれるかを真剣に考えてくれていた。マッサージを受けて脱力中の私は、今日野外に泊まる選択肢はない。布団で眠りたい。「私は帰ります」と宣言すると、娘は「じゃあ帰ろう」と片付けを始めた。大人と子どもで、木の板などを手分けして片付けた。

はらっぱを後にする頃、6時半を回っていた。

帰宅してお風呂を沸かし、夕飯を作る。お風呂からあがって、ミーティング中に娘が書いて「家に帰ったら読んでね」と手渡してくれた手紙を開いてみる。

黄色いメモ帳に画面いっぱい、赤いボールペンの文字で「なおこちゃんかわいいね ままのことだいすき ありがとう 〇〇ちゃんのこと いつもいしょに ねてくれて ありがとう」と書かれていた。


2024/7/19(金) 夏休み前最後の長い一日

娘が夫に抱っこされて、「おはよう」と部屋にやってきた。
昨日隣町で買ってきたパンをトーストして食べる。
ヨーグルトがあったことを思い出して、ヨーグルトを開けて、冷凍庫にあったブルーベリーを乗せる。

夫が家で仕事する朝。休日のような気持ちでゆったりしていたら、9時が近かった。

慌ててお弁当を作り、出発する。

少し遅れて集合場所の公園へ。ようちえんの夏生まれの子たちのお誕生日会が始まるところだった。

お誕生日会を見届けて、帰ろうとすると、娘が行かないでと言う。「もう行かなくちゃ」とハイタッチしようとすると、「ギューして、チューしてから」と。かがんで、草原に座っていた娘にぎゅっとすると、娘が私の手にチュッとしてくれて、それで離れた。

近くの産直で買い物をして帰る。

帰り道に思い立って、畑へ寄り道。ミニトマトが赤くなっていたが、触れてみると、熟れすぎて柔らかくなっていた。またタイミングを逃してしまった。伸びていた枝を、支柱にしばってやる。

暑い日で、車で帰ってきたのに「あついあつい」とフーフーしながら家に入る。

家で片付けなどしていたら、もうお昼。昼前に母からLINE。実家のある市内でマンションの爆発があったこと「でも我が家の近くは、スーパーに強盗が入っただけで平和」と書かれている。平和ってなんだろうと思ったままそっと画面を閉じた。

夫と歩いて近所のラーメン屋に行った。夫は2度目らしいが、私は初めて。何を頼んだらいいか迷って、NEWと書かれた帆立の貝柱出汁のラーメンを頼む。新しいものには挑戦してみたいタイプ。夫は一番がっつりそうな、チャーシューとワンタンが載った麺を頼んでいた。ワンタンが見つかると「食べる?」と言ってくれる。「いっぱいあるの?」と聞くと「まだこれしか見つかってない」と言うから、次に見つかったらもらうことにした。めでたく2つ目が見つかって、ワンタンを私のラーメンのお椀に入れてくれた。

ラーメンを食べ終えて、Rちゃんのお店で予約してたお弁当を受け取り、家に帰る。

パソコンに向かって、少ししたらお迎え。娘を連れて帰宅。

チューブ型のアイスを夫と娘と3人でチューチュー吸って食べた。

昼寝をする間もなく、バレエへ。娘は車の中で少しうとうとしていて、到着すると「ねむい〜」と言う。でももう行かなきゃ、と声をかけると「バレエ行ったら楽しいんだから」と自分を鼓舞しながら車から降りた。

スタジオ内も暑くなっていて、私は途中で近くのスーパーへ涼みに行ったりした。

帰宅。娘も私もお腹が空いていて、すぐにRちゃんのお店で受け取ったお弁当を食べる。

冷蔵庫で冷やしていた大玉のスイカを取り出し、自転車で海岸へ。ようちえんの1学期最終日。今日は海岸でスイカ割りと花火をするのだ。

だいぶ遅れて到着したが、ちょうどスイカ割りが始まるところだった。小さい子から順番に棒を持ってスイカを叩いていく。娘は「やりたくない」と言って、一緒に見ていた。

「やってみたらいいのに〜」と言ってみたが、私もあそこに立つより、「右右!」とか言っている方が楽しいかもしれない、と思う。

2歳ぐらいの子からひとり一発ずつ叩き、ときにはすかしながらも、少しずつひびが入る。小学4年生の子が叩いたところで、ようやくスイカがパッカーンと割れた。

私が持ってきた2つ目のスイカは大人の番。さて順番に加わろうかどうしようか、と考えていたら、一番始めに叩いた園長が見事に真っ二つにした。さすが!とみんなで拍手する。

手や口の周りをベトベトにしながら、スイカを食べた。

スイカが終わったところで、外は真っ暗になっていた。花火が始まる。

打ち上げ花火。思ったより音も大きく、高くあがって、いちいちびっくりした。「きれいだね」と娘と眺める。

手持ち花火になると娘が「水飲みたい」とその場を離れる。そのまま「やらない、火がこっち来るのこわいから」と言って、遠くから黄色や赤や緑に火花がきらめくさまを眺めていた。

友達と遊び始めた娘に声を掛けて「もっと遊びたかったのに」と言われながら、20時過ぎに家に帰る。海岸から道路に出ると、もうすぐお祭りがあるのだろうか、ずらりと並んだちょうちんに火が灯っていて、どこか違う世界に迷い込んだような感じがした。

家に帰る。架空のお友達と遊び始めた娘が全然お風呂に入ろうとしない。お母さんとして何かやらないといけない、と思うからイライラするのかもしれない。「もうお母さんは終了ということで、私はただのなおこちゃんになります」と宣言して、ひとりでシャワーを浴びた。

お風呂場を出ると、娘が泣いている。「ママいなくなっちゃうの?」「ママがいなくなったら、〇〇ちゃん今の感じで生きていけない」。いなくなっちゃうわけじゃないから、と説明する。

一旦落ち着いたものの、「ごめんね」「お母さんもごめんね」と言っては、また込み上げてくるものがあるようだ。「〇〇ちゃんはたださみしくなっちゃったの。また思い出しちゃった」「たまにカフェに行って二人で仲良くしてるのに、そういうこともできなくなっちゃうの?」号泣している。「そうだね、そんなのやだね」とぎゅっとする。

やがてシャワーを浴びてパジャマに着替えた娘が、扇子を持って膝にやってきた。「〇〇ちゃんはヒュッゲがしたいんだ!」「ヒュッゲ?つまり、膝に乗ること?」「膝に乗って、くっついて、こうやっておしゃべりしたい」と扇子で自分と私のことを交互に仰いだ。

寝る前にスマホを見たら、母のLINEに対して弟から単刀直入に「平和じゃないね」と返信があり、そこに母が「やっぱり」と返していた。ツッコミ待ちだったのか。


2024/7/20(土) 月に帰りたい

朝食を食べ、バレエスタジオの工作ワークショップへ向かう娘と夫を見送る。

私は洗濯物を干して、そうめんを茹で、ナスとズッキーニを素揚げする。夏休み始まりの日。今日はようちえんのメンバーで流し素麺。

娘のワークショップが終わる頃、家を出る。荷物を持ってバス停に向かうだけで、ジリジリとした暑さにやられそうになる。バスに乗って、娘と夫と合流。

遅れて流し素麺に到着すると、ちょうど竹が組み上がって、流し始めるところだった。

竹を流れるそうめんを子どもたちが夢中でキャッチしている。掴んでお椀に入れることに夢中になって、椀が溢れそうになっている子もたくさんいる。ぶどうや枝豆などの変わり種も子どもたちに人気だった。私は、流れてきたそうめんが溜まった一番下のザルからお椀にそうめんを取った。

去年たくさん余ったはずのそうめんは、今年は人数が増えたからか、あっという間になくなった。

そうめんの片付けをし終える頃、途中で一旦帰宅していた夫に迎えに来てもらう。夫と娘はかき氷を食べに。私はMちゃんとカフェIでお茶した。Iの中は涼しい。夏に暑い外から店内に入ったときのホッとする感じよ。たっぷりゆっくり話ができた。

バスに乗って、帰宅。来たバスに乗ったら、ぐるっとしてまた同じバス停に戻ってきた。乗る方向を間違えたのかもしれない。ぐるぐると一周してきたせいか、スマホを見ていたら酔いそうになって、画面を閉じる。

帰ると夫と娘がお風呂に入っていた。ハンバーグを作る。

夕飯後、夫とコミュニケーションの行き違いがあった。私を守ろうとした娘は夫に「えいっ」と攻撃する。

娘と夫が寝室に向かい、私はお風呂に入った。

お風呂をあがって寝室に行くと、娘がまだ眠れないでいた。満月のせいだろうか。月を見て「宝石みたいに光ってる」と言う。

丸く明るい月を眺めていたら帰りたくなった。「月に帰りたい」。私はかぐや姫なんだっけ。「どうやって帰るの?」と娘に聞かれる。翼があったらいいのにと思う。「アラジンみたいにじゅうたんで飛んでくのは?」と言われて、それもいいかもしれないと思った。


2024/7/21(日) 夏の計画

夫と娘がゆっくり起きてきた日曜日。9時頃に、朝ご飯。冷蔵庫に余っていたソーセージをフライパンに乗せ、卵を割り入れて、目玉焼きを作る。

二人は交通公園に自転車を漕ぎに行くらしい。娘が「お母さんにも〇〇ちゃんが自転車に乗れるとこ見てほしい」と言う。出かけようかと思うが、私は体調がいまいちで家で休むことにする。

昨日作ったハンバーグをパンに挟んでサンドイッチにして、袋に入れる。娘と夫が出かけるのを見送る。

家で休憩。明日のイベントのお知らせやメッセージの返信など細々したことをこなし、それからブログ記事を2本書く。

夕方掃除をしていると、夫と娘が帰ってきた。

「今日はお父さんと一緒に走れたんだ!」と娘が言う。大人と併走しながらコースを走ることができるようになったらしい。自転車の漕ぎ出しを、先週は夫に抑えてもらえないとできなかったらしいが、今週は自分でできるようになったのだとか。あっという間に色々できるようになる。

手帳を開きながら「夏休み何しようか」と娘に話しかける。「いいね、〇〇ちゃんも紙とペン持ってくるね!」と言うと、娘もメモ帳を取って、テーブルにやってきた。

メモ帳に線をひき、左上に数字を書き込む。オリジナルのカレンダーを作っているらしい。「カフェに行くのはどう?」「いいね、一緒にカフェ行きたい!」。数字のあるマスに「かへ」と書き込んでいる。

「お散歩は?」「お散歩かー暑いな...」「いいじゃん、お散歩しよう」勝手にそう決めた娘が「おさんぽ」と書き込む。

「あとお母さんは美術館に行きたい」「いいね!」。「じゅってどう書くの?」と聞きながら、「びじゅつかん」と書き込んだ。

「あとはきれいな川は?」娘が言う。きれいな川があるらしいとこの前友達に教えてもらったのだった。「お父さんがいるときに行けたらいいな」。

去年の夏休みはどう過ごしたのだろう。Googleカレンダーを見返すが、全くわからない。今年は日記を書いているから、長くて暑い夏の記録が残っていくことだろう。

やがてお風呂が沸き、「誰とお風呂に入る?」と夫が聞く。娘が「この子」と私の腕を掴む。ご飯を作る前にお風呂に入ることにする。しかし、手帳作りに熱中し始めた娘は全然入る気配を見せない。集中力を発揮しているときの娘は動かない。

「私は入るね」と言うと、「うん」と言うから先に入る。後で夫と入るだろう。
途中で一度「一緒に入らなくていいのー?」と声を掛けてみたけれど「いいー!」と言うからそのままあがった。

あがると、娘が作っていたカレンダーは複数枚重なって、端っこをテープでとめて、本のようになっていた。「〇〇ちゃんがいるの」と言って見せてくれた裏表紙には似顔絵が描いてあった。

夫が「お風呂に入るよ」と声を掛ける。が、今度は「ママと入りたかった」と言って、床に溶け出す。「声掛けたし、もう入れないよ」と伝える。何度か「やっぱりママと入りたかった」「今からお風呂に戻ってよ」と粘ったが、無理なことを理解すると、渋々と床から体を起こして人間の形になって、お風呂場に向かって行った。

そしてやがて楽しそうな歌声が聞こえてきた。最近石鹸で泡を作ることにハマっているらしい。

お風呂上がりにストレッチをすると「明日のお泊りでみんなに教えてあげよう」と言っている。明日のお泊り保育でみんなでストレッチ、できるかな。

夕飯を食べる。今日はもずく酢がある。私はもずく酢の酸っぱさが好きだ。帰りがけに屋台で「あげたこやき」なるものを食べてきたらしい娘は、お腹があまり空いてないようだった。

「酸っぱいの食べると体がやわらかくなるよ」と言うと「じゃあこれは全部食べよう」ともずく酢をスプーンですくって食べていた。食べきれなかった分は私が、と思ったけれど、「とっておいて」と言うから冷蔵庫にしまう。

片付けをして寝室に向かう。今日こそ満月だ。こころなしか昨日よりお月さまの色が濃い気がする。「帰りたくなる?」と娘に聞かれる。今日は大丈夫。扇風機の角度を調整しながら、涼しくなってゆく部屋で寝た。


2024/7/22(月) どこかで覚悟を決めたらもう振り返らない

朝、クローゼットから洋服を出して着替えているはずの娘は、下着姿のまま布団に寝っ転がっている。

「おかあさん手伝ってー」と呼ばれる。起き上がる気がなさそうだ。「寝てたら着替えられないから起きて」と言う。「座ってもいい?」「いいよ」。布団の上に体を起こした。ワンピースをかぶせて、後ろのボタンをとめてやる。

「ドキドキして、行く元気なくなってきちゃった」と階段上の床に寝そべっている。ようちえんのお泊り保育。初めての、両親がいないお泊り体験に緊張している様子。

夫が「代わりに行こうか?〇〇ちゃんが仕事してくれる?」と言う。「いいよ」と娘。「でもお父さん大きいから」「『ちょっと大きくなっちゃったけど〇〇ちゃんです』って言うから、〇〇ちゃんは、『ちょっと小さくなっちゃったけどお父さんです』って言って」。

私は先に階段を降り、娘のお弁当を準備する。「ストレッチみんなに教えてあげるんでしょ」と下の階から声を掛けると「そう!やっぱり行く」と降りてきた。

朝ご飯を食べる。娘は夫に「やっぱり〇〇ちゃんが行くことにした」と告げる。

お弁当は娘の喜びそうなものばかり入れた。アスパラ、ミニトマト、アメリカンドック、コロコロポテト、の順で食べる、と教えてくれる。好きなものは後にとっておくらしい。

「ぬいぐるみ連れてきていいって言ってたよ」と伝えると「じゃあ今日はマーブルちゃん」とピンクや黄色や黄緑が入り混じったカラフルなマーブル模様のくまのぬいぐるみをご指名。この子は娘がまだ2歳ぐらいだった頃一緒に行った100円ショップで、「この子帰りたくないって言ってる」と娘が抱えていた子だ。

「マーブルちゃんがいたら眠れるかも」とぬいぐるみを抱えた娘の髪の毛を結んで、9時頃出発。お泊りをする園長のおうちに着くと、娘はすっと中に入っていった。

先に到着していた子たちのところへ行くと、「〇〇ちゃんバイバイ」という私の方をちらっと振り返って手を振った。いつもどこかで覚悟を決めるときがあって、その後はこちらを振り返らない。今、そのモードに入っているのだと思う。

私は帰宅して、準備をしてEコーヒーへ。月に一度の読書会の日。

夏休みということで、前から来たいと言ってくれていた友達や、休みになると来てくれる中学生の子が来てくれて嬉しかった。Mちゃんのおいしいおにぎりランチを食べて、午後は香りのワークショップでゆっくり時間をかけて香りを嗅いで、アロマミストをつくった。

一旦家に帰る。町のパン屋さんでパンを買う。自転車に乗っていると、友達とすれ違って「おーい」と手を振る。駅前の食品店Nで農家さんが野菜を販売している日で、枝豆とミニトマトを購入。おまけしてもらう。

ちょっと自転車で走ればたくさんの友達に会える。好きなパン屋さんや農家さんから作ったものや育てたものを購入できる。この町が好きだ。

帰宅して荷物を整理して、購入したパンを切って、再びEコーヒーへ。持ち寄りご飯会だった。持っていた缶入りのスパークリングワインを1本飲み切る頃にはほろ酔いで、「月がきれい」と聞いて、ふらふらと外に出る。上空を見上げてもどこにも見当たらない。「ほらあれ!」と指された方向をみると、家と家の間に挟まるようにぽってりとみかん色に発光しているものが見えた。

飲んで食べて、笑った。誰にでもこんな時間が、人生にたまにでいいからあったら生きていける、と思う。

気がついたら人は随分少なくなって、子どもたちは座敷で寝ていた。あれ、私も眠たいかも、と気づいたところで立ち上がって帰ることにする。

外に出る。西の空に月が輝いている。オレンジ色のみかんのようにぽってりした月を会の始まり頃に見たのに「あれは私じゃないですよ」というような、スマートな白い月が西の空に輝いていた。

夜は涼しい。人も車もほとんどいない通りを、自分でびゅんびゅん風を起こしながら帰った。


2024/7/23(火) 冒険の終わりと旅の始まり

3時近くに寝たけれど、6時にはぱっと目が覚めた。
8時過ぎに娘のお迎え。自転車に乗って、園長の自宅へ。

子どもたちは支度をして待っていた。娘はくまのマーブルちゃんを抱っこしている。園長に年長4人、とても仲良く穏やかに過ごしていたことなど教えてもらう。家の前で記念撮影をして帰る。

自転車に向かって歩いているとき娘に「お母さんさみしかった?」と聞かれる。「お母さんは楽しかったよ」と答えると娘が「そっか、〇〇ちゃんも楽しかった」と言った。お互い楽しくて最高。

家に到着。娘は自転車を降りると、くまのマーブルちゃんに「マーブル、一緒に来てくれてありがとう」と言って、ちゅっとした。マーブルちゃんを連れていったおかげで良く眠れたらしい。

仕事をしていた夫が「おかえり」と降りてくる。園長の話では、子どもたちは夜中に起きておしゃべりしていたらしい。「夜起きて何話してたの?」と聞くと「Sちゃんが起きて、〇〇ちゃんが起きて、Dが起きて。Sちゃんが“おしゃべりしよう”って言うから話してたの。“楽しいね”とかしゃべってた」と言う。夜中に起きて他愛もないおしゃべりをする。お泊りの醍醐味のようなエピソードだ。

荷物を片付けると、娘は「ここはキャンピングカーってことね」とひとりで遊び始めた。いつか染めた手ぬぐいにセロハンテープでリボンを付けて抱っこ紐を作ろうとしている。うまくいかなくて泣き始める。今朝は5時に起きたらしい。たぶん眠たい。

「〇〇ちゃんお昼寝したら」と言うと、「そうする」と言って、ソファに横になった。すぐに寝息が聞こえた。

10時過ぎに寝始めて、15時近くに起きてきた。おかげで私は原稿がはかどる。

冷や麦を茹でて、起きてきた娘と食べる。娘はピンクや緑に色がついたものを、真っ先にお椀の中に集める。

原稿を提出し終えて、荷物の準備。今日はこれから夫の両親と夫のお姉ちゃん家族と旅行だ。

車に乗って海沿いを走っていく。ちょうど日が沈む時間。「〇〇ちゃん見て!きれいだよ」と言うと「〇〇ちゃん夕焼け好きなんだ」と言う。私も。青、緑、黄色、ピンク、オレンジが混じり合う空を眺めながら向かった。

車の中で夫と話していると、娘が「〇〇ちゃんにも何か聞いて!」と言う。「お腹いっぱいだけど、まだ食べちゃうときはどうしたらいいですか?」と夫が質問する。「そういうときは、また今度食べられるって思うか、忘れちゃうか、半分食べるとかすればいいよ」と娘が言う。いろんな選択肢があるものだ。

到着して家族に合流。さっとお風呂に入り、夕飯を食べに行った。夕飯のビュッフェには、寿司も刺し身も天ぷらもハンバーグも唐揚げも生ハムもドーナツもソフトクリームも並んでいた。ビュッフェは自分自身のお腹の具合に向き合う前に、好奇心で食事してしまうと思う。車の中で娘に教えてもらったことは忘れて、ついつい食べすぎた。




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